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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
参の章 血風からくさ編
126/127

底の底






「…そげに強いんだったら」


座り込み肩で息をする坂本は、

歯を見せ笑う川上に


「…先生、あんたが戦えば良かったんじゃ…。」




高校の外で行われている戦いのことを言っている。




「俺たち鍛えるより!あんたのデタラメな強さで戦った方がよっぽど合理的じゃろう!!」


すると

すかさずその坂本を蹴り飛ばし、


「確かにな。」


砂煙を漂わせ、

川上は笑みをやめた。




そして数刻後、


「ドラクエで言ったら、ワシがレベル70とか80だとするだろ?」

(ほんとは99だけど)


「お前らなんか良くて5とか10くらい。」


否定できない、坂本、土倉、沖野。





「その、ワシみたいなレベル70、80がゴロゴロいるのが百鬼夜行だとしたら?」





絶望的発言。


川上が百鬼夜行に

飛び出して行ったところでどうにもならない。





「戦闘できる教師ももちろん奴らを抑えてる、そして知っての通り、3年生と2年生も。」


「けど70、80なんてレベルの奴はいない。」


「食い止めるのが精一杯だろうよ。」





ここで、

満身創痍の坂本が


「おまんは何を言うがじゃ…」


身体を震わせ立ち上がる。



「要するに、おまんは…俺の(あん)ちゃん達や、先生たちを今、まさに捨て駒にしとるっちゅうことがか!?」




今、

百鬼夜行の鵺と戦おうとしている、

坂本の兄 金恃がいる。

金恃を信じる仲間達が、教師達がいる。





「まあそういうこった。奴らを犠牲にしてまで、ワシはてめーらの所に居る。」






川上と対峙する三人は大きく目を開き、

瞳を点にした。


川上は続ける、


「てめーらは今回の事件で傷ついて、涙を流し、岩代リカの為に何かをしようと戦ってる。」


「そんなてめーらは、もう傷つく必要はない。」


「今のワシにできるのは、てめーらを誰も手出しできない一人前にしてここから送り出す事、そう思っちまったんだよ。」






そ、そうか、


「川上先生、あんた、」


土倉が言葉の意味を理解した。


「俺たちを鍛え上げて、百鬼夜行にぶつける気か」





だが、

それだけなら語弊がある。


「そう、全員レベル99にしてな。」


「…誰も傷つかないように。」


目を細め笑い、

三人にピースサインする川上。





と!!

その川上、

そのまま横に激しく吹き飛び、

血の華をこめかみから咲かせた!!





先ほどから驚きっぱなしの3人!!


な、何が起こった!?













そう、その一撃は山岡が放った一撃、


先ほど

軽くあしらわれた山岡の(カルマ)、貫魔弾。



しかし

川上の超妖力防御を突破し、

頭を吹き飛ばした。




何故だ?


それは数分前、








「山岡、くん?」


清河がやられる所を見ていた生徒が1人、

そいつは

山岡が隠れていた岩のくぼみも見つけ、


優しく声をかけたのだ、




「…原。」


山岡は応えた。


ろ組の生き残り、原 沙織だった。




「清河くん、清河くんは!?」


原の問いに

山岡は首を振って、


「先生は、バケモンだよ…あんなのどうやったって倒せねえ、俺たちはただ蹂躙されて殺されて、このクソみたいな所で」


「…ただひたすらに、繰り返すだけなんだよ。」




原は冷や汗を一筋

顔から垂らして、



「…けど、何もせずにそうされるのを待つのは、嫌だよね?」


ぽつりと呟く原に

山岡は



こんな絶望の中、

こんな暗い、狭い岩のくぼみの中、


何でお前の瞳は満開の星空のように

輝いて、

俺を照らすことができるんだ?




