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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
弐の章 蒼い春
71/127

鬼羅滅斬








…そして、数刻、









「………。」


ケイトは膝に手を置き、

ゆっくり立ち上がって、



《…ん、あたし、どうなった?》


手を広げ、

周りの反応を伺う。


光が消え、

そこにいる皆は

とっくに眩さから解放されている。





だが、

皆、

ケイトを見つめたまま何も言わない。


ただ見つめているだけではない、

正確には、


驚いた表情で、

見つめている。






《…Felicidades por su!》(おめでとう)



とうとう

フランシスカが舞台に上がらなくてはならなくなった。


拍手をして

ケイトを褒める。



《立派な ツノ ではないか、カタナの妹よ》




その言葉に

戦慄するケイト

すぐさま頭を触る



《う、ウゲェエエ!!》



根元があり、

500mlペットボトルが2本、

頭から突き出していた。




…いや、


大きさのモノの例えだ。



《なんじゃこりゃあ!!》


スマホで自撮りモードにして、

ツノを確かめる。

やばい、

ツノが、ある。


それに気になることがまだある、


《顔もなんか変なんですけどォ!!》




牙が前歯の横から2本覗き、

髪も背中まで伸び、


右眼の下から

赤い痣が顎まで伸びている。


そして、

眼。


左眼が獣のように瞳が割れていて、




《…はっ、伊達さんと戦った時のいばらちゃんみたいになってる!!》



ブチギレたいばらのあのワンシーン。


そう、

それが鬼羅、


成り方はいばらと違うが、

根本は同じ。




《その状態で現祓を出し、妖力を解放してみてください。きっと、あなた様の想像を上回る世界が待っておりますよ。》




…しかしあれだ、


うん、なんか呆気ない。


…お兄ちゃんが苦しんだ、鬼羅(きら)をこうも簡単にできてしまうのか。






…あたしって、まさか、


…天才?









…まあいいや、


もうこうなった以上、

とりあえずやってみようか。




現祓をいつもの調子で出して、

妖力を解放。


《はっ。》




すると、

2mほどの大きな大太刀と同時に


周りの生徒たちを吹き飛ばすほどの強烈な突風が現れた。





そして、

ケイトを包む妖力は

稲妻を帯びて、

バチバチと音を立てて、

その辺のチリボコリを焼き、蒸発させている。





《ただでさえ多いあなた様の妖力に、乗算で鬼の力が乗っかりました。ですので、現祓も形態を変化させ、相応しい姿になったのです。》



《はぇ~なるほど。》





呑気なケイトとは対照的に、


生徒たちは気が気ではない。


あんなのと戦えないと逃げ出すものや、

恐怖のあまりその場に座りこんでしまうものもいた。


つまり、

大石や辻の、

余裕の笑みが消え失せた。





《では、鬼に遊んでもらうかな。》


そんなことは御構い無しに、

フランシスカが出撃!


しかし、

なんだこの感覚は、


ケイトは不思議と恐怖や、

怒りや、

その他の雑念が一切起こらない。




斧を振り上げ、

こちらに飛んできてるのに、


武器を構える気も起こらない。





《YAAAAAHAAAAAA!!!》


勢いよく振り下ろされた斧、

当たれば真っ二つになるのは必至、


だが、

手元をよく見て、


掴み、


《えいっ》


と、

フランシスカの胸を

ケイトは軽く手のひらで押した。




その瞬間、

フランシスカのみぞおちで

時計回りの空気の渦が現れ、


ぼん!

爆発して


血煙を吐いて遠くへ吹き飛んでしまった。




《す、すごい…。》


これが鬼の力か?

万物を凌駕した気になるほど、

自らの強さに驚いてしまっている。


あんなに鬱陶しかったフランシスカを

こうも簡単にかわせるなんて…


手のひらを握っては開き、

自分に何が起こっているのかを確認するケイト。




《これが、鬼羅。自らの肉体を妖力で活性化させ、変化する。鬼粥のおかげで鬼らしい変化となった。》


いばらがケイトの肩を叩いて笑った。




ケイトはようやく笑って、


《誰にも、誰にも負ける気がしない!!》




こんな晴れやかな気分、


一眼を使った時みたい…




…?


一眼、か。





何かを思いついて、


右眼を一眼に変える。







更なる爆風が吹きおこり、


いばらもたまらずケイトのそばを急いで離れた。







《うっしっし…。》


もう完全に天狗状態のケイト。

まさに

一眼のおかげで更なる妖力の増加、


戦闘力の向上。





そして、


川上を見つけた。





《川上先生、あたしは、常妖怪を守る。》


《悪いこともしてないのに、妖怪だから排除するってのは、許せない!》





離れたところにいた

川上先生はゆっくり歩き出し、

ケイトの元へ向かう。


向かう、


向かう途中、

歩速が上がり始め、


駆け出して、




「どぉれ、試してやんよ、鬼の力!!」





川上の手のひらが光り、


得物が現れる!





