仲良くなれるかな。
お久し振りです。
「はっはっは、全くユナは困った人ですね。
謝りなさい、全力で。」
「うふふ、ユナカイト様ったらまた私のアル様を困らせていますの?
相も変わらず最低ですわね。エイシャに報告してあげてよ?」
美男美女が微笑み合って囁く。
一人はお馴染み腹黒副官アルベイル、もう一人はアルベイルの婚約者のエリザベール嬢。
情熱的な赤毛にエメラルド色の輝く瞳をした、ちょっと垂れ目の守ってあげたくなる系の美女であった。
しかしながら、その美しい口からは毒が吐かれる。
アイリはただただ固まって成り行きを見守っているしかなかった。
今、アイリは馬車に乗っている。
ユナカイト主催の慰労会という名の食事会に参加することになり、余所行きの格好に着替えた頃、家に馬車がやって来た。
そこに乗っていたのがアルベイルの婚約者エリザベールであった。
馬車に乗り込みはじめはにこやかに自己紹介をし、エリザベールはしきりにアイリにかまいかわいがってくれた。
しまいには膝だっこすると言い出した。
どうしてこうなった?!と内心思うが流され現在、エリザベールの膝に緊張感マックスで座るアイリ。
そんな所に、明日から行く学校のクラスメートになる子が来るから仲よくねーとユナカイトが爆弾発言をかました。
家庭事情が他の子どもと違う上、すでに働いているアイリは正直同世代のうけはよくなく、はっきりいって排斥されやすい傾向がある。
万が一、その子がユナカイトに憧れてたら最悪だ。
固まって顔色を悪くしたアイリを見て、エリザベールは傍らにあった扇をユナカイトに投げ、アルベイルがクッション(堅め)を顔面にヒットさせ冒頭のセリフとなった。
綺麗なレースの手袋をしたエリザベールに耳をおおわれながらアイリは悩んだ。
「仲よく…したいけど、できるかな…」
大人達の優雅な罵りと主の謝罪を聞き流しながら呟かれたアイリの声は誰の耳にも届かなかった。




