第三話 箒の行く先
「そういえば、実際に魔法って、どんなモノなんだ? どういう風に使ってるんだ?」
当初から気になっていた疑問を、今更になって質問してみた。
すると、片手を顎に当て考える素振りを見せた。と言っても後ろ姿だけど。
「魔法について、か。確か、私達には本来、身体全体に『レイファイーブ』ってモノが漂ってるの」
「……、何だって?」
どうやら、言語感覚の調整とやらを施しても、この言葉は標準化されないらしい。
「レイファイーブ。生命の波動って意味だったかな。で、これは魔力を生成するのに必要なモノなんだ。あ、魔力って言うのは、魔法を使うのに必要なチカラの事だよ。そして、そのレイファイーブを利用して魔力に生成したら、魔力を別の形に変化させれば、これで魔法が完成って訳」
レイファイーブという言葉の意味は、深くは理解出来なかったが、聞いた通りにまとめると、ソレは魔法を使うに当たって重要なモノなのだろう。魔力に生成してから、その後で魔法として放出する、ということか。
「それでレイファイーブはね、人それぞれに種類が違うんだって。だから、人によって使える魔法が異なってくるの。魔法学者の人達とかは、何か法則性があるんじゃないかって研究したりしてるみたい」
「種類の違いか。そんなもんまであるのか……」
興味深くはあるのだが、どうにも俺の頭じゃ処理しきれない。分かったような気になっているだけだ。
うーむ、なかなか難しい概念じゃねえか? 魔法ってのは。RPGとかなら簡単に魔法を使っているというのに。
「あれ、つーか、どうやって魔力に生成してるんだ?」
「……実は、私もその辺よく分かってなかったり。感覚で覚えるような感じだから」
さいですか。
これ以上、もう考えるのはよそう。脳の使いすぎで頭痛に悩まされそうだ。
「ほら、もうすぐだよ」
アリサが少しだけ俺の方を向いて、指で指し示す。その方向にはある建物が見えた。
「へぇ、アレが」
その建物にある窓を上から下へと眺めると、四段ほどあった事から四階建てであると推測。遠目からなのでよくは見えないが、奥には運動場のような広場があり、その隣り合わせにはドーム状の建物があった。言うまでもなく、体育館だろう。
正真正銘、どこかの名も知れぬ校舎である。まあ俺が知らないだけなんだけど。ちなみに結構広い。俺がいた学校よりはかなり広大な敷地面積だ。
「私立ペスティエル学園。私達の学校の名前だよ」
地名を元にした名前であるようだ。単純明快で分かり易い。
そして、スーッと箒がゆっくり減速しながら、俺達はその学園に降り立った。
「よし、到着、と」
そう言うと、アリサが何故だか箒を手放した。すると、アリサが魔法でも使ったのか、勝手に箒は飛んでいってしまった。
「え? どういう……?」
「通常、箒は使わない時持ってちゃいけないんだって。だから、今は校内の箒置き場にある筈だよ」
「はあ。そんな常識があるのか」
突如、カーンカーンカーン、とどこかから音が鳴った。振り向いてみると、そこには時計塔があり、そこから音が流れているようだった。
「あ、やばい! 急がなきゃ! ええと、ユウガミ君、また後で!」
「は? い、いや、ちょっ――!」
時既に遅し。もう校舎内に入ってしまった。っていやいや、駄目だろそれ!
「ったく、どうすりゃ良いってんだ……」
きっと、あの子はどこかマイペースになる気質があるのだろう。そのせいで俺が迷惑被ってるけどな。難しい言葉で言うなら迷惑千万ってやつ。
愚痴ばかり言っていても仕方ないので、とりあえず俺は、校内の散策をしてみることにした。
どうも。鷹宮雷我です。
突然ですが、この物語で使われる言葉に疑問か何かを感じた人はいませんでしょうか? 例えば「レイファイーブ」。
これ、自分で創造した言葉だったりします。今後もこのような言葉が出てきますので、ご期待を。
それではっ。