表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あにあつめ   作者: 式谷ケリー
壱の章 あにあつめ
10/127

再決意


曲がり角に入り、

人気の少なそうな路地へ飛び込む。


身を丸くし、

雑然と置かれたポリバケツやゴミ袋の側へ隠れた。



神くんに、神社のこと、

託された刀、現祓(うつつはらし)

小人の事や、

空中散歩、


おまけに高いところから落下しても無傷な自分の身体、


考えても答えの出ない問いで頭の中がパンクしそう。




…お兄ちゃん。


…あなたのせいであたしは、どんどんどす黒く、太くて長いものに巻かれていってる気がする。



…助けてよ。




頭上からだった。

その時声がしたのは。


《やっぱりグダグダになってたか》


塀の上に、

神社であった少女が腕組みをしこちらを見下している。


そこから路面に着地し、


《携帯民くらい、さっさとやっちゃいなよ。》



いばら?

だっけ、この生意気な子。


「携帯民…?あの小人?なら、あなたがやってよ!あたしは無理だって!」


すると、

ただでさえ寄っていた細い眉毛が更に眉間に集中して、


《別にいいけど、あんたのノルマは減らないよ?》



ノルマ、

魂5つとかってやつか…。


《1週間って、現世では案外あっという間、あんな雑魚で魂1つ稼げるのに、やっていいの?》



いばらは黒に近い赤い髪を指でくるくると巻いて、足踏みをしながらため息をついた。


あの小人はやっぱりチュートリアル、

それは酒呑童子も言っていた。


やっぱりあいつで稼がなきゃ他のうつつの魂5つ集められなかった時に後悔するのかも。



「じゃ、どうやって戦えばいいの!?沢山いたし、数が…」


いばらはさらにため息をついた。

激しめの、ため息を。


《言い訳ばっかりしやがって、さっき戦っただろ?小人2、3匹斬っただろ?それを何回もやればいいんだよ。》


いばらは近づき、

顔の前で、


《その刀を出してる時は、あんたの身体能力は妖怪並になる。空を飛べたろ?ちょっとやそっとじゃ死にやしないよ》


おでこを指で弾かれ、

尻もちをついてしまった。


《こんなところに隠れてても、あんたの妖力で携帯民に場所、すぐバレるよ?下手なこと考えるより素直に戦った方が賢明。》


そしていばらは凛と和服を揺らし、

背を向けた。


「あ、ちょっと待っ」


物凄い衝撃、

土ボコリが舞いいばらが浮上する。


路地の突き当たり、向かいの雑居ビルの屋上へ飛んで行った。



悩んでても始まらないって、

だから酒呑童子の口車に乗ったのに、

今もまだウジウジしている。


それじゃダメだよね、

あの子が大丈夫って言ってるなら、大丈夫なのかもしれない。


立ち上がって、

刀を握る。


「場所がバレるって言ってたよね…なら、待つ」


迎え撃つ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=836330751&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