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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
参の章 血風からくさ編
112/127

星の子 2




学校へ向かうケイト、


右腕を左手で抑えながら、

建物の屋根から屋根を駆けていた。




だが、

その軽快な足取りも止まってしまう。




「…晴名、ケイトさん?」


タイトなセクシードレスを見に纏った女性と、


小学校の高学年のような男の子、


その2人が

急に目の前に現れた。




こんな夜、

民家の屋根の上で名前を尋ねられたら

どんなバカでも

只事でないことは理解できる。



そういう表情だったのか、


女性が更に、




「怖がらなくて結構よ、できれば傷つけたくない。」




…やはり、敵。


しかも不思議と点が線になる。


俥には、

仲間がいた。




「…ごめんなさい、先を急いでますので。」


ダメ元はもちろん、

横を通り抜けようとすると、


「話聞いてた?従え。お姉ちゃん、俺たち強いよ?」




こちらが駆け出す前に、


その小学生が

凄まじい速さで飛んできて

目の前に立ちふさがる。




あと少しで学校に着くのに…


もう少し警戒しながら

移動できたのではないか?

はやる後悔。


そして、


左腕で、倒せるか?

万が一の事も考える。


けど、

俥の仲間だとしたら基本的に同じくらいには強いはず。


それが2人もいたら

倒しきれるのか?




「フフフ、その()戦う事、考えてる。」


「お姉ちゃんやっぱバカなの?」




ぬ、全部読まれてる…。


ならばとケイトは、




「何か、用ですか?」


警戒を解いて、

話を始めた。



すると小学生も少し下がって、


寄ってきた女の隣に位置を戻した。




「私はあなたに用はないわ、けど、雇い主があるみたいでね。」


やはり俥の仲間、

初めて会った時も同じ事を言っていた。


「一緒に来て欲しいの、安全は一切保証できないけど、フフ。」




…そう言われて話がわかる奴はいるの?


…というか、何であたしなの…?




苛立つケイト。


そして、

良くない考えがどんどん頭に湧いてくる。





…どうせ死ぬなら、抵抗してみる?




拒否したら殺される、

連れてかれても殺される、


なら、

足掻くか?




と、ここで

女が笑う


「わかりやすい娘。顔に出てるわよ?」


「どうせ死ぬならやってやる、って顔に。」



手のひらを逆さまに、

指を順番に畳んで

ケイトへ手招きする女。


「あなたが傷つきたいなら、私は別に構わないの。」


「女って、そういう気分になる時、結構あるじゃない?」




そして波動のような突風が吹き、

結界が

女の周囲1キロほどに張られる。




「ストライク、この娘は私が大人しくさせる。手出しは無用よ?」


ストライク、

と呼ばれた小学生は

つまらなそうに後頭部へ両手を回し、



「へいへい。」


これまた詰まらない返事をした。




「殺しはしないし、手足も削がない。」


「ただ、黙らせてあげる。」



と言って、

穏やかな表情だった綺麗な女はケイトを

刃物のような目で睨んだ。


その瞬間、

強烈な殺意?怨念?が

ケイトへ向けられ

背筋に寒気が走る。





その時だった。


「晴名くん!」



声の主は

一瞬で両者の間に立つように現れ、


覚えのある桃の薫りが

ケイトの鼻を通り抜けた。




「…伊達さん!!」


通りで覚えのある匂い、

ポニーテールの麗人、

伊達空奈美だった。


「…あたしもいるんですけど。」


の隣には、


「…え、ええっと…あと、ええっと」


…名前が出てこない!!



「なんであたしの事を知らないのよ!」


「剣道部次期エースかつ、青葉台のアイドル!この、殿平ユリ様のことを!!」



…ああ、伊達さんに近づくな

とかって言ってた…

顔は覚えていたが、名前が出てこなかった。



すぐさま、

ケイトのそばへ伊達が寄り、


「君の様子をそばで伺っていたんだけど、結界が張られたら黙って見ているわけにはいかなくてね」




伊達はどうやら川上から色々な話を聞き、


ケイトを見張っているわけではないが、

いつでも行動できるように

アンテナを張っていたようだ。





刃物の(ような目)の女は、

また穏やかな表情に変えて、


「…。」


いや、恍惚な顔に変貌していく、

そして、


「…うつ、美しい…!」




そう言うと女は、

すぐ顔を両手で塞いで

頭を振る。


「セラ!どうした!?」


隣のストライクが呼びかけると、

押し潰されそうな声で


「どうしたじゃないよ!こんな美しい人となんて…私、戦えない!!」


なんて言って、

ストライクの小さな背中に身を隠した。




「…。」




一瞬間が空いて、


「…殿平くん、晴名くんを川上先生の所へ連れて行って。」


「2人は、私が引き受ける。」




伊達の右手のひらが光り、


刀が現れる…!!




「…南無八幡大菩薩(なむはちまんだいぼさつ)…!!!」



現れた

白い煌めきが

皆の瞳を釘付ける。



そしてそれは長く、

力強く、

暖かかった。




そして、鞘から抜かれたその刀身は


更に美しく、

一点の曇りもない晴天のように

壮大で

自由な剣だった。





「殿平くん、結界の破り方はわかるね?」


「…はっ、はい!」


「なら羽ばたいて行くんだ、愛しき私の小鳥よ。」





殿平は顔を赤くしながらも、

ケイトの左腕を掴んで、


「…走るよ!!」


と、

ものすごい速さで駆け出した。





それを止めようとするストライクだが、


「そうはさせない。」


と、

前に立って

伊達は刀を静かに構えた。




「…ん、あんた、どっかで見た顔だな」


その際に

しっかりと伊達の顔を見たストライク。


すると

その言葉に伊達が反応する。



「私の顔は早く忘れた方がいい。」


「覚えているなら、私はいつでも君の処にやって来るぞ。」




ストライクは

伊達との戦いを回避する事は出来ない事を理解した。






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