子守するランタン
「あ、い、う、え、お。
か、き、く、け、こ……」
「らんた~ん」
あれから色々試したが、あの天の声っぽかった音声は、本当にスキル『前世の知識』の説明しかしてくれなかった。
と言う訳で、今、分かっている事。
1,ここは地球ではない。
これだけは、スキル説明の音声も言ってくれる。
しかし、何処かというか、ここの名前とかも分からない。
2,自分は赤ん坊。歯が生えてるので、多分生まれたてではない。
3,言葉は分からない。
辛うじて、自分の事はアレクサンドラと呼ばれてると分かる。
厳密な発音はアレクサンドラではないが、カタカナに直すとそんな感じ。
4,自分は身分が高い、または、金持ちの子。
普段は乳母に面倒を見てもらっている。
部屋には乳母の他に、メイドさんと騎士っぽい人が交代で常駐している。
乳母は一人しかいないようで、夜もこの部屋で休んでいる。
日に2回くらい、実母と思われる女性に会える。
実母の部屋に連れていってもらったり、実母が訪れたり。
あと、この部屋に、乳母の子と思われる赤ん坊がいる。
5,魔法っぽいものがある。
メイドさんが水を出したり、火を出したりしていたので、生活に気軽に使っているようだ。
ただ、ここは結構金持ちの家みたいなので、どの程度普及しているかは分からないが。
6,スキル『前世の知識』の経験値は感覚で分かる。
分かってる事少ねぇー。
むしろ、ほとんど何も分からん。
仕方ないので、唯一分かっているスキルの経験値を上げてみることにした。
そこで問題になったのが、赤ちゃんの滑舌の悪さである。
どうやら、考えてるだけだと経験値にならない。
一方で、発音するとある程度経験値になる。
さらに言うと、聞いてくれる人数が多いほど経験値になる。
しかし、ちゃんと発音出来ないと認められない。
そんな訳で、五十音の発音練習をせっせとしているのである。
これだけでも、少し経験値になる。
部屋にはメイドや護衛騎士ぽい人などの出入りがあるが、メイドさん中心に、不気味なものを見る目で見られている。
……だよね。
でも、自重しない。
最初はちょっと普通の赤ちゃんの振りをしようかと思ったけど、速攻で挫折した。
先ず、常に誰かが見ている。
自分が赤ちゃんだと言う事を考えると、良い環境かもしれないが、こっそり何かをするのは無理。
そして、他にやる事ないし。暇すぎ。
あと困った事に、言葉が分からないので、俺TUEEE系ではなく不遇転生系の可能性があると思う。
そのために、僅かでもアドバンテージを稼いでおくべき。
「あ、か、さ、た、な、は、ま、や、ら、わ。
い、き、し、ち、に、ひ、み、り……」
「「らんた~ん」」
そして今、ぶっちぎり気になっているのがコレ。
空飛ぶランタン。
最初、100%魔道具だと思ったんだけど、ワンチャン、生き物の可能性を疑っている。
何故なら、こいつらに五十音を聞かせると、経験値になるからである。
空飛ぶランタンは、この部屋に5~10匹いる。
……匹で数えるものではないかもしれないけど。
辺りが明るいうちは、基本的にいない。
夕方薄暗くなってくると、何処からともなく1匹ずつ現れる。
暗くなっていくにつれて5~10匹になる。
夜は頑張っても寝てしまうので、朝には消えてる事しか分からない。
部屋の天井にはシャンデリアのようなものがあるのだが、ランタンの明りだけで十分なので、シャンデリアぽいのが明りなのか飾りなのか未だに分からないでいる。
ランタン達の見た目は完全にただのランタンである。
デザインはそれぞれ。LEDの現代的なものよりも、昔ながらの火を使うタイプ。レトロでおしゃれなデザインである。
大きさは、高さ30㎝位。自分の体の大きさが、前世の赤ちゃんと同じくらいだったとしてだけど。
そして「らんた~ん」と鳴く(?)。
出現時に必ず鳴いて現れる他、好きな時に鳴いている。
気になっている最大の理由は、私が気に入られたっぽいからである。
もう一度言うが、私がランタンを気に入ったのではなく、ランタン達が私を気に入ったっぽいのである。
「いろはにほへとちりぬるを……」
「「「らんた~ん」」」
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そう言えば、ここから先は知らないや。
今は昼間なので、本来はランタン達の活動時間では無いと思う。
暗くなってきた時と違って、明りの灯っていない状態のランタン達。
私が前世の知識に属する事を声に出していると、出現して明らかに私の周りを飛び交うようになってしまった。
顔こそないが、前世のゲームの雑魚キャラのように体を多少ねじったりできるようで、意外と表情(?)豊かである。
読んで下さってありがとうございます。




