王城の騎士視点 子供達の練習風景
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「おっ、今日も始まったか」
訓練場に太鼓の音が鳴り響く。
リズミカルな音に合わせて、小さな子供達が一生懸命に歩いているのが可愛らしい。
領地に居る弟妹達を思い出す。
「俺、結構これ、好きだ」
「俺も」
第三王女殿下の生誕パレードの為に、訓練場使用の調整が必要と言われた時は、正直、面倒としか思わなかった。同僚の騎士達も、同じだったと思う。
それが今では、皆で少しばかり楽しみにしている。
訓練の合間のちょっとした憩いだ。
最初は太鼓の音も単純で、今と違って年嵩の子供も居た。
少なくとも10歳は超えていそうな子供達と、殿下より少し大きい位の子供達に分かれていた。
この頃の子供達の動きは、目を覆いたくなるほど酷かった。
並んで歩かせたいらしい事は見ていて分かったが、肝心の子供達は、並ぶ事すら碌に出来ていなかったのだ。
無理もない。整列して歩く訓練は、俺も王城に騎士として出仕してからだ。
王女殿下が、白髪を煌かせながらちょこちょこと走って、子供の列を整えて回っているのを見た時は、肝が冷えた。
殿下は転生者だという噂だし、同腹の兄は気が短いと評判だ。
おまけに、天狼が後ろから見守っているのだ。
しかし殿下は、子供達が並ぶこと自体に慣れていないのを見て取るや、先ず整列する事を教え始めた。
「前に倣え」という号令と共に両手を前に差し出させて、先ずは真っすぐ並ぶ訓練。
次に、太鼓の音に合わせて足踏みをさせる。
その後2週間ばかり、整列と足踏みの訓練を殿下のお付きが子供達にさせていた。
見る間に上手くなっていった年嵩の子達は、いつの間にか来なくなっていた。
一方の小さな子たちは、なかなか上達しない。訓練の時間も、1日に1時間しかとってなかったしな。
ようやく動きが見れる様になってから歩かせていたが、それがまた酷かった。
せっかく整ってきていた動きが歩き出すとバラバラになってしまう。列も乱れていく。
殿下の誕生日はまだ先だが、それでも間に合うのか疑問に思う程だった。
単調な太鼓の音、延々と同じ訓練。
それが1ヶ月も続いて、子供達の動きが徐々に良くなってきた。
太鼓の音が少し複雑になって、また戸惑った子供達の動きが乱れる。
それをまた2週間ばかり訓練して、揃う様になったのが今だ。
動きが揃ってるってのは、見てて結構楽しいもんなんだな。
式典用に動きを揃える訓練をさせられていた時は、何のためにと思っていたが、こうして見てると分かりやすい。
「当日は、さらに歌とかつけるらしいぞ」
「何で知ってんだよ、お前」
「妹が殿下の護衛やってんだ」
「妹の方が出世してんじゃん」
「仕方ないだろー、母親が違うんだよ。
向こうは正夫人、こっちは第二」
「じゃあ、しょうがないか。
あ、だったら、大きい子達がどうなったか、知ってるか? 最初の頃は居たろ」
「他の所で、別の練習をしてるらしいぞ。
そっちはもうちょっと難しい事してるせいか、向いてる子だけ残してるみたいだ」
「ふーん。
……向いてない子は?」
「また、別の事させたりしてるらしい。
子供が気になるのか?
殿下は転生者だけど、ヤロスラフ殿下とは全然違うみたいだぞ。
まだ4歳なのに結構働いてるし、孤児達の事も考えてるって話だ。
飄々としてて分かりづらいけど、責任感が強くて良い王女様なんじゃないかって、妹は言ってる」
「……そっか、妹さんの言う通りだといいな」
「お前、……離れた領地に年下のきょうだいが結構居るって言ってたっけ。
パレードの頃に呼んだらどうだ?
警備に駆り出されるだろうけど、期間中に1日は休めるだろ。
弟妹に見せてやれよ」
「そうだな。そうするよ」
そうして呼び寄せた弟妹達が、パレードの催し物にすっかりハマってしまい、王都に住むと言って聞かなかったり、妹がアレクサンドラ殿下の歌劇団に入りたいと言い出したりは、また別の話だ。
読んで下さってありがとうございます。
最近、仕事が忙しくなってしまい、書く時間が以前ほど取れなくなってしまいました。
切りの良い所までは頑張りたかったのですが、更新頻度下げたりするかもしれません。
申し訳ありませんがご了承下さい。
今後ともよろしくお願いいたします。




