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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
弐の章 蒼い春
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矢継ぎ早





「どうしよう!?」


落ち着いて考えれば、

人に刀なんて向けられない!


戦わなきゃならないのはわかるけど!




《とりあえず武器だしなよ、身ぐらい守れ。》


いばらの両手が光り、

黒いメリケンサックのようなものが現れ、


流れのまま、

ケイトと神くんも


現祓と刃沙羅を現し構えた。





それが狼煙となって

向かい合う生徒20名ほどが一斉に武器を

同様、現す。


肩を揺らし、

笑いながら、

フランシスカも、勿論。


《まずはお手並み拝見、私は後で戦ってやる》



フランシスカの真っ赤な両手斧が

バトンのように回転、

地面に持ち手の柄を

勢いそのまま突き刺した。




生徒たちは連携よく、

ぐるっと3人を包囲して、

いつでもどの角度からでも攻撃できる体勢。


ケイト達も背を合わせ、

三角形のフォーメーションで迎え撃つ




と、

どこからか川上の声、


「泣いて謝ったら許してやんよー!」





何考えてんだあの人は!

許さないって言ったり、

許すって言ったり!


謝るもんか、余計に、絶対に!





だが、

下手に動けない!


刀の柄を握る力は入るが、

どうしたらいいのか




『…。』


ケイト達を囲む群、


その中の1人が

無線のイヤホンマイクで何か呟く。


すると

すぐさま、




「…ぎゃん!!」


ケイトが勢いよく横に吹き飛ぶ!



神くんといばらは不意を突かれ

お互い目を合わすが、




『…。』


また呟く。




すると


「…くっは!!!」



今度は神くんが吹き飛び、

仰向けに倒れた。




すぐさまいばらは状況確認、


(ケイトはこめかみ、神は額、飛び道具か何かが当たった傷がある!)







…そう、


何も取り囲んだのが全ての生徒ではない、





「へえ、結構妖力練りこんで防御してんじゃん。」


高い金属音を鳴らし、

スナイパーライフルのようなものを

リロードして、

次の弾を込める。


その男、勿論青葉の制服、




生徒、

ケイトの席の斜め左後ろの席。


「…わかってる、次はローゼスだ」


この男、

山岡石舟、


石舟の耳にもイヤホンマイクが。





こいつと組むのが、


『…いや、やっぱり待て、ローゼスさんは手強そうだ。神経澄まして弾発の位置を探られかねない。』


『…場所を移動して指示を待て。』


『まあ、結果はどうあれ、今の2発は良かったぞ…。』





…清河八作。


なるべく群れに馴染み、

目立たず、

地味に、石舟に指示を出す。






(次はあたしなのに、打ってこないか…なかなか勘のいい奴。)


いばらは妖力を皮膚の薄皮一枚全てに集中し、

敢えて撃たれて方向を読むつもりだった。




ケイトと神くんはその間に起き上がる体勢。


その際、

3人は目でコンタクトを取り…




「…はっ!!」




お互い別方向へ散り散りに!


やはり

多勢は厄介で、


どちらにしても多勢に変わりはないが、

自分についてきたものだけを相手にする方が楽だ。




生徒たちは思惑をそれぞれ抱き、

それに従い、

各々追いかけた。



幸いに

この敷地は広い!

隠れる場所がないくらい開けてはいるが、

逃げ回りながら戦うのは容易!



ケイトは飛び跳ねながらも

蒼く発光し、

現祓に妖力を込める。



そして、

駆け抜けざまに


蒼刃を飛ばす!

飛ばす飛ばす飛ばす!!



追いかけてきたのは10人弱か、

その先頭集団の頭には何発か当たって転げた




「…そうだ、そうだよね!!向こうだって妖力でガードしてるんだから、多少食らっても死んだりしないよね!良かった!」


遠慮は無用、

人間に対する葛藤があったが、

それでは腹の虫が収まらない。


また飛ばす飛ばす!

後方へ!!




「前方…不注意でぇす!!」


その声が聞こえた時にはもう遅い!


岩!?

巨大な岩が正面から猛スピードで迫る、


…イメージ!




