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20話 初めての真実 2

 今は、記者に気をつけるだけでは足りないらしく、いつの間にかSNSに写真があげられてしまうこともあるのだと畑中さんが教えてくれる。事実がどうであれ、憶測で様々な情報が飛び交うと、それを信じてしまう人もいる。そう畑中さんが言うと、龍介さんが小さく深い溜息をついた。


「週刊誌とか、ネットとか……すごいんだよね。なるべく見ないようにはしてるんだけど、あることないこと書かれていて」


 龍介さんは前を見据えたまま、眉根を寄せて苦しそうに話す。


「そう、なんですか」


「俺のなんてすごいよ。洗脳とか薬物とか……更生施設に慰問すれば、RYUはドラッグをやっているから、警察からの最終勧告でその慰問をしなきゃいけなかったとか」


 正直に言えば、わたしは彼のアーティストの部分なんて、ほとんど知らない。わたしが知っていることは、龍介さんが優しくて真っ直ぐで涙もろい繊細な人だということ。


 そんな人がネットで書かれる心ない言葉たちを見てしまったら、どれだけ傷ついて悲しむだろうか。彼の光がその闇に侵されてしまう気がして、その闇が晴れることを願いながら繋いだ手に力を込めた。


「わかってるんだ。嘘なんだから気にしなきゃいいって。でもそれを信じちゃったり、信じてなくても、それを見て怒ったり泣いたりしているファンの子がいると思うとさ」


 大切な人が傷つくのは、自分を傷つけるより辛いんと話す龍介さん。でもファンの子たちも自分と同じ気持ちだろうから、どうしたらいいのかわからなくなる時がある、と。


「だから、俺にできるのは目の前のことに一生懸命に取り組むだけ。歌に真っ直ぐに向き合うだけ」


 人になにかを伝えるときは、全てが真っ直ぐに伝わるわけではない。愛を伝えたくても、優しさを持っていても、そのすべてが真っ直ぐに届くわけではない。龍介さんは、そう続けた。


 だからといって、気にしない、関係ないと言って切り捨てたり、割り切ってしまえたりする人ではないこともわかる。自分が傷ついても、相手を傷つけないのが龍介さんだから。それでも愛を与えようとするのが龍介さんだから。


 だから——彼がなにかに傷ついてしまうなら、癒せる力がほしい。少しだけでいい。少しだけでもいいから、彼を傷付けるものから守る力がほしい。彼が少しだけ寄りかかるようにして寄り添ってくれるから、再び触れ合った手に力を込めてそれに応えた。

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