生物の授業 神獣
「神獣は生物ではない、と言われていますね。
アトラスの崩壊時、人類を滅亡から逃れさせるために、魔素の管理を行うように作られたシステムである、と」
神獣は、世界樹と神龍の2種のみ。
世界樹は前世と違うので、世界各地に複数ある。
ある程度近い場所からなら、天気が良いと見える事もあるが、魔境の奥深くに存在しているので、人類が近づく事は今現在は実質不可能。
大樹を獣呼びするのが前世的に腑に落ちないが、移動可能らしいし、こちらの世界では植物系の生物も獣と呼ぶのが普通というか、動植物があまり区別されない。
神龍は、前世の龍と近いイメージだ。
こちらも複数居て、上空を飛んでいるのがしばしば目撃される事がある他、海での目撃例もある。
神獣が本当に生物ではないのかどうかを実際に確認するのが夢だ、と授業を脱線しかかったので止められている。お付きの必要な生物学教師、ポポフ博士です。
「神獣に随行し、働きを補助したり、守ったりしている、と考えられている従属神獣ですが、こちらは生物であると確認されています」
神獣は、人類を救うためのシステムと考えられている割に、先史文明滅亡直後位には、人類の生存拠点を攻撃し、甚大な被害をもたらした歴史がある。
世界樹を守護し、神龍に随行して、行動を助けていると思われている生物、それが従属神獣である。
人類との大規模戦闘になった時は、神獣とは異なり、斃れた従属神獣もいたという。
特に役割が無い時は、思い思いに行動し、捕食や生産活動などをしている所を目撃されることもある。
対して、神獣が何かを食べていたり、子育てをしている所を見られたことは無く、死体が見つかったことも無い。
「それでも、私は神獣が生物だという仮説をたてています。
理由は、持続年数の長さです。
密かに世代交代が行われているからこそ、滞りなく保っていられるのではないかと……」
神獣の研究は、ポポフ博士生涯のテーマであるらしく、情熱強すぎてあまり授業にならなかった。
「天狼が来てた時、ポポフ博士ってどうしてたのかな?」
静かにしてたとは考えられない。
ちなみに天狼に名前つけました。
あるあるの従魔契約とかではなく、他の天狼と呼び分ける必要がある、というだけの理由で。
賢いんで、呼び名を決めて使っていれば、呼ばれている認識もしてくれるそうだ。
もっと劇的に名付けたかったなとか、こういうのって前世の知識から出すものじゃないのとかあるけど、結局セルゲイの出身の言葉で青空を意味するティランになった。まぁ、私が気に入ったからだけど。
「居ましたよ」
「え? 何処に?」
「どうしても近くで見たいって仰るんで、猿轡して簀巻きにして転がしておきましたっス」
仰る相手にする事ではなくないか?
「それより、さっきの授業、役に立たなかったっスね」
何を言い出すのかな!?
「天狼の話をもっとしておいてもらいたかったんスけど」
「なるほど」
「こないだで分かったと思いますけど、天狼の子育ては厳しいっス」
「ハイ」
「人間は、身分によって魔力量の差を意図的に大きくしてきました。
身分の高い人間は、他の人間に生活を支えられる代りに、全体の防衛を担っています」
「はい」
「成長で増える魔力量も考えると、ティランからは、俺達と姫様は別の種類の生き物みたいに思われてると思います。
つまり、姫様を本来の強さに育てるには力不足だと捉えるでしょう。
天狼は、従属神獣っスけど、それ以上に野生の生物です。
弱く育つと生き残れない世界で、生きています。
面倒を見ると決めた子供は、出来る限り強く育てようとするのが当然。
俺達にとっても好都合です。
姫様は、暴力の無い前世の価値観を知っていて、戸惑う事も多いでしょうけど、悩んでいられる時間はもうないかもしれませんよ」
それ、何のフラグ?
読んで下さってありがとうございます。
字数安定しなくてすみません。
次回あたり、クライマックスかと思いますが、
ちょっと時間をかけて書きたいので、
次の更新は来週になると思います。
すみません。




