ボーン イン ホーンテッドハウス
「♪~♪~♪~」
「「♪~♪~♪~」」
休みの日のあり方としてどうかとも思うが、双子に曲を教えている。
「おはようございます。
王妃様からプレゼントのお届けですよー」
「……セルゲイって、いつ休んでんの?」
「まあ、姫様のとこに居る時は、何事も本気では取り組んでませんから。
毎日が休みみたいなもんっス」
「……言っていい事なの、ソレ?」
「まあまあ、とりあえず入れちゃいますよ」
「?」
騎士が二人がかりで、何か家具のようなものを運んできた。
休みなのにと思ったが、休みだから交代で働く騎士だったらしい。申し訳ない。
「さぁ、王妃様から、鏡台のプレゼントですよー」
「うぐ!」
……一気に精神ダメージを負ったのだが、何故精神ダメージを負ったのか、そして何故精神ダメージを負うようなものが贈られてきたのか、少し遡らなくては、説明できない。
この城で生まれ、この城で前世の人格を取り戻した私だが、なかなか今世に馴染む事が出来ないでいる。
前世と今世の世界観が違う、という点もなくはないが、単純にこの城が馴染みにくいというのがある。
出来てから数百年、古城という程ではないが、新しくはない石造りの城。
家具や装飾などは、妙にアンティークぽい。豪華だからそう見えるのかもしれないが、デザインがアンティークぽい。
前世の個人的な記憶は持っていない私ではあるが、感覚的には日本人なので、文化圏の違う城に住んでるのが、まず馴染まない。
そして、廊下にある鎧が、本当に動いたりする。
最初に気が付いた時は、悲鳴をあげてしまったが、
「鎧が動いた?
そりゃそうっスよ。
リビングアーマーでないと、置いとく意味ないじゃないスか」
魔素のせいで、付喪神みたいな現象が起こるのである。
ゲームのような高い戦闘力はないのだが、見張りになるという認識をされていて、付喪神状態になった装飾品は積極的に飾られるのが、こちらの世界の常識。
見張りは生きた人間の方が良いんじゃないかとか、付喪神に自分の行動が見られるのが怖いとかいうのは、前世持ちの感覚であって、こちらの世界の人は、付喪神の方がプライバシーが守られて良い位なのだ。
したがって、絵画なども目が動いたりするのである。
これがなかなか慣れなくて、私の部屋には付喪神は置かないようにしてもらっている。
とは言え、一歩廊下に出れば、そこはホーンテッドハウス状態なのだ。
そんな雰囲気のありすぎる住環境に加えて、夜中にふと目を覚ましてしまった時に、鏡を見てしまった時の恐怖といったら……
想像してみて欲しい。
雰囲気たっぷりの暗い城の鏡に、白い髪白い眼の女の子が映っているところを。
私の容姿は、基本的に母譲りなので美幼女、そして白髪白目。
母は王妃なのに、明るくて元気で表情も結構くるくる変わるから、目が白くても怖くないのだが、その気も無しに映り込んだ自分の顔は、基本無表情なのである。
という訳で、鏡を見るたびに悲鳴をあげたり、多少慣れてきてもビクッとしてしまったり。
部屋に鏡は置かないようにしてもらっていた私だったのだ。
しかし、4歳の誕生日にも鏡を見て悲鳴をあげてしまい、鏡をプレゼントするわね、という話になってしまったのだ。
「遂にきてしまったか……」
もういい加減、慣れろよ、という事ですね。分かりますけど。
「キレイな鏡台じゃないですか。
何が怖いんスか?」
ニヤニヤしてるセルゲイ、何を怖がってるか分かってて言ってるだろ。
「どうすっかな、コレ」
よりによって、白雪姫の継母が語りかけるような雰囲気たっぷりの鏡台である。
「「らんた~ん」」
ランタン? よし、せっかくだから、遊んでみよう。
「鏡よ、鏡よ、鏡さん。
この国で、一番美しい女性は、だ~れ?
それは、わ「「らんた~ん」」たし、な~んちゃ……
なんか、映った?」
「……ゲッ!?
姫様、見ちゃいけません」
鏡を覆われたが、バッチリ見てしまった。
「なんか疲れた感じの女の人が映った」
「あ~。
ちょっと、報告行ってきます」
「?」
セルゲイが出て行ってしまったし、ランタン達に聞いてみる。
「さっきの女の人が、この国で一番美しい女性なの?」
「「らんたん」」
この返事は、イエスの時のだな。
でも、映った女の人は若くなかったし、やつれた感じだったし、バックも牢みたいで、国一番の美人、というには無理があったけど。
「♪~♪~♪~」
「「♪~♪~♪~」」
セルゲイも戻って来ないし、ランタン達がやって来てしまったし、再び、双子とランタン達の相手をする。
「姫様、さっきの鏡は、持っていきますから」
「どうぞ!」
「……」
なんか、ジト目で見られたが、私のせいではないと思うよ。
読んで下さってありがとうございます。
そろそろ世界の説明を終わって、主人公に動いてもらうところですが、
作者に長めのエピソードを書く能力が不足しているために、
更新を一度、エタらせて頂きたく思います。
稚拙な文章にこれまでお付き合い頂いて、
本当にありがとうございました。




