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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
壱の章 あにあつめ
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《いばら、おやめなさい。その方が怪我をしてしまう。》




ほほほと笑って、フランシスカをチクりと皮肉で刺す酒呑童子。




《怪我?怪我と聞こえたが、私が何故怪我をするんだ?私の方を見て貴様は今、怪我をしてしまう、と言ったな?》



コケにされたフランシスカは今にも爆発しそうだ。


仲が良いわけでもなんでもないが、

何故だかそういう気がする。




《はい、あなた様は確実に怪我をします。怪我で済めば良いですがね。ほほほほほ》



何故!?

何故からかい続ける!?

やめて!怖いから!



《…Quieres probar?》(…試してみるか?)





一気にこの神社の気温?が上昇し、

まだ春先なのに

雲ひとつないお日様模様の真夏みたいな暑さになる。


その原因こそ、

フランシスカが全身から放出する真っ紅な妖力だとすぐに右眼でわかった。




悪魔祓い師(エクソシエスタ)、あなた様は何故魂を集めるのです?(こちら)(そちら)は関係無いでしょう?》


そんなフランシスカに全く動じず、

まるでいたずらした子供をたしなめるように

酒呑童子はゆっくり語りかけた。




《貴様らにも関係ないだろう?これは、コケにされた事の問題だ。》


あまりに放出の勢い凄まじいフランシスカの妖力、


周りの木々が圧でばたつき、

皆の衣類が激しく揺さぶられる。




《これじゃ、そんじょそこらの現は近寄れないね。商売上がったり。》


手のひらを上に向け、

フランシスカの愚行に呆れるいばら。




だが、

酒呑童子の考えは違った。


《それでいいのです、そんじょそこらの現に用はありません。》




えっ!?

あたしもそうだけど、

その言葉にフランシスカも驚いた時、




《随分と楽しそうなパーティーじゃねえか》





堂々と、

神社正面の鳥居をくぐり、

歩いてくる黒スーツ。


片耳に大きな3つのピアスを揺らし、


灰色のオールバックを決めている。





《…ほほほ、そんじょそこらとは違う現が現れましたね。》


フランシスカの妖力を撒き餌に使うため、

わざと挑発し、

おびき寄せた?



《榊、いや、盛鬼さかき、会いたかったですよ。》



よっこらしょと、

集魂石から足を出して草鞋で着地する酒呑童子。


あたしはびっくりしてその集魂石を落とした。



《酒呑童子、か?ワシは会いたかねえなあ、テメェなんぞに。》



向かい合う常の酒呑童子、

そして現の盛鬼、



《盛鬼、むやみやたらに現を増やしてはなりませんよ、世の均衡が崩れます。》


《テメェにゃ関係ねえ事だ。口出しするんじゃねえ。》



お互い妖力を放出している訳ではない、

なのに何故だ、

何故ここまで空気が張り詰め、


空間が歪んでいるように感じてしまうのか。




《おい、貴様ら、私を放置するなよ?》



フランシスカ、

もう妖力が極限まで高まり、

全身を包むその紅で、まるで血塗れになったよう。




《小娘は黙っていなさい。ほほほ。》




フランシスカに目もくれず、

酒呑童子は盛鬼の顔をじっと見据えている。


《盛鬼、あなたの主人に言伝えなさい、私達はあなた達を見ている、と。》



ケイトは何が何やらわからない、

フランシスカもそうだが、

急に現れたこのガラの悪い男、

情報が多くて処理できないでいる。




《見ているだぁ?》


榊は酒呑童子を鼻で笑い、

唾を神社の石畳に吐く。


《見ているだけじゃつまらんだろ?かかって来いよ、今すぐ》



榊も妖力を放出する、

フランシスカとは違う色、

灰色の、鋭く尖る色、



この挑発に酒呑童子は眉間を白い指で押さえ、

ため息をついた。


《魔も現も、どうしてこう血の気が多いのか。必要あらば、かかって行きますよ。今はその時ではないだけ。2人とも頭を冷やしなさい。》




酒呑童子にしてみれば、

フランシスカも榊もまるで子供の扱い。


まともに相手をする必要がないようだ。




酒呑童子はケイトといばらに合図を出す、


《さて、店に戻りましょう。あなた様に話しておくことができました。先ほどの魂はその娘にくれてあげなさい。》


戻る?

どうやって?

ケイトがあたふたすると、


《では、御免。》





手で何かの形を作り、

酒呑童子が一言何かをつぶやくと、


一瞬で違う神社、

いつものあの、未来堂百一文にやって来た。





《…おいおい、逃げちまったよ。》


そして、

取り残された榊と、


《…Idiota.》(…バカが。)


フランシスカ。




榊は葉巻をどこからか取り出し、

咥え、

ジッポーで火をつける


《バチカンからの祓い師さんよ、俺たちは(あんたら)とはやる気はねえ。》


吐いた煙が太陽の光と混ざり、

燻る。



フランシスカは両刃の斧を消し、

腕を組んだ。


《現もバカばかりではないか。それは賢明な判断だ。》



フランシスカと榊は、

邪魔をしなければ干渉しないという

暗黙の了解を互いに得たようだ。





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