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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
参の章 血風からくさ編
115/127

1/2




何故来たケイト、


瓦礫の中、

薄れゆく意識の中で

この想いだけがいばらを苦しめる。


川上のところへ行く事は、

逃げることでもなんでもないのに、

何故戻って来た?






伊達の機転で

セラ、ストライク組から逃れたが、


「や、やっぱりあたしは…戻る。」


殿平の手をほどき、

路上で

踵を返したケイト。




「は?バカじゃないの!?」


「部長がせっかく囮になって逃げられたのに!?なんで!?」


ふわふわヘアーを揺らし、

眉を釣り上げて怒鳴る殿平。



確かに伊達さんのしてくれた事を不意にしてしまう、


だが、




「あたしは、その前にも逃げたんです。」


「大事な友達を置き去りにして。」


涙ぐむケイト、

その胆に圧され、

黙る殿平。


「右腕が動かないから、自分が世界で一番辛い想いをしているって、そう考えてた、」


「けど、一番辛いのはそんな自分を助けたり、支えてくれる周りの人たちなのに、あたしは…!」


「今できる事すら放棄して…!!ああっ!!」




ケイトは髪を左腕で掴んで引っ張り、

乱す。




「戦えるのに!!」




左手の中に現れる白い刀、現祓。


そのまま顔に近づけ

親指で鍔を持ち上げて、

歯で柄の目貫部分を噛み締め、


「んんっ!!!」


鞘から引き抜く。


抜いた鞘は消え、

口から左手に柄を持ち替えた。




「…あなたは伊達さんの所へ、あたしは、」


「…今向かうべきところに、向かう。」




妖力を解放し、

蒼の色に包まれるケイト。


高まった運動機能がフル回転し、

アスファルトの路面を蹴り出し飛翔した。







そして、


現在に至る。





「助けに来たよぉおおおお!!!!」





洞窟のように空いた大穴に響く、

ケイトの叫び。


それに呼応、

セブンスが確認する。


「ターゲットか!?」


わかばはうなづいて、


「3000万は後回し、捕まえるよ。」




セブンスとわかばも

先ほどのケイトのように自らの妖力を解放、


全身にそれぞれの(しき)を纏わせ、

地上へ飛翔する。




まさにその時、


白鳳(はくほう)…!!!」


穴の側面に身を潜めていた

殿平が2人を強烈な妖力突刀(ぶっさし)で奇襲!



それをセブンスが白刃取りで受け、


「わかば!行け!!」


ケイトを追うように指示。



わかばは了解し、

穴の壁をもう一度跳ねて

地上へ飛び出す。




「うっ!?おおおおおっ!!!」


殿平の業、白鳳を受けたセブンス。


白刃取りしたとは言え、

衝撃凄まじく、

穴の側面にそのまま叩きつけられる。



「わたしは第三者だし、晴名がどうなろうと構わない。」


「けど、あんたを逃したら、ウチの部長、狙うでしょ?」


「なら、殺すよね。」




穴のデコボコに手と足をうまく引っ掛け、


殿平が覚悟を決めた。








わかばは穴から飛び出した瞬間に


ご自慢のアサルトライフルを

フルオートで連射、


ばら撒かれた銃弾がケイトに降り注ぐ。




が、


「…一眼(いちのがん)。」




右眼の瞳を2つにして、


妖力が倍になる、

そしてお得意の、


「転身…!!」




その場から見つめた場所に瞬間移動。


その場所とは、


わかばの背後!!




「…もらった!!」


ケイトの太刀に迷いはなく、

わかばを真っ二つにする勢いで

動く左腕を振りかぶり、


鞭を打つようにわかばを叩く。




虚をつかれたわかばだが、


戦闘経験値とセンスで

その太刀になんとか反応し


「…ちぃ!!!」


アサルトライフルを縦にして

背中から襲う

現祓の初撃を右の側面で受け止めた。



しかし、

受け止めた位置が、

マガジンとフォアグリップの間、


そこに真剣が食い込み、

正常な銃弾の装填が不能となり

アサルトライフルの役目を終えてしまった。




だが、

それはいい。


わかばの武器はいくつもあり、

いくつも瞬時に出現させることができる。


このアサルトライフルがダメなら次、

次がダメなら次。


欠点と言えば

一度出現させた武器を消失させないと

次の武器を出現させることができない。




次もアサルトライフルか?


いや、

ゼロ距離のショットガンでもいいか?


取り回しの良い

サブマシンガンか?




と考えつつ

背中へ目線を伸ばした時、





「…居ない!?」


ケイトはまた転身していて、

振り返ったわかばの

また背後を突く。


「っ!?」


現祓の切っ先は

頭を振って回避行動を取ったわかばの

ちょうどこめかみに当たり、



川の水面を切って跳ねる平石のように

思い切り吹き飛び、

住宅のブロック塀にぶつかって

それは四散し砕けて

破片が大量に宙を舞った。





「…はあ、はあ、はあ、痛っ!!」


転身後の転身、二重転身は

ノーリスクで使える業ではない。


妖力を生み出す右眼に

大きな負荷がかかり

無数の毛細血管が一斉に切れ、


激痛と共に大量の血涙が垂れ、流れ落ちる。




たまらず刀を持ちながら

左手で眼を押さえる。


「…ぐ、ぐぐ」


けど笑う、

ケイトは笑うのだ。



致命傷を間違いなく当てた喜びが

痛みに勝る。


左手だけでも戦える事の喜びが

痛みに、勝る。




そして

飛んで行ったわかばを左眼で見据えるケイト。


死んだか、


まだか、





「…ってぇなっ!!!」


すぐに立ち上がり、

砕けたブロックを蹴り飛ばし

怒りを露わにするわかば。


ケイトが見たところ、

大したダメージを負っていない様子。




確かにこめかみに現祓の切っ先は当たった、


その時わかばは回避を諦め、


刀が狙っていた頭部に自分の妖力を集中させて防御力を高めていたのだ。




瞬間的に妖力の強弱をコントロールするのは、

並みの使い手にはできない芸当。


つまりわかばは、

そういう類の者ではない事が証明される。




「てめえ!!絶対殺す!!絶っ対に!!」


わかばはケイトを遠くで指差し、

汚い言葉を叫ぶ。




しかし、

ケイトはわかばどころではない心中。


妖力で防御したのはわかる。


だが、

こちらも現祓にはもちろん妖力を込めた。


なのに

通用しない、

と言うことは、、、倒せない?




RPGゲームでいう所のクリティカルヒット。


不意をついた完璧な一撃。

なのに

立ち上がってこちらに歩いてくる。





この時ケイトは気づいていなかった。


妖力の絶対量が

今までよりも圧倒的に少ない事を、


それが動かない右腕のせいだという事を。






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