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19話 二人の歌 2

◇◇◇◇◇


『いつもどおりの毎日になるはずだった

あなたと出会って全てが変わる

青い海 吹き抜ける風 輝く太陽 全ての時間が瞬いていく

あなたの瞳がわたしを見つめる度 高鳴りを増していく 怖い程に


波の音が気持ちを加速させる

きっとこんなにも あなたの笑顔が眩しいのは太陽のせい

言い訳しながら 惹かれていく


出会いは突然に 必然に 二人を引き寄せる

幸せがここにあると教えてくれたあなたに ただ伝えたい


輝く星をあなたに重ね合わせて 伸ばした手を引くの

それでもどうしても その胸に飛び込みたいと願ってしまうから……』


◇◇◇◇◇


 ふと目を覚ますと、わたしは再び龍介さんの腕の中にいた。まだ意識は霧の中を漂っているようで、自分がおかれている状況をすぐに把握できない。


 動こうと身じろぎした瞬間、龍介さんの(たくま)しい腕によって、さっきまで触れることのできなかった胸元に、ぐっと引き寄せられた。まるで「逃がさない」と言われているようで、鼓動が一つ跳ねる。


 もう、これは一種の条件反射みたいなものだ。龍介さんに抱き締められると、わたしは反射的に息を深く吸い込んで、その香りを確かめてしまう。


 だって、龍介さんはいつもいい匂いがする。それは、清潔感のある石鹸の香りだったり、微かに残る香水の香りだったり、時には夜の匂いそのものだったりするけれど、どんな香りもわたしを安心させる。


 半分寝ぼけた頭のまま、彼の胸元に頬を()り寄せれば、熱を帯びた素肌がひどく気持ちいい。


「あー、ちょっと綾乃さん?」


 頭上で、龍介さんの少し呆れたような、それでいてどこか甘い声が降ってくる。


「また匂いかいでるでしょ?」


 図星を指されて、わたしは腕の中で小さく身じろぎした。


「……せっけん」


 掠れた声で、なんとかそれだけを絞り出す。


「シャワー浴びたからね」


「ん、いい匂い」


 今度はもっとはっきりと言葉にする。本当に、清々しい石鹸の香りがする。彼の腕が、わたしの背中をゆっくりと撫でる。その手のひらの大きさと温もりが、朝の冷え始めた空気に心地よい。

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