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ランタン、活躍の予感


 時を遡る事しばし。


***


「そろそろ、パレードの事を考えなきゃいけないよね」


「忘れてた訳じゃないんスね」


「5歳の誕生日パレードを自分で企画するのはピンとこないと思わない?」


「まぁ普通、王妃様が責任者で、周りの文官が動くもんですしね」


「母上が責任者なのね?」


「成人前の子供は、生母の管轄っス。

 普通の4歳なら完全に大人任せっスけど、殿下の場合は見てやり方覚えてもらいたいと思われてるかな。

 王妃様とは何か話してあるんスか?」


「もっと前にアイデア出しはしてあるよ。

 でもこの前、舞踏会を覗かせてもらったじゃない。

 あれで、私とこの世界の認識に開きがあると思ったんだよね」


「この前の舞踏会っていうと、……貴族女性が皆、ドレスの下にトラウザーズ履いてるの、そんな衝撃だったんスか?」


 ……衝撃だった。

 

 ぱっと見の会場の様子は、前世的な違和感は無い。尤も、実際の舞踏会など体験していないと思うが。


 しかし、母の準備などの方をむしろ見せてもらったので……。

 いや、前から下に何か履いてるな、とは気づいていたんだけど。

 まさか、舞踏会のような正装まで、とは思わなかった。


 母達は忙しそうだったので、舞踏会を覗くのに付き添ってくれたセルゲイに聞いたのだが。


「王侯貴族は、男女ともに何時でも戦えるようにしてないと困るっス」


「……じゃあ、ドレスじゃなくてもよくない?」


「あれはあれで便利なんスよ。

 高い所から降りる時の補助になるんで。

 男の上着の裾も、同じ役割があるっス」


 ドレスのスカート部分=落下傘扱い→下にちゃんと履いている。

 ぱっと見の印象が同じだからこそ、誤解が根深い気がする。


「都度ちゃんと確認しないと、何処かで事故りそうだよ」


「ああ、まぁ、転生者の場合、確かにそうっスね」


「過去に何かあった?」


「アンドレイがちょっと、いや、本人では無くて……。

 まぁまぁ。

 どんなアイデア出したか、教えて下さいよ」


「……いずれにせよ、確認は大事だよね」


 先ず、パレード自体のイメージが違った。

 まぁ、私もうっかりしていたんだけど、エレクトリカ〇パレードみたいなイメージが強くて。

 そんなに派手ではないらしい。

 多分、前世でパレードを見た経験値がほとんど無いからだと思うんだよね。


「出来るんならやればいいっス。

 見て楽しんでもらうってコンセプトは合ってるっス。

 ランタンに何とかしてもらえないんスか」


「「「らんた~ん」」」

「……乗り気みたいだから、ちょっと相談?してみるね」


 先日のワイバーン戦以降、私に憑いてるランタンが増えた気がする。

 部屋に憑いてるのと混在している上に、ランタンは自分のデザインを自分で変えられるので、良くは分からないんだけどね。


「魔石化する前の魔力器官をちょっと食べてもらいましたからね。

 魔力量が格段に上がってるはずっス」


「私って、そんなに強化が必要なの?」

 既にそれなりに強いんじゃないかと思ってるんだけど。


「勿論っス。

 脅威度の高い魔獣戦では、弱いヤツが数居てもどうにもなんないんスよ。

 強い味方には、より強くなってもらわないと」


 ……有望っぽいと思われたからこそ、さらに強化させられると。

 失敗したような、どうしようもなかったような。


 食べさせられたのは、勿論、私が斃したワイバーンの一部。

 

 毒味が終わって、やっと念願の醬油味のステーキが食べられました。

 発泡感は大変な事になっていたけど、美味しかった事は美味しかった。


「そう言えば、料理長が喜んでたっス。

 ニホンのレシピが活かせるって」


「味噌と醤油なしで和食再現とか、無理だから」


 非公式で小規模な商取引から、国交を再開してもらっている。

 国交とちゃんと言えるまでには、まだまだだけどね。


「パレードの期間、屋台とか企画してみます?」


「ちょっと考えてみようかな」

 パレード以外にも、楽しんでもらう何かを企画する事も多いらしい。

 まぁ、屋台は放っておいても、便乗が出るだろうけど。


 既に伝わっている日本のレシピを見せてもらう。


「こうして見ると、そんなでも無いのかな?」

 料理系の無双は諦めてたけど。


「材料が手に入らなくて、断念されたものは入れてないんで」


 そんなマニアックなレシピは、料理長しか分からないそうだ。

 是非、保留しておこう。


「ジャガイモが無いのが痛いよね」

 ポテチも出来なきゃ、フライドポテトも出来ない。


 マンドラゴラは、ジャガイモと蕪の間位の触感があって、シチューやグラタン位までなら、ジャガイモの代わりになる食材だが、水気が多くて、油で揚げるのは危険だとの事。

 まぁ、料理長はやった事があるって事だけど。


「話を聞く限り、移動するのに邪魔なんで、こっちの世界の植物には居なさそうっス」


 この世界の植物は、根を使って移動する事が多い。

 根を使わないにしても、移動出来ない植物など存在し無さそうな世界だ。

「植物」と呼ぶのが、間違いなんではないかと思われる。


 ジャガイモの根は、イモ部分以外はか弱そうな上に、イモ部分も移動の邪魔になりそうだ。

 この世界に無さそうと言われても反論できない。


「キャベツっぽいものがあって、小麦粉あって、かつお節が手に入りそうだから、お好み焼きは出来そうだな」


「いいんじゃないスかね。

 作るの簡単そうだし。

 取りに行く手配をしておきますよ」


 私は、このセルゲイの軽めの応答に、決して軽い気持ちで返答してはならなかったのだ。




読んで下さってありがとうございます。


作者も別に忘れていた訳ではないです。

エピソードを出す順番が上手く出来てなくて申し訳ありません。


アレクサンドラは、ある程度自分をモデルにしている割に、全く思うままにならなくて、

全然窮地に陥ってくれないんですよね。

この子を強化しつつ常識を教えないといけないセルゲイは大変そうだなー。

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