11話 王子様はヒーロー? 3
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龍介さんが戻る前に準備をしておこうと、わたしはすぐにシャワーを浴びて髪を乾かしてクローゼットに向かった。
今日は潤さんたちだけじゃなくて、龍介さんの仕事関係の方も来る。スタッフさんとか、トレーナーさんとか沢山の人と会うのだろう。
そうなると、ここはやっぱりコレかとクローゼットの中から、アクアブルーのシルク生地に白い刺繍が全体に施されたベアトップのロングドレスを取り出した。社長の奥様である小百合さんからのプレゼントで、一目で心を奪われたロングドレスは広がり過ぎないデザインで、動きやすくもあり華やかでもある。
バーベキューだから龍介さんとそのお友達が焼くのだと言ってたけど、お手伝いはするだろうし、髪はまとめておこう。背中まである髪を一つに編み込んでいると、玄関が開く音が聞こえてくる。
龍介さんが帰ってきたのだと手を速めていると、元気のいい賑やかな声が届く。どうやら、リサも一緒にいるらしい。手早くメイクを終え、部屋を出て階段を下り、リビングに向かう。龍介さんはキッチンにいて水を飲んでいたようで、わたしの足音に気付いたのか、冷蔵庫の扉から顔を出してこちらを見た。
「おかえりなさい」
「ただいま……」
「あれ、リサたちと一緒でしたよね?」
「ああ。今、テラスの方に」
「そうなんですか」
「そのドレス、綺麗だね……すごく似合ってる。そういう格好もするんだ」
「本当ですか? 嬉しい。これお気に入りなんです」
龍介さんの誉め言葉にそう答えたら、なぜか龍介さんの方が恥ずかしそうに笑って、「俺もシャワー浴びてくる」と足早に部屋に向かってしまった。龍介さんの言葉もその笑顔も、その行動もわたしの頬をゆるゆるとだらしなくさせてしまう。
彼の後ろ姿を見送っていたら、リサがリビングに戻ってきた。
「リサ、おはよう」
「アヤノ、キレイなドレス。ステキ!」
「ありがとう」
「綾乃、おはよう。今日はドレスアップね」
「潤さん、忍さんおはようございます」
「おはよう」
「リュウと家の前で会ったんだけど、聞いたわよ、綾乃」
「あ……」
「だから言ったじゃない」
案の定、だから言ったのにと忍さんに言われて、苦笑いを浮かべてしまう。
「ごめんなさい」
「何もなくてよかったわ」
そう言って、彼女はわたしを抱きしめた。もう恐怖はないはずなのに、その温もりに包まれて目が潤んでしまう。




