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あにあつめ   作者: 式谷ケリー
壱の章 あにあつめ
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兄へ


兄へ


いつも口うるさくお節介なおにいちゃんへ


食わず嫌いな上、好き嫌いがやたらに多くて、いつも事あるごとにあたしのやる事に文句を付け、自分の言う事は絶対、と折れる事の無い性格の悪さ、いつも本気で嘘をつき、喧嘩ばかり、冗談ばかり言って真面目な話もろくにしかなかったね。


小さい頃にお父さんがいなくなって、

すぐお母さんもいなくなって、

あたしは、

おにいちゃんと2人でずっと過ごしてきたね。


貧乏で、

不自由な暮らしだけど、おにいちゃんはあたしを育て、学校に通わせ、未来への橋をいつも架けてくれていた事は本当に感謝しているよ。


感謝、

そんな感情にようやく気付き始めたのに、

どうして

どうしてあなたまでいなくなってしまったのですか?


あたしは今、

2人のいつもの場所、家の茶の間で紙とボールペンを取ってこの手紙を書いています。


1週間経っても戻らなければ、自分は両親と同じところへ行ったと思え、

なんて言っていたけど、まさか本当にそんな日が来るとは思いませんでした。


心の準備をし始めている心と、

その準備をめちゃくちゃに散らかす別の心、

胸の奥で感情がグチャグチャになって、

今にも壊れてしまいそう


寂しい

誰もいない家、

お茶碗を跳ねる水道の一滴、二滴、


豪快に笑って

サプライズだ、驚いたか?

なんて言って欲しい


この世でもう家族はあなたしかいないのに、

あたしを独りきりにしないで





ーいつも


いつもこの辺まで紙に書きなぐっていると、

涙が溢れてどうしようもなくなって、

泣き崩れてしまい、紙を丸めてゴミ箱へ放り込んでしまう。


それから

座っていた畳に寝転がり、

体を丸めてエグエグと泣いて眠る。


そして朝が来る。

兄は、もういない。




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