兄へ
兄へ
いつも口うるさくお節介なおにいちゃんへ
食わず嫌いな上、好き嫌いがやたらに多くて、いつも事あるごとにあたしのやる事に文句を付け、自分の言う事は絶対、と折れる事の無い性格の悪さ、いつも本気で嘘をつき、喧嘩ばかり、冗談ばかり言って真面目な話もろくにしかなかったね。
小さい頃にお父さんがいなくなって、
すぐお母さんもいなくなって、
あたしは、
おにいちゃんと2人でずっと過ごしてきたね。
貧乏で、
不自由な暮らしだけど、おにいちゃんはあたしを育て、学校に通わせ、未来への橋をいつも架けてくれていた事は本当に感謝しているよ。
感謝、
そんな感情にようやく気付き始めたのに、
どうして
どうしてあなたまでいなくなってしまったのですか?
あたしは今、
2人のいつもの場所、家の茶の間で紙とボールペンを取ってこの手紙を書いています。
1週間経っても戻らなければ、自分は両親と同じところへ行ったと思え、
なんて言っていたけど、まさか本当にそんな日が来るとは思いませんでした。
心の準備をし始めている心と、
その準備をめちゃくちゃに散らかす別の心、
胸の奥で感情がグチャグチャになって、
今にも壊れてしまいそう
寂しい
誰もいない家、
お茶碗を跳ねる水道の一滴、二滴、
豪快に笑って
サプライズだ、驚いたか?
なんて言って欲しい
この世でもう家族はあなたしかいないのに、
あたしを独りきりにしないで
ーいつも
いつもこの辺まで紙に書きなぐっていると、
涙が溢れてどうしようもなくなって、
泣き崩れてしまい、紙を丸めてゴミ箱へ放り込んでしまう。
それから
座っていた畳に寝転がり、
体を丸めてエグエグと泣いて眠る。
そして朝が来る。
兄は、もういない。