すかさず現祓を一文字に構え、


少女の拳を刀身で受け止める


その瞬間、

メキメキと軋む音、

そして痺れ、

最後にインパクト、


後方にきりもみ状態で思い切り吹き飛ばされ、


壁に激突




する刹那、


《ケイト、奴はあたしがやる。》


いばらが

ケイトの背中を衝撃相殺で受け止めて、




「おっ、反応いいねぇ~」


向こう側で

首を回し、

拳を鳴らす巨岩の正体へ飛び立った。


相良あかね

いばらと同じく、

両拳に武器を纏い、

手ぐすね引いて相手を待ちわびる。





地面に降ろされたケイトは絶句する。


「いばらちゃんの敵、全員、倒したの…?」




倒れて苦しむ生徒たち数人。


いばらは涼しい顔してもうやっつけていた。







「ローゼスさんも強いんだね~楽しみでぇす」



《あんた、相良さんだっけ?前の席の?》








相良もいばらも嬉しそうに向かい合い、


同時に踏み込んだ。


いばらが拳を出すと、

それに呼応、

伸びた腕に伸ばした腕を巻きつけ、


手首を取って肩の関節を極めにかかる相良、



だが、

巻きつかれた瞬間、

空転し、

体勢をうまく変えて

胴を回して後方の相良へ回し蹴りを放ついばら



だが交わし、

相良の3発の拳を散発、

手の甲、

肘の柔らかな動きでいばらはいなしていく。



結った後ろ髪が跳ね、

廻る


笑むいばら、

相良も同じ、


2人だけの空間、

愉しい、




《…っ!!》


側頭部に激しい痛み二つ!


この時を

山岡が狙う。


「クソ!ガードをぶち破れない!!」




通じない山岡のライフル狙撃、

しかし

華奢ないばらを吹き飛ばす衝撃は十分で

横回転で転がり、

急いで膝をついて起き上がるが、


「よいしょお!!!」


すぐさま顔面を狙う相良の生膝!



掌を重ねて間に合ういばらのガードだが、

そこへしつこく膝を連打、連打、


「ハイ!ハイ!ハイ!!」






それを確認しているが、

身動きの取れない

助けようのない神くん、


「行くよ!キッコ!」


「あいさ!ナッコ!」


2人の少女が

いばらと神くんの間に立ち塞がる。



金髪と緑髪のコンビ。

このクラスは良くコンビを組むのか?



金髪の桂菊子キッコは鎖鎌、

分銅を振り、鎌を構える。


緑髪の山崎夏子ナッコは肩幅で足を広げ、

何かをブツブツ唱える。





(鎖鎌なんて経験したことないぞ…それに、山崎さん(ナッコ)が不気味、何だ、魔法か何かか?)


仕掛けたのは金髪のキッコ!

分銅をやはり正面へ伸ばし投げる!




(刀で絡めるのは危険、小さく避けるか…!)


だが、

それをさせないのはナッコ、




「カモメカモメ!!」


神くんのいる地面、

膝くらいの高さのこけしが無数に飛び出る!


そしてくるくる回って神くんを囲んだ!



「何だとぉ!?」


急すぎる!

急すぎるこけしに誰がリアクションを取れようか



避けねば、

どこに当たってもあんな分銅、

致命傷は必至。


仕方なく、刀を出す!

跳んでも良かったが、

跳んだら跳んだであのこけしが何かを仕掛けてこないか心配。


避けさせないためのこけし、

跳ぶことも予想しているはず!




キッコは分銅が刀にぶつかる寸前、

手首でチョイと軌道を変えて、

やはり刀に巻きつけてきた。

ダメージを狙った分銅ではない…


ダメージはしっかりと、

ナッコが稼ぐ…!!




ニヤリと笑ったキッコを確認した瞬間、


神くんを囲むこけしの輪が広がって…消える。


その瞬間、

真上に吹き飛ぶ神くん。




「うっ…がっ!!?」





太くたくましいこけし一本、

それが勢いよく地面から突き出て、

神くんにアッパー気味の頭突きを放った。


意表つき過ぎ、

もろに顎で受けてしまった。



揺れる眼球、

駆け巡る痛み、

何故!?

穴という穴から溢れ出る疑問符!




真上に飛ばされた神くんを、

キッコが逃がさない。


鎖を引いて、

こちらに思い切り手繰り寄せ、


「もらったね!!!」


逆手の鎌が神くんの胸板を貫いて

小さな真っ白い紙を切り裂いた!






…そう、


ここからは神くんの世界、




「こちらのセリフだ!」


酒呑童子から授かった 刃沙羅 の峰で、

キッコの肩を打つ神くん。


打たれたキッコは目を白くして倒れた。




それを見たナッコは神くんから距離を取り、


「変わり身…?」




そう、

神くんの十八番、


和紙による人形代(ひとかたしろ)での変わり身の術。

こけしの頭突きを受け、

鎌でやられたのは人形代だ。




気付いた時にはもう遅い、

既に2人の神くんがナッコの背後を取っていて、




他愛もなく失神させる。


ここから、

ケイトチームの

反撃の狼煙が上がった。






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