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EGO国物語~魂の恐怖と裏切りの男~  作者: ハテナ・ディン
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第四話 裏切り

風塵こたつの夢街。たくさんの娯楽施設が集まり夢の街といわれた場所は今、血生臭い争いの場へと変化しようとしていた。


「全員用意はいいか?」

「全軍いつでもいけます。」


キョウの言葉に後ろのスター将軍が答える。この夜襲にはEGOのほとんどの軍団が参加していた。かがり火が燃えるその影で何人ものEGO兵士が隠れている。


「そろそろ作戦時間です。後5秒、4・・・3・・・2・・・1・・・作戦開始。全軍攻撃を開始せよ!!」


キョウの号令でEGOの全兵士が一斉にソウル帝國の陣地へと突撃していく。辺りは乱戦状態になった。


「敵襲っ!!」

「EGO国だぁ!?」


どうやら今回の作戦は完全に不意はつけたようだった。ソウル帝國の兵士はEGO国の兵士を見ると武器を捨てて逃げ始める。


「食糧庫と水瓶庫を襲え!」


キョウは辺りに向かって叫ぶ。食糧庫と水瓶庫を失えば戦いはこっちの勝ちだ。だが同時にキョウは少しの違和感を感じていた。


[敵が思ったより少ないな…余裕の表れか?]


その頃、戦いに参加したチェリーは傷が回復したペケサと共に食糧庫を探していた。だが乱戦になっているせいもあって中々見つからない。


「食糧庫はどこなんでしょう?」

「ウオォッ!」

「危ない!?」

「ぐわっ?」


チェリーの後ろから斬りかかろうとしていた兵士をペケサが助けに行こうとするが、その前にチェリーが回転して敵を真っ二つにした。


「舐めないでください。」

「お、おみごと・・・」


ペケサはそんなチェリーの姿に少し恐怖すると同時に安心感を感じた。これならば自分達が守る必要もないだろう。


「けど本当に見つからないな・・・」


もう攻撃してからかなりの時間が経った。二つとはいかないまでもいい加減どちらか一つが見つかってもいいハズだ。そういえばまわりに敵の姿が増えてきているような・・・・?まさか・・・


「キョウ将軍。わ、我らの周りにソウル帝國軍が・・・囲まれています!?」

「何だと!?」

「退路も塞がれましたぁ!?」


よく見れば自分達の後ろに大勢の敵が回り込んでいた。そのまま敵は弓矢を放つ。辺りは地獄絵図となった。


「うっ!」

「ぎゃっ!?」

「くそっ・・・何故今回の攻撃がバレたんだ・・・?まさか内部に裏切り者が・・・?」

「夜襲で食糧庫を襲う、か。お前らしいやり方だな。・・・キョウ。」

「この声は・・・」


そこにいたのは黒いコートに黒いハット、そしておなじみの黒いサングラス。まちがいない、あれは・・・


「ディンさん!?」


そう。行方不明になったハズのハテナ・ディンだった。ディンは愛剣レクイエムを持ってそこに立っていた。


「無事だったんですね!」

「何とかな。」

「それでなんでここに?」

「そうだな。理由は・・・」


ディンはレクイエムをキョウに向かって振るう。キョウは一瞬の隙を突かれて木に叩きつけられた。


「ガっ…何で・・・」

「おっと自己紹介をまだしていなかったな。ソウル帝國軍特殊部隊将軍、ハテナ・ディンだ。」

「そんな・・・」

「キョウ!無事か!?」

「キョウさ・・・旦那様?」


そこで食糧庫を探していたペケサとチェリーがキョウを見つけて走ってきた。そこでチェリーがディンを見つける。


「久しぶりだな、チェリー。」

「隊長、無事だった「ヤツに近づくな!!」」


ディンに近づこうとしたペケサをキョウが止めた。


「なんでだ!」

「あの人はもう味方じゃない。今はもう・・・敵だ。」

「何を言って・・・」

「ま、そう言うこった。だからお前らにはここで消えてもらう。」


ディンはそう言うとレクイエムを構えた。その言葉にペケサとチェリーは動揺する。


「これは夢ですよね・・・?」

「夢なら早く覚めるといいな。」


ディンはチェリーに向かってレクイエムを躊躇いも無しに叩きこんだ。ペケサが目を背ける。


「…ふんっ、命拾いしたな。」


目を見開いたチェリーの前には刀で剣を防ぐミーの姿があった。ミーは普段からは考えられないような真剣な目でディンを見つめる。


「ディンさん、これはどういう事です?」

「どういう事とは?」

「なぜチェリーさんに剣を向けているかという事です。」

「オレとお前らはすでに敵同士、剣を向けるなど当たり前の事だろう。」

「・・・腐りましたか。ディン。」


ミーは最後に小さく呟くとディンの剣を跳ね返す。


「どうせお前らはここで終わりだ。ベニバナやスターも今頃やつらにられている事だろう。」

「やつらだと?」

「お~いそっちは終わったか?」


ディンとミーが睨みあっているとディンの後ろから青い髪と赤い目をした青年が歩いてきた。その手には・・・?


「スターさん!?ポンさん!?」

「あ~これか?強そうだったから勝負挑んでみたんだが全然弱くてな。とんだ期待外れだ。」


その青年が持っていた物。それは傷だらけのスター将軍とEGO国の親衛隊員、ポン・ディーだった。青年はつまらなそうな顔をするとそれをまるでゴミの様に放り捨てる。


「モナ、意外と早かったな。」

「モナ・・・まさか凶戦士バーサーカー!?」

「お、オレも有名になったもんだなぁ。」


ペケサの叫びにモナは満足そうに顎をさすった。有名なんてどころでは無い。モナ・アイスといえば世界最強ともいえる武将だ。ただひたすらに強さを求め、数多の武将を殺してきた戦士、それが今目の前にいるのだ。


「将軍、大変です!?ヒッ・・・」


そこで伝令役らしい気弱そうな兵士が走ってきた。兵士はモナの姿を見ると小さく悲鳴を漏らす。


「なんだ。」

「はっ・・・キリン様の部隊がザンザ・ヴァーリアの部隊に、さらにベニバナ様の部隊がカジヤ・ソウル王の部隊に敗走!そ・そして・・・スター様とポン様の部隊がた・たった一人に壊滅しました・・・」

「一人だと!?」

「まぁそういう事だ。おとなしく降伏してくれないか?」


ディンが冷たい目でペケサ達を見る。それはまるで強者が弱者を見下す。そういう目だった。


「誰が降伏なぞするか!」

「あっそ。なら死ね。」


ペケサがそう言った所でモナが剣を振りかざす。そこへ毛皮を被った若い男が間に入った。モナはその男の登場によって剣を止めた。


「誰だお前は。」

「・・・皆さん早く撤退を。ここは自分達が食い止めます。」

「食い止めるって・・・」


こんな敵だらけの場所をどうやってとペケサは言いそうになったがその瞬間周りから軽装備の男女が草むらから飛び出してきた。いきなりの乱入に敵の隊列が崩れる。


「行ける!」

「逃げろ!!」

「おい追うぞ。ディン、テメェ何をやってやがる!!」


スターやポンを抱えてペケサ達は逃げていく。その後ろをモナが追いかけようとするがディンがそこに立ち塞がった。そして謎の集団の力を借りて無事にペケサ達は要塞へと逃げ帰った。

後に裏切りの戦いと言われたこの戦いはEGO史上数少ない敗北の戦いとして後世に残る事となる。かくして魂風戦争最初の戦いははEGO国の大敗北で幕を開けた・・・・

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