銀銀銀(ぼうぎん)。」


名前の通り、

銀色の一振りの刀、


しかし変わっているのは、


鞘に収まっているまま。





川上は壁を走り、

それを蹴って

前宙を繰り返しながら、


ケイトの前で着地、


した瞬間、振り上げる!




が、

やはり一眼使いのケイトの姿はなく、


背後!


しかし

川上も姿を消しており、


背後!


背後!

背後!

背後背後背後!!!



背後の取り合い!




そしてケイトの背後に壁、


前に屈む!


瞬間、

伸びる銀銀銀!


壁に突き刺さり

刺さったままでそのまま振り下ろす!!


木材に糸ノコギリが入るように

ズズズとそのまま銀銀銀で。




まずい!

現祓でそれを受けて、


あのケイトにとうとう防御をさせることに成功する。




(や、やはり川上先生はでたらめに強い!!)




斬られた壁は

ぼろっと崩れ落ち、

大きな穴を空ける。


これはまずいとケイト、


後ろへ引いて

体勢を立て直す。



他の皆から見れば、

このバックステップは瞬間移動にも見え、


眼が追いつけない。




そこでも

川上はぴったりくっついてきて、




「おまえは、いつも逃げるなあ」




背中を蹴られて

ケイト、回転して地面へ着地!




「何かあればすぐに回避、逃げのアイデア。」


油断した!

一眼が機能してなかった!

引いてから考えよう、


逃げの姿勢が警戒を怠った!





「そんなもんなあ、がむしゃらでいいんだよ!」


「あんたは鬼なんだ!」


「鬼に!金棒!ってな!!」





川上は剣を振り続ける!


防御、防御、防御!





そして弾き飛ばされて、


「ってなあ、昔からいうじゃねーか。」




捨て台詞を吐かれてしまった。





そうだ、

あたしはもう、

無敵、


何の変身もしてないあの人に、


負ける訳が…!!






しかし、

酒呑童子の眼から見ても、

ケイトは敗色濃厚。


《これは、いけませんね》




川上は勿論強い、


だが

鬼羅ケイトも負けてはいない。


そうなると

あとは心の戦い。




《なんで!なんで!》


振る、

がむしゃらに!

現祓を!


振れば振るほど

かまいたちのような

鋭さを持つ風が吹き、


辺りの地面や壁を斬り刻んでいく。




しかし、

川上に届かない、


全てを受けられ、

いなされ、




弾かれる!





《うぐう!!!》


直立のまま吹き飛ばされ、

踵が地面を削って走った。


よろめいて、

体勢を立て直したところで


「ばぁ!」



目の前に現れた川上、

それを振り払うが、


《…しまった!》




転身、

残像なのはわかっていたのに、


背後から打たれ、

肩が凹む。




《あぐぅあ!!!》


そして後ろへ刀を振るうが、




もう遅い。





とっくにかわした川上は、


真っ白な妖力に包まれていた。




「鬼になってあんたは更に強くなった。」


「この子たち、生徒たちには逆立ちしたって敵いっこない強さだよ。」


「けど所詮、その程度。」



妖力を解放した川上のプレッシャーは、

全身を貫いて、

激しい鳥肌を時間差で感じさせた。




《…はあ、はあ、》


死を予感する。





ならば、


現祓に全妖力を集中、




鬼羅となりて、

滅する斬撃、




鬼羅滅斬きらめき




俥に試した大業、


あの時は膨大な妖力を

コントロールできずに無駄にしてしまったけど、


今なら、

刀に留められる!





川上もそれを察知、


だが逃げない、





「来いよ、そんなん跳ね返してやる」





蒼い光を刀がまとい、

膨れ、

大きな大きな、妖力の珠が剣先に集まる!




ケイトは飛び、


《喰ぅらえええええ!!!!!》





いばらが察知し、

神くんを脇に抱える!


《逃げるよ!!》



底なしのケイトの妖力が

全開で放出されれば、


この場は無事では済まない!



そのいばらに続いて、

生徒たちも退避行動、




《フラン様ぁ!!》


メイドのマリーが

壁にめり込み、失神するフランシスカを見つけ、


抱えて出口へ避難。






ケイトは目いっぱい刀を振り上げて、


川上に全身全霊をぶつける。







「晴名、ケイトか。ずいぶんおもしれぇじゃん。さて、どうすっかな…」


必死なケイトとは裏腹に、

微笑む川上は、

銀銀銀を頭上に掲げて、




放たれた、太陽のように巨大な

ケイトの妖力珠を喰らって、



姿を泡沫に、


光とともに消えて無くなった。






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