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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
参の章 血風からくさ編
116/127

星の子 4





《ケイト様…》


わかばと戦うケイトへ

酒呑童子が未来堂から呼びかける。


その声は

肌身離さず持ち、

懐に収めている集魂石越しに伝わる。




《戦いの御覚悟、見事でございます。》


《ですが…退きなさい。》




それを聞いて、

目が点になるケイト。


やはり、

ケイト自身も気づいた思い過ごしが、


思い過ごしではなかった。




何を言われるかなんとなくわかる、




《…あなた様の妖力は完全ではない。》


「 …妖力は完全じゃない。」


酒呑童子に合わせるように

ケイトも呟く。




やはり、動かない右腕の、影響…!





全身には妖力を生み出したり伝導させる通り道、


経絡

あるが、


右腕が動かないことにより、

右上半身経絡の伝導バランスが悪くなり

ポテンシャル以下

妖力出力しか生み出せなくなっている。



例えるなら、

スーパーカーがタイヤ3つでレースに参加するようなもの。




わかばはケイトを蜂の巣にするため、

こうしている間にも

どんどん迫ってくる。


それも、呑気に

ゆっくり

休みの日の朝のように

瓦礫の中を起き上がって、


焦ることもなく

大きく飛翔し、

ケイトがいる建物の屋上までやって来た。




《脚に妖力を集中させて全力で退きなさい!!》


《そして隙を見て石で未来堂(こちら)へ来るのです!!》




未来堂に行けば、

とりあえずわかばは追ってこないだろう、


だがケイトは叫ぶ




「うるさい!!」




拒絶!

そして


もう逃げないという決意。


逃げたら本当にいばらを見殺しにしてしまう事になる、


そして

仕方なくとはいえ、自分のわがままに

殿平まで付き合わせているのだ。


ましてや、

伊達もたった1人で戦っている、

その理由は?





それは、自分だ。





「うるさいうるさいうるさい!!」


逃げてもいい?

良いわけがない。


ケイトは構えて

わかばを待ち受ける。


一眼は勿論発動させている。




今のままではわかばを倒せない、

ならこうだ、


今全身を駆け巡っている100パーセント以下の妖力全てを、


左腕に集中させる。



こうする事により、

左手による攻撃全てに100パーセントの妖力を込めることができる、


が、

その代わり、

他の部位の妖力は0パーセントとなり、


攻撃を受ければ

致命傷になる確率は非常に高くなってしまう。




「それでもいい…!!」



左手だけに妖力を集めると、


現祓が碧い光に包まれ、

細かく振動し、

斬れ味の凄まじさを表現している。




そしてとうとう

建物を登って来たわかばが飛び出し、

ケイトの目の前に再び現れる




「弾けろ豚野郎!!!」


右手で引き金を引き、

左肩に乗せて反動に備えるわかば、


対戦車グレネードランチャー、RPGだ!


RPGの後方から火を吹き、

先端の鋭く大きな弾頭がロケット噴射でケイトに向かっていく。




「…!!」


だめだかわせない!

左に妖力を全て集中させると、

超人的な高速移動が死んでしまう。


やはり、

脚にも妖力を回さねば…!!




《違う!転身を使うのです!!》




酒呑童子が叫ぶ!


そうか、

一眼で転身すればいいのか、


何度もやってきたのになんで気付かないんだ!




なら、転身するのはあそこしかない、


左手の妖力は100パーセントを保ち、



ケイトはわかばを睨む!!




するとケイトは消えて、

RPGの弾頭が建物の地面に着弾、


爆発、

爆風、熱波が空間を支配する。





そして、


「次の一撃は、(命に)届くぞ!!!」


わかばのすぐそばに現れたケイト。


しかし、


「…やはり来たか。」



わかばはすぐさま武器を切り替え、

全身にC4爆弾を巻きつけ、

起爆スイッチを握りこんでいた。



宙を舞う2人の時が止まり、

目が合い、


わかばが笑い、

ケイトが理解し戦慄する。



ちょこまかと転身をするケイト、

それを嫌い

近づいてきたところを一気に吹き飛ばしにかかりたいのが、

その自らをも犠牲にするC4の理由。



確かに自ら爆発に巻き込まれるだろう、

だが、

妖力を全身に集中させれば、


死ぬ事はない、

それは今までの経験からも把握済みである。




だが、

ケイトは違う。


それに全てがわかばによってバレている。


そう、

転身する場所がない事も。




(ガキは初撃ダメージの無さを呪い、

次は刀に全ての妖力を叩き込んで迫るだろう。


ならば、

妖力によるガードもできず、

C4で弾け飛ぶ。


あのちょこまかと動く業は

あたしの身体でそこを遮って封じる!!)




