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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
参の章 血風からくさ編
109/127





《なら、気兼ね無い。》





瞬間移動?

刀を振り上げ、

眼の前にすぐさま現れた覚醒いばら、


この動き、

俥の中では予測していなかった。


避けられるか?いや、無理だ。眼球では反応できたが、身体がまだ反応仕切っていない。ならば喰らうか?だが、この一撃は必殺の匂いがプンプンするぞ。なら防御か?いや、やはり肉体の反応が追いついていない。ダメだ、詰んだか?




激しく鳴り響いた金属音、


その衝撃と音量が

周りの木々を激しく揺らし、

地面を波打たせた。




「…ハア、ハア、ハア…」


地面を転がる俥の右腕。




素晴らしい、

身震いするほどの斬れ味…。


肘から下を

仕方なく差し出し、


得た、命を。




すかさず俥、後ろへ後退、


《何処へ行く?》


だが、

それに合わせていばらもぴったり付いて回る。





「…何処へも行かないよ。」


今度は右脚を


黒く巨大で、

爪も鋭い

斬られた腕のように変化させる。


その変化に耐えきれず、

一張羅のスーツパンツがはち切れた。



面剃(めんそる)…!!!」


地面に左手を付いて側転するように

いばらへ攻撃。


変化した右脚が狙ったのは

その鬼の形相激しいいばらの顔。



妖力で状態変化した

俥の足刀は読んで字の如く、

切れ味鋭い刀だ。


足首をくの字に曲げて

思い切り伸ばす。




《洒落臭いわ。》


一太刀、

今度はその右脚が

赤い血を撒き散らして地面を滑り、

二、三度転がって止まる。



バランスを崩した俥は宙で回転、


うつ伏せで倒れ、

残った左腕の反動を使い、

上体を起こそうとしたが、




うつ伏せの耳元で

刀が煌く音が聞こえた。





《…やはりな、大したことない輩ほど、強者をよく喋り、強者をよく演じる。》


《こんなものか、星の者よ。》




ほんの少しでも動けば、

いばらは手首を切り返し、

あっという間に俥の首を刎ねるだろう。


俥は歯をくいしばり、

目を閉じ、


屈辱というものを噛み締める。




《…まあいい、死ぬ前に少し聞こう。》


《…星が何故狙う?》





星、

という言葉をいばらが口にするが、


何かの組織なのだろうか?


俥が所属する、

何かの?



俥は答える、


「知っているだろう?我らは従うだけ、上の意向など関係ないのだよ。」




いばらは舌を打つ。


《我ら?星は何人この街にいるんだ?》




俥だけではないのか?

ケイトを狙うものは?




「おいおい、仲良し倶楽部じゃないんだ、何人来てるかなんて俺が知るわけないだろ?」


「1人もいないかもしれない、100人すでに配置されているかもしれない、そんなものは宇宙、さっぱりわからんね。」




いばらの刀先が

俥の頸動脈に迫る。


殺すか?


右腕、右脚を失ったこの阿呆を。




しかし気になる、

気を引く、


「死ぬ前にタバコが吸いたいね」


なんだこの余裕は?




絶体絶命、とでも言おうか、


俥のこの状況。


なのに何故だ?

ヘラヘラと笑っている。




《…。》


いばらの全身が

早く首を刎ねろと叫んでいる。


勿論そんなことはいばら自身もわかっている。



なのに気になる、

この余裕。












…克!!


地面ごとぶつ斬りにして

俥の首は胴を離れた。





そして刀を振るい、

血を払った。





《…不気味な奴め。》


刀は鞘に収めない。


何かが足りない、

まだ、

安心までには足りない。




「そう、警戒は正解だ。」




裸の俥が、

ゆっくりと立ち上がる。


「決着はまだまだ…付かない。」



また、

裸の俥が立ち上がる。




そして薫る、


「死んだ後の一服も、なかなか乙なものだ。」


タバコを吹かす、

服を着た俥、


そして、




「こちらはまだ身体ができるまで時間がかかるな。」




いばらの足元には

首だけの俥が転がっていた。





後方へ素早く飛ぶいばら。


《…貴様ら。》






全部で4人、


からくりは分からんが、

事情はわかる。


《斬り離された部位が再生し、身体を作ったのか。》



右手、右脚、胴、頭、


それぞれが意思を持ち、

攻撃を始めようとしている。




「僕はねえ、こういう身体だから、感覚が普通と違うんだよね。」


「死への恐怖なんか、どんな生き物にもあるでしょう?けど、それが無い。」


「だから、死ぬ事よりも、死なせてくれのではないか?ということの方に興味が湧く。」




3人の俥がそれぞれ右腕を

巨大に形状変化させ、


いばらを狙う。




「少し、楽しかったが、やはり君では無理なようだ、僕を死なせてくれるのは。」




だが、

いばらは笑う。


《おい、蟻知ってるか?》




俥はタバコを吐き捨て、

踏みにじる。




《知ってるなら、知ってるだろ?》


《1匹が、4匹になろうが、命の危機を感じるか?》





いばらは刀を構え、

刃を見せ、


牙を歪んだ口の隙間から覗かせた。





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