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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
参の章 血風からくさ編
121/127

金色の光




青葉台高校に上がった火の手、


この口火を切ったのは

やはり

ルカ夫人だった。





《やはり、清浄のカラスがミアリメアリと接触しましたか。》


人が2人横になっても余りあるマッサージチェアに座り、

腕からチューブを伸ばして

何かを点滴しているルカ夫人。


《…ひのえの悪さが明るみに出るのは時間の問題か。》



ジュリアンは大理石の床に膝を落とし、


《申し訳御座いません。ガーデンで清浄を止めておけば…》


ルカ夫人へ

耳を寝かせて首を垂れる。




それを白く細い手で払い、


《ジュリアン、顔をあげなさい。》


《貴方のせいではありませんよ。悪いのは、ひのえ。》


《こうなった原因は、ひのえなのよ。》




点滴の色は紫、

ぽたり、ぽたりとゆっくり雫を落とし、

チューブを通って

確実にルカ夫人の体内に入っていく。




《そう、だからひのえに責任を取ってもらいましょう。》


《ミアリメアリがひのえの真実を見つけてしまったら、》


《晶に啖呵を切った私、ルカ夫人の立場がないじゃない?》



チェアの背もたれから離れ、

半身を浮かせて




《ひのえの責任は…》


《百鬼夜行の、責任…。》




ジュリアンの口が半開き、

この方は今、

この数秒後にとんでもないことを口にすると確信、


期待感に溺れて恍惚の表情、

縦に割れた瞳を輝かせる。




《百鬼夜行を、清浄にぶつけましょう!》




やはり!

やはり言った!

期待していた言葉を、

この方は平然と言い放った!




《仕方がないわね、だって、ひのえをまだ失うわけには行かないもの。》


《ウフフ、そう、仕方がない事よね。》





天下の大妖怪たちが集まる百鬼夜行を、

清浄会にぶつける、

なんて理想的な…


《鬼切丸は自分のメンバーが危機になると聞けば、相手が誰であろうと突撃するでしょ?》


あわよくば、

共倒れしてもらえば…


この方の敵になる者はもう、何もなくなる。




ジュリアンの喉がゴロゴロと

雷雲のように鳴って

四つん這いへ、

そして

ルカ夫人の露わになっている太ももに近づき

横顔を擦り合わせる。




《ジュリアン、早速鬼切丸に連絡なさい。》


《知らせるのです、ひのえの、危機を。》













そして、


《若様、第一陣が出撃しましたが、結界にてこずっているようです。》



青葉市の夜空を切り裂く

ド派手で大きな宝船が

何かの力で宙を浮いている。



その甲板に

百鬼夜行の玉藻の御前が膝を畳んで座り、

その白く透き通った細い膝枕を楽しむ

大将、鬼切丸。




《晶か旧さんの結界はかてえからな〜へへ》


《第二陣も向かわせていいよ。》




鬼切丸のその言葉で、

大きな空飛ぶ宝船から

多数の名のある妖怪達が

目下の青葉台高校目掛けて


飛び降り、

降り注いだ。




《さて、結界はどこまで保つかな〜》


《動かないと、ぶっ殺されちまうぞ〜晶〜》




少年のような

屈託のない笑みで

冷たく言い放つ鬼切丸。


青葉台の校内では

鬼切丸の読み通り、

大パニックとなっていた。





「アリちゃん!!!結界が保たない!!」


「打って出ないと!!このままでは…!!!」



高校の長、川上旧太郎は

地下の大トレーニング施設の中央に

あぐらをかき、

目を閉じ、手を合わせて

念仏を唱えている。


その形相は悲壮で、壮絶、

油のような汗が滝のように流れ、

瞳は血走り、

身体の周りには小さな稲妻が次々と生まれている。


どうやら旧太郎が

百鬼夜行を抑える大結界を高校全体に張っているようだ。




その光景を

見守ることしか出来ない子羊たちがいた、


1年、ろ組。




旧太郎の結界で

なんとか命を繋ぐ彼らは、

その傍らで

黙って1人、腕を組む川上に直訴する。



「私たち戦えます!!」


「このまま黙って見てても仕方ねぇだろ!!」



しかし、

川上はろ組を出撃させる気は毛頭ない。


「うるせえ、黙って見てろぃ。」




木の便所サンダルをカコカコと床で鳴らし、

イライラしている川上。


「ルカのババア…やりやがったな。」


この独り言、

今の状況の原因は理解している様子。





そして、

腕組みをほどき、

大騒ぎするろ組の面々へ

川上は静かに語りかけた。


「お前ら、ありがとう。自分も戦うって言ってくれるのは非常に嬉しい。ほんとだ。」


「けどな、お前らが戦ったところでどうこうなる相手じゃねえ。」


「今は耐えろ、校長先生も、他の先生方も、ワシも、死ぬ気でお前ら守っから。」




川上は思い切り手拍子を1つ打って、


「お前らには、お前らの出来ることをやってもらう。」


その手拍子がトレーニング再開を意味していた。




「川上ぃ!てめえふざけてんのか!?」


「こんな時にトレーニングなんてできないよ!!」



勿論起こるブーイング。

だが、


「今のお前らにはこれしかできねえんだよ!!早く準備しろ!!」




そのブーイングをかき消す、

川上の大きな叫び。




「それになあ、外はとりあえず何とかなりそうだぞう…?」





川上のスマホが

ようやくバイブレーションする。


この心地よい振動を

川上は待っていた。




「旧ちゃん!結界代わろう!」


「お前らは校長先生の指示に従って、トレーニング再開!!」




決死の旧太郎にも笑みが溢れる。


「…ようやく、来たか!!」










宝船の鬼切丸も

川上が期待するものを肉眼でとらえた。


《…援軍、ね。》



参謀役の鵺が、


《第一陣、壊滅しました。》


非情の報告。






死んだ常妖怪たちの亡骸を踏みつけて、


「あの七福神みてーな宝船に、鬼切丸がいんのか?」


「大将の首、誰が取るか賭けない?」


「いいね、何賭ける?」


揃いも揃った30人、




「アリーには電話しといた。出ないけど。」


「さーて久しぶりに暴れますか。」




スマホの画面を暗転させ、

ポケットにしまう。


金髪の青年、


クラス筆頭

坂本金恃(さかもときんじ)




率いる、

青葉台高校3年ろ組参上!!!!!








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