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ハーブ狩り

ちょっと番外編的話かも。

時系列は合ってると思います。


「殿下、ハーブが出たらしいんで、狩りに行きましょう」

 セルゲイが私の呼び方を変えた件に関しては、はぐらかされている。


「ハーブが出たから、かりにいく?」


 前世でもあった単語が、前世には無い組み合わせで使われていて、ピンとこない。


「前に、料理に使ってたじゃないスか。

 折角なんで、こないだ出来るようになった『ダイヤモンドカッター』使ってみるっス」


 魔術訓練で、私が「物質生成」と相性が良さそうだから、と色々やらされたのだ。


 この世界で、ある程度の魔力量がある者は、魔力を物質のように射出して攻撃する技を持っている。


 母は魔力量が豊富なので、火の玉のようなものを、セルゲイは、小さいが硬質な石の刃のようなものを出せる。


 しかし私はというと、この世界で魔力さえあれば比較的容易な、この技を使う事が出来ない。

 なんだか良く分からない、物質かエネルギーかも分からないものを出す、というのがしっくりこない。

 前世の知識というか感覚が邪魔をしている感じである。

 

「……しょうがないっスね。

 物質生成は出来るんスから、とりあえず、そっちで代用しますか。

 想像しやすくて攻撃に適した物を考えて、射出するように生成してみてください」


「想像しやすくて、攻撃に適したもの、……ウォーターカッターとか?」


「何スかそれ」


「水だけど、勢いがあって鉄板とかでも切れる」


「……それは、射出に力をのせなきゃいけないんで、却って難しくなってないスか?

 水属性ならともかく、殿下だと量もまだそんなに出せないでしょう」


「後はダイヤモンドとか? これは、土属性かな。

 光属性って、最初の難易度高くない?」


「そこは言ってもしょうがないっス。

 ダイヤモンドって何スか?」


「宝石の一種で、すごく硬い。

 前世だと、ダイヤモンドより硬いものは、数えるほどしかなかった。

 工業利用もされてた。ダイヤモンドカッターとか」

 私の前世の知識だと、アクセサリーよりも工業利用の方が馴染みがあるみたいだ。


「いいんじゃないスか。

 やってみて下さい」


「こっちの世界で、ダイヤモンドって無いの?」


「名前が違うだけで、あるかもしれないっスけど、直ぐには思いつかないっス」


 セルゲイは、宝飾品に詳しくないみたいな言い方してるけど、割とよく知っている様なので、宝石として認識されてないかもしれない。

 確か前世でも、磨く技術が出来るまでは、大した価値が無かった歴史があったと思う。


 ともあれ、的に向かって打つ練習。


 炭素だけ思い浮かべても、石炭とかになっちゃいそうだから、結晶構造を思い出して、

「ダイヤモンド」


 ポト。

 小さな石ころ状態のダイヤモンドが、転がり落ちた。


「あれ?」


「……攻撃手段として使う気、あります?」


「射出が上手く出来ない」

 

 ウォーターカッターは水が射出されてこそだけど、ダイヤモンドカッターは研磨剤的なイメージだから、射出のイメージが無い。


「先ず、刃のような形状にしてみようとして下さい」


「ダイヤモンドカッター」

 ポト。


「お! 形は変えられたよ!」

 手のひらサイズの半月形に出来た。

 半月形なのは、多分、私の趣味。

 一応、手裏剣的に飛んで行ってくれる事を願っている。


「……分かりました。

 ゆっくりやりましょう」


 割とテンプレの、お手本として魔力の流れを触って確かめさせてもらう、をやってもらった。


「やってみて下さい」


「ダイヤモンドカッター」

 ポト。


「あ、ちょっと飛んだよ」


「別に重くないんで、もっと飛ぶはずなんスけどね」


 セルゲイが私の腕を取って、既に生成したダイヤモンドを、私の手から射出させてみせてくれた。


「今日は、あそこの的に当てられるとこまで頑張って下さい」

 5m位の距離に的を置いてもらう。


「はーい」

 何度かやって、徐々に飛距離を伸ばす。


「あ、当たったよ」


「実践には程遠いっスけど、殿下は実践じゃないと本気を出せないタイプかもしれないんで、今日はこれ位にしましょうか」



 と、言う事が先日あっての、今日、ハーブ狩りとやらである。


「王都の外に出るんだよね」


 王都は王城を中心とした円状で、放射線状と同心円状に鉄道が走っている。

 動力は魔力なので、魔道鉄道と呼ばれている。

 曾祖父様が主導で作ったそうだ。

 今回は、この鉄道を利用して、王都の外に向かっている。


「騎士達も同行してますんで、殿下なら大丈夫でしょうけど、勝手な行動はしないで下さい」

 

 王都の外も生域ではあるのだが、脅威度が低めとは言え、人類には十分危険な魔物が生息している。 


「ハーブ狩り、自信無い」

 なんか、色々前世と違いそうである。


「まぁ、何事も体験っスよ」



「あれがハーブです」


「デカいよ」

 ウ〇トラマンが、3分限定の姿で戦うサイズ感じゃん。

 相応にデカい葉を振り回している。

 こんなもんが王都の割とすぐ外に居るとか、この世界、ハード過ぎじゃない?

