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経験がなければ、挑戦してみればいいじゃないか。

作者: 廣風直

 経験値を得るとレベルアップする。だから、ミツルは職場の後輩であるサトルと二人で初めての経験をするためにこの場所に来た。中はとても騒がしく、沢山の人がいる。一度やったら面白くて、癖になる人もたくさんいるらしい。みんな足繁く通う人達なのだろうか。軍資金は一万円。これ以上は使わない。そう二人で決めてやって来た。パチンコに五千円、スロットに五千円。さあ勝負だ。挑戦だ。ビギナーズラックという言葉があるんだから、勝てる可能性もあるはずだ。。好奇心をもとに行動した方が楽しく生きられる。後悔するかもしれない。

〝やらないで後悔するより、やって後悔する方がいい〟

 ミツルの大好きなバンドのボーカルがライブで言っていた。正しくは、その人の恩人の言葉だ。バンドを長く続けて来たが、売れないから、音楽を諦めようとしていたらしい。それを知って、投げかけてくれた言葉らしい。彼はバンドを続けることにして、今も素敵な音楽を聴かせてくれている。

 先に結果を言ってしまうと、ミツルは負けた。サトルは勝った。勝ったと言っても少しだけだけだ。一万円が一万一千円になった。

「楽しかったですか」

「うーん、どうだろう。あっという間に、五千円は消えたよね。」

 初めに挑戦したミツルが楽しみにしていたアニメのスロットは、全然絵柄が揃うことがなくて、画面が切り替わることもなく、退屈だった。隣のサトルが「おっ、きました、必殺技出ますよ」と言った時は、うらやましかったが、結局二人とも負けた。その後のパチンコでサトルが取り返すことが出来たのだ。

「俺はもう行かないっす。いい経験出来ました」

「俺も必殺技出したかったな。だから、また来ちゃうかも」

 私が好きなゲームの中では勝たないと経験値が得られないが、現実では勝っても負けても経験値が得られる。二人のうちの一人は損をしたことになったが、二人はその後、回転寿司に行って、美味しい寿司をお腹いっぱい食べた。

「日頃お世話になってるんで、今日は奢らせてください」

「マジで、いいの?結構食べたよ。でも、せっかくだから甘えさせてもらうわ」

 積み上げた皿の塔を眺めて満足して店を出た。店を出た時に、ミツルは頭の中でレベルアップした時の音が聞こえた気がした。

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