エピローグ そして時は経ち・・・・
コンコンッ
ディンは罰が決まった後、チェリーの部屋の前に来ていた。実はシルバに、チェリーに謝りにいけと言われてそのまま追い出されたのだ。
ディンはドアをノックする。しかし返事は無かった。仕方なく部屋に入る。
「入るぞ。」
ディンが部屋の中に入ると、チェリーがベッドでうつ伏せになったまま倒れていた。
「旦那様・・・?」
チェリーはディンに気付いたようで起き上がる。その目は泣いていたらしく真っ赤に腫れあがっていた。
「どうしてここに・・・」
「シルバ様に謝りにいけと言われてな。」
「じゃあ・・・」
「なんとか死刑にならずにすんだよ…っと!?」
ディンが最後まで言う前にチェリーはディンに抱きついた。
「良かった。本当に良かったですぅ・・・」
「オレはけが人なんだがな。」
ディンの呟きにも耳を貸さず、チェリーはそのままずっとディンの胸で泣いていた。しばらくすると落ち着いてきたのか、少しずつ泣き止んできた。そして今度は文句を言いだす。
「旦那様はおバカです。」
「悪かったよ。」
「私に何も言わずに行方不明なんて…本当に心配したのにいたと思ったら敵になっちゃってますし・・・」
「お、おいチェリー?」
「これはお仕置きが必要ですね。」
そう言ってチェリーはどっから出したのか、棘のついた長い鞭を持っていた。
「い、いやそれはちょっと。ゆ・・・許してーーー!?!?」
その夜チェリーの部屋から何かを打つ音とディンの悲鳴が聞こえたという・・・
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「フゥッ・・・」
パタンッと書き上げた本を閉じる。これまで何冊もの歴史書を書き上げた私だったがこれはさすがに疲れた。
「隊長、ここにいましたか。」
後ろから男が声をかけてきた。私は振り向きながらその声に応える。
「あぁ、ちょっと趣味をね。」
「また歴史書書いてたんですか?」
そう言って男は私の書いた歴史書覗く。私はそれを見て思わず苦笑した。その時妻が台所から現れた。
「やっと完成まで書き終えたよ。それより隊長はやめろって言っただろう。今は君が隊長なのだから。」
「そうは言っても癖になっちゃってるんですよ。」
「旦那様、お茶が入りました。」
「おぉありがとう。」
「いつになっても仲が良いですね。」
男は羨ましそうに私と妻を見つめる。妻はそれを聞いて顔を赤らめた。そして二人の顔がどんどん近付いていく。
「夫婦だからな。」
「旦那様・・・」
「はいはい。ごちそう様でした。」
これはとある国の小さなお話の中の少し大きなお話。しかしその大きな話の中でもたくさんの歴史、そして人の人生がつまっている事を忘れないでもらいたい。
完
さて連載が終わりました。この小説のテーマは「歴史の意味」です。
自分はこうやって小説を書き始めてまだ少ししか経っていませんがそれでも色々な事がありました。皆さんも良い歴史が歩めますように・・・