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25話 パーティーの夜 1

◇◇◇


 会場からは音が漏れ聞こえるほどに鳴り響き、建物全体が揺れているようだ。


 ドレスアップを命じられた秘書のメンバーは、定時より三時間も早く会社を出て、用意されたスタジオに入り、メイクを施され、指示されるまま用意されたドレスに身を包んだ。


 ディアブロ社が用意したのは、体のラインが出るようにデザインされたブラックのドレスに、会社にいるときと同じ十センチのピンヒール。


 セクハラだと言われる世の中でもあるけれど、この会社の秘書は美しくいることも仕事の一つらしい。上品で華やかであることは秘書の最低条件。


 立場は秘書だけど、パーティーの席ではエスコートされる側になる。海外生活が多い卓也を含めて、ディアブロ社の人間はエスコートが身についている。背中が大きく開いたデザインのドレスだから、卓也の手が直接触れる。


「このドレス、派手すぎるわ。背中が……」


「似合ってるよ。俺が選んだんだ。いい女って感じじゃん」


 会場のスクリーンには、Legacyの新曲Dawnのミュージックビデオが映し出されている。改めてLegacyである彼らに会うのだと思うと、今更ながら不思議な感じがしてくる。


 卓也に促されながら会場を進めば、ミュージックビデオの中にいる人がそこにいた。ハワイから帰ってきてから、電話で話すことしかできていなかった人。電話で話した時には、行かないと言っていたはずの人。思わず声が出てしまいそうになり、慌てて俯いた。


「ディアブロの田辺です。今回はよろしく」


「秘書の、松嶋と申します」


 いつも通りと自分に言い聞かせながら、落ち着いた所作を心がける。頭を上げると、異様ににっこりと笑っている優くんと目が合う。そして、その隣にはサングラスの男。


 卓也の周りはすぐに事務所所属の美しい女性たちで埋められた。満足そうに笑う卓也に、胸を撫で下ろす。卓也から視線で「もういいよ」と言われて、小さく頷き、入り口近くに移動する。

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