女の前じゃなければ涙を流すところ、

それを堪えて


「けど、どうすりゃいいかわからん!!」


「ありったけ、ありったけの妖力を、弾に込めて」


「川上を撃ったのに!!奴は、奴ぁ、」


「それを歯で受け止めて、無傷なんだぞ!?」




原は山岡との距離を

狭い岩のくぼみの中縮めて、


「私も、ありったけを、弾にこめる。」






そうと決まれば話は早く、


原は山岡の手を握り、

自らの(カルマ) 昇竜天華で

山岡の妖力を何倍、何十倍にもエンチャントする。


岩くぼみの暗闇を晴らすような

桜色の光が2人を包み、

その春のような原の妖力が

数珠つなぎのように山岡の手を介して送り込まれる




昇竜天華で強化された自分と原の妖力を合わせ、

全てを、

その全てを


一発の弾丸を摘み、

そこに注ぎ込む。


山岡の業、貫魔弾は

妖力をこめるこの作業で時間がかかるのだ。





そうしている間に、


川上は坂本たちと話をしていて

貫魔弾の完成には十分な時間をあたえていた。





「原、お前の業はすげえよ…!」


出来上がって間もない桜色の貫魔弾をライフル、

浮舟に装填、


スコープを覗きながら

原に感謝と敬意を払う



「いや、い、そんな、私は、戦えなくて、こんな事しかできない、から…」


顔を桃色にして、

照れ臭そうにそわそわする原。


「威力がありすぎて、もしかしたら浮舟がぶっ壊れちまうかもな…!いや、けど、それでいい!」


「こんなにワクワクするのは、人生で初めてかも知れない!!」




スコープの照準がぴったり川上に合う、

いや

正確にはぴったりではない。


直線だと狙いは外れる。

距離的に

少し弾は下がる


だから、川上のこめかみ、やや上部!!




あとは

山岡の射撃センスが成した技であった。




「吹き飛べ…川上ぃ…」


「清河の怨みはぁ、おっかねぇぞぉ…!!」








岩場の空間を切り裂く銃声、


そして

眩しい銀髪を舞いあげて倒れ込む

最強の女、川上。





原へ

山岡はガッツポーズを見せる!


「やっ…!!」




しかし間もなく、


「…ってぇ〜」


「…痛ぇ〜なっ!!!」


身体を曲げて

跳ねて起き上がる川上。






坂本たちは

何かの衝撃を受けた

川上のこめかみにもちろん注視した。


「…まぁた山岡か!!また忘れてたわ!!あの狙撃!!」


こめかみから血は流しているが、

そこに少しだけ刺さったライフルの弾丸が確認できる。


それを、

我が血を吸う蚊を殺すように

摘んで


目を細め少しだけ注視したあと、


「ぽーい。」


単純に地面へ捨てた。






「…わっ、わわ。」


その行為は山岡と、原への侮辱。


2人は今できるパフォーマンスの全てを

あの弾に込めたのだ。



だが、

それは軽い傷をつけたほどで…






川上は山岡と原の隠れる岩場へ

指を差し、

叫ぶ!!


「レベルぅ!!5か6かぁ!」


「そこらのぉ!!分際がぁ!!!」


「魔王を倒せるかぁ!!!???」






そう叫び、

また坂本たちに視線を戻す。


「…さぁて再開しようや。チャンバラやろう。」




坂本は血を流しすぎている、


ぼやける視界の中に

深淵を見た。





「この化け(もん)は、底なんか無いがじゃ…」


(おい)らが、(さら)えるような、手の届くようなとこに無いがじゃ…」


「奴の、底は………」




坂本の意識が途切れる、


だが、

それを許さない


「坂本ぉ!まだ寝るのは早い!!」


土倉が坂本の胸ぐらを突き上げて、


沖野は刀を川上に向ける


「土倉合わせろや!!」




土倉と沖野はまだ諦めない、


「レベル5か10か?なら、」


「レベル5か10か?なりの戦いをするだけよ!!」




その時だ、


戦闘態勢に入り、

にやけ顔を見せた川上の足元が爆発して

その川上を

囲むように突き出て天へ伸びる太いコケシ群!!




「よく言ったぁ!土倉ぁ!沖野ぉ!」


「キッコナッコも加勢するよ!」




鎖の鎌を見えない速さで振り回す桂 菊子!!

巨木のようなコケシを操る山崎 夏子!!


この2人が突然現れた!!






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