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騎士様の下働き  作者: みなみ
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悪政

前領主モルゲンには、息子バンデがいるが、勉学の為に隣国に留学中であった。

奥方の葬儀の後、モルゲンは心配する息子を笑顔で送り出した。



『広い視野と、最後までやり遂げる力を持ちなさい。

辛い事も困難も、知恵と思いやりを持ち解決できるように。』


バンデの留学は亡き妻が望んでいた事でもあったからだろう。



二ヶ月は、気が張っていた事もあり普段通り…いやそれ以上に仕事をし、領地を回り、領民の為に尽くしていた。



温厚で公正、そして優しい領主を皆は敬愛していたので働きすぎを心配していた矢先、倒れたのだ。


病状は、みるみる悪化し、起き上がることすら出来なくなった。


そんな中…

甥のギミルコーンが自分が息子が帰るまでの間代理領主になる事、また息子には知らせないでほしい事を伝えた。



良くも悪くも目立たず、控えめに領主の仕事を手伝っていたギミルコーンの言葉を人々は信じた。

一年と少しすれば息子も戻ることとなっていたし、それまでには領主も回復するはず…と思ったのだ。



今となっては、本当に頼まれたかすらあやしい。


領主の病状悪化も実は仕組まれていたのではと囁かれた。



ギミルコーンが就任して、一週間後…


領主の第一補佐官が階段から落ち、大怪我をおった。


不振な状況だったため、騎士団が調べはじめた翌日、騎士団長と副団長、他実力のある騎士達が次々と拘束された。


謀反を企んだという疑いで。


無罪を訴える者達も拘束され、

妻や娘、恋人の女性のなかには拘束を解く条件に体を求められる者もいた。


だが応じた所で、解放は無く、更に関係を強要されたのだった。

あるものは、徹底的に拒み、牢獄へ。もしくは、怒りをかい殺された。

あるものは、自ら死を選んだ。



ギミルコーンは、貴族至上主義だった。

そのため、実力主義により下の立場に追いやられた貴族でさえ、貴族というだけで持て囃され、おもうままに振る舞える権利を手に入れてしまった。

女性に体を求めたのは、そういった実力はなく、ただ借り物の権力を振るう貴族達がほとんどだった。



一ヶ月後、領民には5倍の税が課せられた。

平民出身というだけで、領主の元で働いていた実力者は排除され、あるいは拘束された。


とても払えないと直訴した者もいたが、翌日家族もろとも処刑され、広場に晒された。



簡単に人の命を奪い、虐げることも厭わない。



恐怖政治は、またたくまに逃げようという気力や思考を奪った。




小さな森の領地は絶望に沈んだ。

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