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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
壱の章 あにあつめ
15/127

同業者




同業者…!

(うつつ)と戦い、

魂を集め、

未来を借りる者…!!


戦う必要は無くなった、

が、

違う高揚感が心から溢れ出てくる


「あっ、あの!!」


聞きたい事がたくさんある!

酒呑童子に聞けばいいこともあるんだろうけど、


リアルに戦い、

生き延びた者にしかわからない答えがきっとあるはずで…




紅い少女は口元に人差し指を置いて、

口を閉じ、息を吹いた。


そしてあたしを黙らせ、

静かに口を開く。




《…同業者は、皆仲間なのか?》



…えっ。



《現を狩り、魂を集めている。だが、それは私個人の問題で、お前には関係ない。刀も無論。そんなお前に私が何かを説く必要は無い。黙れ。》




…確かにそうだ。

…同業者だからと言って皆、手を取り合うか?


…同業者こそ、敵。




《お前と出会ったのはあくまで偶然。それ以上でもそれ以下でもない。》


紅い少女はまたフードをかぶり直した。


行ってしまう、

せめて、


「お名前は…?」



ニヤリと笑った口元だけが見えて、


《No merezco llamarse a sí mismos en su caso. Es estúpida.(お前に名乗る筋合いはない。アホが。)》



謎のスペイン語を呟かれて行ってしまった。



「うえっ!?」


今、絶対名乗った感じじゃない!!

早口だったけど文章だったし!!

なんか、

なんとなく馬鹿にされたような感じがする!

わかんないけど!!



困ってしまって頭を掻いた。

その時見えた、

夜明けを告げる日の出。


予感がこみ上げる。


その予感、的中する。

近く、

紅い少女と再会する。


現狩りを越えた形で。






《話がややこしくなりましたね〜ほほほ》


パーカーのポケットからいきなり顔を出す酒呑童子。


「ぎゃあああ!!!!」



腰を抜かしてしまった。


《私が現れるといつもあなた様は腰を抜かされますね。慣れてください。》



ポケットの中に集魂石は入れていた。

そこから昨晩のようにまた顔を出したのだ。


「慣れるわけないでしょ!!」




…それから、


公園にある、

テーブルとベンチが一体型になっている所へ。



少し不気味に見えるだろうけど、

落ち着かないので

集魂石をテーブルの上において話を聞いた。



「盗み聞きしてたんですか…?」



生首に向かって話をする、

なんとも言えない感覚。


《店番は暇でして、俗世で言うテレビなんですよ、あなた様の生活は。集魂石を我々、食い入るように視聴して、日々勉強させていただいております。》


《俗世で言うプライバシー?でしょうか、それをお守りになりたければこの石はどこか、直射日光を避け、常温で、子供の手の届かぬ所へ保管くださいませ。》



…馬鹿正直にこれを持ち歩かなきゃよかった。


…全部お見通しってわけ?



…トイレとか、お風呂とか?


…最悪。




そこには敢えて触れずに、

酒呑童子に用を尋ねた。



「あの子は…何?お兄ちゃんと知り合いみたいだけど。」



酒呑童子は鼻で笑って目を細めた。


《アレは第三の勢力、我々(とこしえ)(うつつ)とは違う、》


悪魔祓い師(エクソルシスタ)と謂れる者たちですね。我々は悪魔ではないのでアレらからすれば対象外なのでしょうが…》


《…アレは違う、手当たり次第、皆殺し。》



ピンと来た。

あの身体を通り抜けた感覚、

あれは、


殺意。



殺そうとしていた。


《アレには近づかない方が宜しいかと思います。》



酒呑童子の話を色々聞いたけど、

これが一番わかりやすく説得力があった。


「あの子、名前分かる?」



酒呑童子からすれば


無視すればいいと言っているのに。

そんな呆れ顔で


仕方なく教えてくれた。


《フランシスカ・マリア・リアマ…》




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