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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
参の章 血風からくさ編
107/127

KKS、動く 3




観客を割って、

どんどん突き進む近田。


それに必死でついていく比村と神。



「あっ、ああ!すみません…!」


「うわあ!足!ごめんなさい!踏んでしまって!!」



いちいち観客を相手に謝り散らし、

モタモタして遅れる神へ、

近田が、


「神!いちいちリアクションをしなくてもいい!早く来い!」


「え、ああ、はい!!」



そして気づく、


「あ、あれ…どんどん観客が…減ってきてる。」



ステージを通り過ぎ、

階段を見つけては

下層へ降りていく近田、


ここまで来れば勘の鈍い者でも否応なく理解できる。




「…僕らが向かってる所は…どうやら、」


「…一般のお客さん達が入れない、所…」




そして、

最下層に着き、


大きなエレベーターが現れる。



「…。」


そのエレベーターには

先ほどの入り口にいたような

屈強な外国人のガードが今度は4人ほど、


同じ格好で突っ立ち、

アサルトライフルを肩からぶら下げ

構えていた。




「…エレベーターで降りた先に、」


近田がポツリと呟き、

また胸ポケットから

例のカードを取り出し見せた。


「…ここに来た目的がある。」





ガードに近づいた近田は、


手を挙げるように指示され、

3人に銃口を向けられ、

残りの1人にカードを奪われた。



「比村、神、動くなよ。」



下手な真似をしたら近田は蜂の巣になるだろう。


いくら使い手とは言え、

銃弾は防げないか。




カードを奪った1人が、

イヤホンマイクでどこかに何かを確認。


「…。」


ボソボソと外国語を呟き、

こちらには聞こえないボリュームで

連絡を取り合っているようだ。



そのやりとりを待つ間、


近田がガードに警告する、




「あの2人にもハンズアップをさせた方がいいんじゃないか?」


「妖力を使うとしたら?」


「それに、手薄すぎる。警護に割く人数が足りてない訳ではあるまい?」




日本語も勿論理解しているようで、

4人の1人が

ライフルのセーフティを解除した音が聞こえた。




「こ、近田さん何を言ってるんですか!!」


神は言われるまでもなく手を挙げる。


比村もそれに

仕方なく付き合い、同じく両腕を伸ばした。




「はっはっはー、俺だけ馬鹿みたいに手を挙げてるのもシャクだからな。近田ジョークだよ。」


「さっき僕に、計画が台無しになるとか言ってたくせに!そのジョークで殺されたらたまったもんじゃないですよ!」



すると、

エレベーターが少し唸って

上昇を知らせる。




「だ、誰か来る…!」


神にもわかった。


そして、


チャイムが鳴って、

エレベーターの扉が、

ゆっくりと、


開いた。












その頃、


ケイトといばらの目の前には

お客さんが現れていた。



「元気だったかな、晴名ケイトクン。」



コートの襟を立て、

タバコの煙を空に舞い挙げる男、




《ケイト、知り合いか?》


背に隠れたケイトへ

いばらが尋ねると、


「…(くるま)、とかいう警察…!!」


知り合いも何も、

忘れたくても忘れられない嫌な男。



いばらも察して、


《ああ、こいつが、"星からの刺客"か。》




厭らしい笑みを浮かべていたが、


それを急に止めて、




「…お嬢さん、詳しいね。」


《ったく、この街はいつから変な奴らがウロウロするようになったんだか。》




いばらと俥の内部から

どんどん妖力が

生まれて

その空間を切り詰めていくのがハッキリわかる。




《ケイト、川上(バケモン)のとこに行ってきな。あたしがコイツをやるから。》


いばらが結界を大きく展開し、


周囲の住宅や道路、

木々や草っ原まで全てを包み込んだ。


「1キロ結界、そんなもん張ってどうする?」


(むし)ろ、張らない方がバレて、助けを待てるんじゃないか?」




いばらが笑う。


《女の子にはな、人には知られたくない秘密ってもんがあんだよ。》


《あんたは、誰にも見られたくない方法で死んでもらう。》



そして

手のひらをちょいちょいと仰いで、

ケイトに行けと促す。




「いばらちゃん、あたしも戦うよ!?」


《大丈夫、すぐ追いつくから。》




俥は短くなった咥えタバコを吐き捨て、


踏みにじり、




「そのお嬢さんは、このお嬢さんの後で始末する…」


「そして俺は、帰って美味いコーヒーを飲む、と。」


「…いいね。当たり前に。」




いばらはケイトの目の前にだけ、

結界の穴を開けて

そこから


後ろ髪引かれるケイトを逃した。



そして、




《…ようやく2人きり。》


《あたしのこと、何も知らないようだから教えといてあげるよ。》




確かに、


俥のリストにいばらの名前はない。

だが、


「酒呑童子の子だろ?それくらいはわかる。」


「それから、身の程を知らない箱入り娘だということも。」




俥も

ケイトに見せたように右手を大きく変化させ、

臨戦態勢に入る。



だが、

その様子にリアクションする事なく、


いばらは黙って

酒呑童子に言われた言葉を考えていた。






《鬼に変化する鬼羅(きら)、ケイト様もできるようになりましたね。》


これはケイトが傷を負い、

未来堂で休んでいる時のやりとりだ。


《ケイト様の右腕は当分動かない。》


《いばら、わかっているならお前がその腕となるのです。》





いばらは咆哮し、


地面に魔法陣のようなものを浮かび上がらせた。


それは激しい光を放ち、

辺りはおろか、

俥をも包み込むような激しい光源になる。




そして、


《…ふう。》




鬼羅、完了。


ツノが二本、

大きく髪をかき分け

頭から伸びて、


牙も伸び、

爪は鉄をも切り裂く鋭さを帯びた。




《右腕?あたしは、ケイトの金棒(かなぼう)だよ!!!!》


《ケイトを狙うものは全て、打ち払う!!!》




俥が笑い、


命の取り合いが始まる。






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