 王都が石壁に囲まれてるとか、当然だよね。


「あれはバジルっスけど、ハーブは大体、あんなもんっス。


 騎士達が配置に付いたら、殿下に攻撃してもらいます。


 動きをよく見ると、攻撃に使ってる葉は3~4枚だと分かるっス。

 この3~4枚は特に丈夫に出来てますけど、これを全部切り取れれば、無力化出来た様なもんス。

 

 逆に、ハーブとして利用できるのは他の葉なんで、ハーブを収穫したい時はそっちを切り落とします。

 収穫したい葉を切り落とす時は、本体との接続部分、茎を狙うっス。

 成功すると向こうが逆上して危険な場合があるんで、周りと連携した上で攻撃して下さい。


 攻撃に使われている葉の無力化を狙う時は、茎が頑丈に出来てるので注意して下さい。

 食べられないんで、葉の部分を狙っても良いっス。


 今回は救援要請が出てますんで、ハーブの収穫ではなく、討伐が目的っス」


「つまり、振り回してる葉を狙うのがいいのね?」


「そうっス。

 出来そうっスか?」


「動きが速くて難しそうだけど、やってみる」

 ダメだったら、本職にお願いすればいい。


 今回一緒に居るのは、第二騎士団の騎士である。


 王国の騎士は、5つの騎士団に分かれている。

 第一が王城警備。

 第二から第四までが、交代で王都と王国の街道警備。

 第五は、特に脅威度の高い魔獣対策を行う。


 実は、第五が花形だ。


 第一には、見習いなどの経験の浅い騎士と、貴族家の後継ぎや女性など、特に死んで欲しくないと思われている人材が充てられている。

 危険性が低いからだ。


 経験の浅い騎士は、第一で経験を積んだ後、第二から第四に振り分けられる。

 第二から第四で、特に見込みありと思われた人材が、第五に配属される。


 先史文明のやらかしのおかげと、内乱時期ではないおかげで、対人戦争を考えなくて良いのは有難いが、魔獣対策は常に行っている必要がある。

 騎士は、前世の警察のような職務も範疇だが、メインは魔獣対策だ。


 今回のバジルは、脅威度が低いので、王都警備の順番だった第二が行う。

 私達は、それに参加させてもらっているのだ。

 既に何体かのバジルは、第二に討伐されている。

 


「配置、終わりました」


「ご苦労。

 じゃあ、殿下。あれを相手に、やってみて下さい」


「はーい」

 同じ命なんだけど、動物と違って植物相手だと、気持ちが楽である。


「ダイヤモンドカッター!」

 動いている葉は3つ。それに合わせて、3つ作ってみた。

 一気に切り落とせるように、全部それなりに魔力を込めてみたぜ。


「ッ!! 総員、退避!」


「え? あ!」

 狙いは全て当たったんだけど。


「騎士の安否を確認してくれ」


 

「全員、無事です」


「分かった。済まなかったな」

「すみませんでした」

 私も謝る。


「いえいえ、これ位なら。

 後の事はお任せ下さい」



「さて、殿下。

 申し開きを聞きましょうか?

 レーザーの時はまどろこしい程、周囲に危害が及ばない様に気を配っておられたのに、今回のこの失態は、どのような了見によるもので?」


「申し訳ございませんでした」


 レーザーは外れたら何処までいくかと思って、しつこいくらい注意してたんだけど、今回のは当てられたら止まると思ってたんだよね。

 外れても本体に刺さる角度を狙ったから、多少力を込めても平気だろうと思ったんだけど、一つ茎を切り取ってさらに飛んで行ったのがあった。

 結果的に、誰にも怪我をさせたりせずに済んで、本当に良かったと思う。


「次からは、どの程度の力をどう込める気なのか、事前に相談して下さい」


「分かりました」

 ホントすみません。



 ちなみに、獲ったバジルは意外にも、非常に食べやすかった。

 前に鳥の丸焼きを作った時のドライハーブも、かなりの量を使った。

 ハーブの風味が、前世よりも薄いのだと思う。



読んで下さってありがとうございます。

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