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18話 クリスマスの約束 5


 Legacyのメンバーが到着したからか、その夜のホームパーティーは盛大に行われていた。


 Legacyの曲が会場に響き渡る。ボーカルの龍介さんと優斗くんが、互いに向き合い、声を重ねた。まるで光の粒が空中で溶け合うように、二人の美しい声が混ざり合い、それだけで、まさに一つの芸術となる。


 その瞬間、部屋に流れていた雑多な空気は一変し、心地よい緊張感に包まれた。二人の歌声の神聖さを際立たせるためかのように、バックで鳴っていたはずの他の楽器の音がふっと消え、世界が二人の声だけに集中した。


 その様子は、まるで二人にだけ強烈なスポットライトが当てられ、周囲が深い影に沈んだかのように。


 優斗くんは明るい笑顔を龍介さんに向ける。龍介さんもまた、それに応えるように穏やかに微笑み、視線を交わしながら楽しそうに歌い続ける。


 彼らの間には、言葉を必要としない、深い理解と絆が存在していることが、その一挙手一投足からわかった。



 それは、長い時間を共に過ごし、数えきれないほどの困難と歓喜を共有してきた“相棒”だけが持ち得る、絶対的な信頼関係の証。


 歌のブレスの瞬間、ふいに龍介さんの視線がわたしを捉えて、彼はいつもの、安心感を与えるような優しい笑顔を向けた。いつもなら、それだけでわたしの心は満たされるはず。





 パーティーの後片付けをして食器をしまっていると、近づいてきた龍介さんがわたしでは手の届かない分を何も言わずにしまってくれる。


「ありがとうございます」


「片付けほとんどやってもらっちゃってごめんね。ありがとう」


「賑やかでしたね」


「俺、結構酔っぱらった」


 後ろから覆いかぶさるように、ずしりと重みがかかる。


「ん……綾乃……」


 首筋に、熱いお酒の混じった吐息がかかる。彼はわたしの肩に頭を預け、完全に脱力しているみたいだ。普段は穏やかで大人な彼が、わたしにだけ見せる無防備な姿。その重みが愛おしくて、わたしは洗い物の手を止めて、お腹に回された腕に自分の手を重ねた。

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