灰色の街を
その日の夜、
酒呑童子に呼び出された。
呼び出され方は単純、
驚いてしまったけど…
《こんばんは。》
集魂石から頭を出してこちらに呼びかけてきた。
リビングのテーブルの上に置いてあったもんだから、まるで生首状態。
「ひえええっ!!!」
腰を抜かしてしまった。
《いやはや、すみません、夜分遅くに。ほほほ。》
確信したことがあった、
集魂石を通ってこの神社を行き来することができるということ。
「用は、何?」
腰をさすり、
いばらも遠くでこちらを見ているのに気づく。
酒呑童子は袖を振り、
《私の刀、現祓はお気に召しましたか?あれさえあればその辺の妖怪に喰われることはないでしょう。》
お気に召しましたか?
とんでもない、
あれを手のひらから出していると、自分まで妖怪になった気がして凄く気味がわるい。
ましてや刀を手のひらから出せること自体不気味で、
《お気に召しましたか。そうですか。ほほほ。》
何が言いたいか、
こちらの表情で伝わったみたいだ。
《お呼び立てしたのは他でもございません。件がこれから産む災いの詳細がわかりました。》
《ある程度腹が大きくなると、件が語るのです。これから起こる災いのことを。》
《その災いとは…》
酒呑童子は袖をまくり、
一本指を立てた。
《火災です。あなた様の住む街、青葉市広域で発生します。死者の中には残念ながらあなた様のお名前は確認できませんでした。》
ん?
なんだ、あたしの名前はなしか。
そりゃ残念。
って何でだコノヤロー。
酒呑童子は牙を見せ、満面の笑顔。
さらに続ける。
《ですが、今朝の青年、神 衛花くんの名前は含まれております。》
それを聞いた瞬間、
あの寂しげな笑顔が火に包まれるイメージ。
そして火柱を上げ、
瞳と同じ色の灰色に。
《やる気が出るかと思って報告させていただきました。これをどう捉えるかはあなた様の自由。むしろ自分の危険がなくなったということでノルマを達成する必要がない、それもまた一興。》
目は鋭く、
口元だけで笑う酒呑童子。
《残り6日、あと4つ。未来はあなた様の手の中に。》
それから帰っても、
やけに神くんのことが頭の中でちらつく。
布団に入っても、
寝返りを打っても。
「あーっ!余計なこと聞いた!」
確かにこの街が火の海になるのは困る。
けどそれは神くんがどうのこうのってことじゃなくて、
もちろん今回の災いは止める。
あたしは関係ないなんて言わない。
けど神くんは関係ない!
そのまま眠れず、
とうとう朝の4時になってしまった。
まあ、不登校にはまだまだ浅い時間帯だ。
あたしは街を歩いてみたくなった。




