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異世界

次回 翌日0:00に更新

 異世界転生。

 昨今のサブカルメディアに触れているものであれば知らぬものはいないだろう。

 ひょんなことから自分のもといた世界とは別の世界へ迷い込み冒険をしたり、スローライフをしたりとこの題材を扱う小説、漫画の数は星の数にも近い。

 遡れば小野篁伝説然り、今と異なる世界でのやり直しや二重ライフというのは窮屈な現実に辟易した人々が時代を問わず見出した、ある種心の避難所、拠り所的な側面があるのやもしれない。

 青年が思索に耽っていると、女神は何やら丸い円盤のようなものを取り出してまわし始めた。

「さぁではお楽しみ!どんな世界に転生するか決めちゃいましょう!」

「おい」

 青年は何かを投げようとした女神の腕を掴む。

「それは…ダメだろ」

 その手には神託くん。よく見れば両面の粘着テープが巻かれており、これを投げつけようならば対象に張り付くことは間違いない。

 この女神、こともあろうか人の運命を安っぽいルーレットにダーツを投げる装置でどうこうしようとしていた。

「…」

 無言のまま構わず投げようとするのではがいじめにする。

「や、やめろ!いくらなんでも適当すぎるだろ!運命の女神なんだろ!?」

「何をいうんです!私はこれで何人もの運命を決めてきたんですよ!?今更変えられません!」

「お前コレ昼のバラエティーじゃないんだぞ!?サイコロ投げて話題を決めるとかそんなノリで人の運命決めてきたのか!?」

「サイコロ使うとかいつの時代だと思ってるんですか!?そんなのは新石器時代にやめましたよ!?」

「使ってたのかよ!?!?」

「うきゃー!!ルーレットダーツは至高なりィ!!」

 女神ははがいじめにされてもなお抵抗を続けた。

「落ち着け!落ち着け!な?そうだ!話し合おう!それで転生先もしっかり決めてもらって…あっ」

 すっぽ抜けた確認済み発光物体が弧を描いて飛んでいく。それは運命の皮肉なのか女神の力なのか、見事にルーレット盤の目に当たった。

「やってやったぜ…」

 博打狂いの女神が成し遂げた顔で振り返る。

「あいったぁ…」

 しっぺ返しのデコピンで腫れる指をさすりながら青年はルーレット盤に歩み寄った。

 回転を止めた盤面に神託くんが張り付いたのはー

【狩ゲーRPG】

「うっそだろ…」彼は膝から崩れ落ちた。

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