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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
壱の章 あにあつめ
44/127

瞳を増やす





誰か…




第三者から見て、

ケイトはよくやっている。


つい先日、

兄の代わりに妖怪と戦えなんて、

普通の女子が言われて、

看板にめり込んでまで頑張っているんだ。


よくやっていると言える。





けどもう限界が来ている。


それは酒呑童子にもよくわかっている。





《…ケイト様。》





酒呑童子だって、

いくら鬼とはいえ、

ここまで頑張っているケイトに手を差し伸べたい気持ちは十分にあるのだ。



だが、

それは出来ない。




そう、

酒呑童子は現世に降りることが出来ない、


未来堂に縛られた籠の鳥。





その理由はまだ明かさない。


そう、

それができれば自らが自らで済ませればいい話。






《…ケイト様、よくお聞きください。》






ケイトは顔をゆっくり上げて、

向かってくる盛鬼を睨む。



《…これはもう、最終手段です。》


《…あなた様への負担が大きすぎて、あまりお勧め出来ないのです。》




奥の手、

それは、

ケイトの右眼、


ケイラの、眼。




《…ケイラ様は、妖力はもちろん他の追随を許さない、剣術も冴え、人間の域を優に超えています。》


《ですが、それはあくまで人間相手、その辺の現相手の話、》


《…ケイラ様は、伝説級の妖怪達とも互角に戦っていたのです。》




この酒呑童子の呼びかけを

いばらが制止するが、


《黙りなさい!!》


白い手のひらをいばらに見せ、


引き続きケイトに呼びかける。




《…ケイト様、あなた様を死なせるわけにはやはり、行きません。》





盛鬼がとうとうそこまで来た。


首を曲げ、

コキコキと関節を鳴らす。


そして看板のケイトを見上げた。




《ここをな、火の海にして、どうなると思う?》


またタバコを咥え、

ジッポーの金切り音で火をつける


《…答えは何も、何もないんだよ。はは。》




煙を吹いて、

手を広げる盛鬼。




《焼野原にして、それだけ。はは、そして色々な街を手当たり次第焼き払っていく。》


《火事鬼、あんな奴を10匹でも作れば、一月でこの国はおしまいだ。》


《軍隊、何もできやしねぇ、何でもござれだよ。俺たちにはな。》




恐ろしい計画、

無計画な計画、

絶対に止めなければならないと、

ケイトの細胞全てが叫んでいる。


酒呑童子は話を続けた。





《ケイラ様の右眼には、特別な力があります。》


《瞳が…増える。》






ケイトの記憶が蘇る。


昔の、楽しかった、記憶。





「…どうしたの?」


「…いや、何だ、疲れてんのかな、何でもない。」




夕食

お兄ちゃんは、

箸で物が掴めないんだ。


今だからわかる、

何故か、

見えてはいるんだけど、

遠近感?

が無くて、


手前で箸を動かしたり、

奥で動かしたり、


細かい、

豆とか、魚の骨とか、

そういうのが、




掴めてなかった。




《一眼、二眼、お兄様は三眼まで増やせました。》


《その負担は計り知れない…ですが、》


《瞳の力は妖力に多大な影響を与える!》





ケイトはとうとう看板から体をはずし、

自ら道路に着地、


交差点の真ん中、


逃げた人々が、

乗り捨てた車達が盛鬼をも囲んでいる。





《眼を使いなさい!今すぐに!》





と、

言われましても!


今までなら、

そう答えたはず、


だが、

ケイトには不思議と、




その訳のわからない提案を

成し遂げられるような感覚があった。




瞳を、

増やす。





眼の中に、

眼を、


点と点を…







《まあ、こんな餓鬼に一蓮托生ってのも、酒呑童子はひでえことしやがるとは思うぜ》


《昔ながらの常もいない、たった小娘1人に全てを託すだなんてなあ、》


《察してやる。》




あえて左眼を殺す。

邪魔だと感じた。


瞑って、

右眼に集中、




今まで見てきた2つの点が並ぶもの全てを思い出して記憶に並べていく。


イメージを膨らませ、

固める。




《…ケイト様!!》





集中しすぎて盛鬼の攻撃に気づかなかった


あの赤い車のボンネットに乗り上げて、

フロントガラスを割り、

転がってあの子、

あたし?は飛び上がって吹き飛ぶ。



殴られた?

蹴られた?

わからない。

見えなかった。




けど、

1つわかることがあった。





この右眼は、


盛鬼を後ろから見ていて、

あたしのことも、

客観的にそちら側から見ていた。





《…ケイト様、それが、》


《一眼です。》








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