表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あにあつめ   作者: 式谷ケリー
壱の章 あにあつめ
5/127

和服の男、和服の女


《晴名、ケイトさま。》


牙の生えた和服男は頭を深くお辞儀して、



《あなたが来るのは必然、そう確信しておりましたよ》



差し出されたその白く、爪の長い手を取る気にはなれなかった。


自分で立ち上がり、


「た、魂を狙う者たちって…何!?」


「それに何で、あたしの名前を知ってるの!?」


疑問符が空間に充満していく。

怖くて周りを必要以上にキョロキョロと見回した。



和服男は口元を押さえて笑い、



《落ち着いて下さい。彼らは何もしませんよ、今は…ね。》



意味深な言葉を残し、

和服男は広い袖に伸ばした手元を隠して、



《あなたのことは何でも知っていますよ、何故なら、》


《…あなたのお兄様とはちょっとしたご縁がありましてね。》



もう1人の小さな和服女は氷のように表情を変えず、何も言わず、ただあたしのことをじっと見つめている。


お喋りな男とは対照的に。



「お兄ちゃんの、知り合いなの…?」



目線をまた和服男に戻して、


「どこ?どこにいるの!?ねえ!答えて!」


取り乱したと取られても構わない、

知りたい、


今の兄を。



すると、先ほどより更に1段階高い声で笑い、


《話通りの兄思いな良い妹さんですねえ!おほほほ!》


ここがどこかなんてもうどうでもいいし、

神くんも、魂を狙う者たちとかっていうのもどうでもいい!


「ここにいるの!?」


あの目の前の、

白い杜の中を調べる!

隠れてるの!?

それはそれでいいけど!



石階段目指して歩きだしたのに気づいたのか、


《ここにはいない》


と、

正面で右手を開いて見せる和服女。


いつの間に回り込まれたの…?



「じゃあ、どこにいるの!?」


その少女に食ってかかってしまった。

頭ではいけないとわかっていても、

身体がそうしてしまった。


《ここにはいないと言えばいないですし、いると言えばいますねえ》


今度は背後で和服男が呟く。


どちらとも言えない、

茶を濁す発言。



「何が言いたいの!?」


感情が溢れ出てくるあたしに、

握りこぶしをゆっくり見せる。


《この手のひらの中に、お兄様がおります。》


少し間を置いて、

和服男はこぶしを開いた。



「…ひっ!」



また更に高らかに笑う和服男、


《見て分かりますね?そうです、眼球です!右眼なのがわかりますか?ほほほ!わかりませんかねえ!?》


一瞬しか見えず、

目を逸らしたけど、

言う通り、眼球だった。



和服男は更に近づいて、

肩を叩く。


《3週間ぶり?でしょうか、感動の再会ですねえ》



その一言で確信した、

爆発した、

あたしの中の何かが、



《おっと!》



顔をどう言う形でもいいから殴りつけようと思ったけど、

何てことない事、

ひらりとかわされてしまう



「…お、おっ、にいちゃん…」



涙が溢れる

覚悟しかけていたけど…

やっぱり、

やっぱりなのかと、

涙が、溢れる




《あ、泣かした。》


《え、わたくしが泣かしたのかえ?》




和服のペアが何か言っている。

けど聞こえない、

聞きたくもない!


《あなた様は何か勘違いをされておられます!》


泣き崩れてしまったあたしの前に立ち、

和服男は優しい口調で、


《あなた様のお兄様は、身体を奪われてしまっただけでございます。》





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=836330751&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