「覚悟、って言葉あるだろう?」


ケイトは

わかばから漏れた不意の呟きに

耳を傾ける


「覚悟ができるかできないか、これが勝負のカギなんだよ。」


「お前、覚悟してたか?あたしは最初からしてたぞ?」




カチカチっと、

素早く二回起爆スイッチを入力、


2人は爆轟に巻き込まれ、

一度吸い込む爆風の中へ引っ張られて


そのまま熱波や爆発と共に

四方へ吹き飛ばされた。





その爆破に気づき、


穴の中で戦っていた殿平を放り、

セブンスがそこから飛び出した。


そして目に妖力をこめ、

ケイトやわかばの妖力、色を探る。



その場は

全てが爆破され、

瓦礫が舞い、落ちて

高温になった空気が肌をびりつかせる。




「わかばぁ!!」


熱風が熱い、

顔を腕で守るように覆い隠し、

叫ぶセブンス。


すると、

何か鉄筋の瓦礫が吹き飛ばされ、


「…。」


何者かが手を挙げて

無事を表す。




すぐさまセブンスが駆け寄り、


その手を掴んで

引っ張り上げる。




「C4はまずいだろ!わかば!!あいつ死んだんじゃねえか!?」


ずるりと引き出されたわかば、

煤で顔が真っ黒になり、

髪の毛から湯気が出て、

服がぼろぼろになってしまった。


そして二度ほど咳き込んだ後、


「…火薬は、調節してるから、標的(ケイト)は無事だよ。」


焼けた喉でセブンスを笑う。




確かに、

普通C4で吹き飛ばせば、辺り一帯に何も残らないくらいだろうか?


「無茶すんな〜おめえは。」


セブンスも笑って

わかばを地面にそっと座らせた。



その時だ、


「…ん?」




セブンスを貫く、

現祓の切っ先。


それは喉に刺さり、

ズブズブと沈んで行く。



「っごふ…!!」


すかさず刀身を握り、

手のひらがズタズタになろうとも

血を吐くセブンスは引き抜きにかかる。




ケイトは離れた瓦礫に居た。


爆破を逃れていた。




「な、何で!?」


確かに無事ではない、

だがそれほどダメージを負っている訳でもないケイトの、


その姿にわかばも驚く。





転身は一眼で見たところへ

直線的に超高速移動する業、


わかばの読み通り、

その射線上を身体で遮れば

たとえ遠くを見ても

遮られた場所までしか移動できない。




ケイトはセブンスに突き刺した現祓に


左腕で力を込めながら、

血の涙をまた流しながら、

わかばの疑問に答える。





「…あんたの瞳に映った場所に、転身した!!!」





爆破した時、

向かい合った両者、


わかばの視線はケイトの背後、

向こう側だった。


その瞳に映った場所へ

瞳を経由して転身したのだ。





しかし、セブンスとて並みの人間ではない。


喉の刀が抜けぬなら、

いっそ締めて、

抜かさせないようにして


わかばに攻撃の視線を送る。



わかばはすぐさま武器を出現させようとするが、




「はい!そうはさせない!!」


セブンスに放置された殿平が間に合い、


大久保(おおくぼ)!!」



無防備なわかばの背中を大振りの太刀で

斬りつける。


「あっがっ!!!!」




殿平の参上で、

ケイトもセブンスから刀を抜いて、


2人並んで改めて

星の子たちの前で刀を構えた。




「…ありがとござます…先輩。」


「あんた、眼大丈夫なの!?勝手に死なないでね。」





絶体絶命のセブンスとわかばは、


同じ事を考えていた。





(死ぬ事は構わない、第一は任務の遂行。)


と。







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