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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
参の章 血風からくさ編
123/127

川上の秘策






青葉台高校、

その通学路のアスファルトやタイルが

木っ端微塵に砕け、

そこから砲撃の煙が立ち昇る。


所々には小火が現れ、

その通学路は焦土と化してしまった。




「…百鬼夜行、鵺。そして、誰だ?あんた」


目の前に現れた2人へ

声をかける坂本金恃。


「…あ?俺はマルボロさんだ。よく覚えとけよ?その人にバッサリ斬られちまうんだから」




坂本の周りに

数人の3年ろ組も現れて、


「金恃、勇作たちが他の妖怪に当たってる。お前は思う存分こいつらをやれ。」


メガネの七三分が坂本の肩を叩いた。




すると

坂本の右手が光り、


「…"陸奥長船明寿(むつのおさふねみょうじゅ)"」


と唱えた瞬間現れた金鞘の日本刀。




マルボロは太い眉を吊り上げて、


「お前も剣客か、つーか、今の日本は江戸時代に戻ったのか?それとも幕末か?」


「どいつもこいつも刀ぶら下げやがってよ」




坂本の刀が現れたのを皮切りに

他の3年たちも得物を出現させたが、

そのほとんどが坂本と同じく日本刀であった。





「刀ってかっこいいじゃん?くすぐるじゃん?心をさ。」


坂本がゆっくりと鞘から抜刀し、

鼻で笑うと


「…確かに、それは認めるぜ、くすぐられる。突き、揺さぶられる。」



マルボロも同調、嫌な笑い方をして

肩に担いだ刀を振り下ろし、

鞘を地面に投げ捨てる。




「…。」


マルボロが抜いた異様な刀に、

一度

言葉を失う坂本。




それに気づいたのか、


「そう、この刀、赤赫(しゃくかく)の真っ赤な刃はボロボロだ。」


「だがなあ、そのこぼれを直さねぇって事はどういうことだろうなあ?」


「マルボロさんだってよぉ、知ってるんだよ、ボロボロなのはよぉ、なのに何で直さねぇんだろうなあ?」




投げ捨てられた赤赫の鞘が地面を跳ねて

回転し、

動きを落ち着けた瞬間、


坂本を真っ赤な風が通り抜けた。





「…斬れ味に何ら問題が無いからだ。」




肩から入り、

スイスイと身体を泳いだ赤赫の刀身は


坂本のそばにいた3年の1人を2つの肉の塊に変える。




血飛沫を放射、

分離し、吹き飛ぶ3年。


皆の目の色が変わり

マルボロへ各々の得物が伸びるが、




「これは死の授業」


「刀はこう使うんだわ、クソガキども。」




囲まれたマルボロは

各々の得物の先端を踏み、


とんぼ返りしながらまた刀を横に一太刀。


赤赫のきっさきはまた1人、

3年の喉元を掻っ捌いて

大輪の赤い赤い華を咲かせる。





「授業料はその命、死を以て刀の使い方を教えてやる…なあ、鵺さんよ?」


マルボロの動きばかりに捉われ、

鵺が何をしているのか

漫然だった3年生だったが、





すかさず坂本は刀を鵺へ伸ばし、

鍔迫り合い。


「しっかりしろ!!相手を読み違えるな!!」


「こいつらは強い!!」




瞬時に2人も殺されてしまい

気が動転していたが、


坂本の一喝で目が覚める。




坂本が鵺を抑える、


だから、





「あたしらは…こいつを!!」


3年生の1人、千葉は坂本のメッセージを理解し、


頭を切り替えて

すぐさまマルボロへ当たる。


この千葉の動きは連鎖し、

他の3年生もまたマルボロを取り囲む。




マルボロは赤赫を1つ頭上から払い、


返り血を地面に飛ばして


「何だよ、マルボロさんの相手はその金髪の兄ちゃんじゃねえのかい。」


坂本を寂しそうな顔で残念がった。







この戦いはすぐさま

トレーニング施設の川上や旧太郎に

他の教師から実況された。


「…そんな、渡辺くんと、但馬さんがやられたのか」


旧太郎は口を半開き、

手を震わせ、

動揺を隠さない。




すると、


「旧ちゃん…代わって。」


旧太郎の代わりに

青葉台高校を守る結界を張っていた川上が

真っ暗な顔で旧太郎の肩を叩いて、


「…1年ろ組、トレーニングに入るぞ。」


ぽつり呟く。




勿論、1年生たちは誰も納得が行かない。


叫ばれる反論たち。





「…そんな事はあたしが一番わかってんだよ。」


「わかってんだよ!!!!!!!!!!」






皆の耳をつんざく

川上の叫び声。


生徒をぶっ殺されて

平然としている教師などいない。




それを察した1年は黙り、

川上の次の言葉を待った。





「トレーニングしてもらうけどな、それは無駄じゃねえ。」


「お前らには、今から"1年間"きっちり鍛えてもらう。」




そう言うと、

川上はあぐらをかいて

掌を叩き、合わせる。


そして歯茎をむき出しにし、

その掌一点を

まっぴらいた目玉で凝視、


「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!!!!!!」



川上を包む無数の稲妻が

施設の床を何度も焼く、感電させる。


川上はあっという間に汗だくになり、




「旧ちゃん!!!あとは頼んだぞ!!!!!」




ゆっくり

合わせた掌を離していくと、


その中から現れた黒い球体。





その球体は

川上旧太郎校長だけを施設に残し、

1年ろ組と川上を吸い込んで

消失してしまった。







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