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夏草
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「…もう朝か…」
カーテンの隙間から光が漏れていた。
重い体を布団から起こす。
枕元に溜まったゴミが雪崩れる。カップ麺の容器に倒された酎ハイの缶が部屋の隅に転がった。
拾おうと手を伸ばした先にあるものが視界に入った。
ホコリを被ったゲーム機。
セットされているカセットは言わずもがな…あの狩ゲームだった。
吐き気を催した。
込み上げるのは一杯100円もしないインスタント麺か、哀しみにも怒りとも形容し難い別のものか。
指先を丸めて別の方向を向く。
目につくのは書き損じた履歴書の山と脱ぎ捨てられたスーツ。
何者にもなれなかった人間の残骸だった。
「今日の面接はいつだったかな…」
眠りを知らぬままただ昼夜が通り過ぎる毎日。
胸には諦念と絶望。
ただ焦燥のみが身体を動かしている。




