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マッドサイエンティスト系料理長


 気分を変えたいと言ったら、城内を見回ってみよう、という提案をされたのでのる事にした。


 王族であっても10歳未満ならば礼儀などをあまり問わない、というのがあって10歳未満の王族は、歩くご意見収集箱みたいな役割を期待されているそうだ。

 大人になったら仕事の邪魔になるから行けない所も、子供の内は積極的に見て回るべし、という事で連れて行ってもらう事にした。


「今日は休みなんで、仕事してない所も多いですが、働いてるとこもあるんで行ってみましょう。

 治癒魔術を使ってくると良いっス」


 どんなスキルもLv4位にならないと役に立たないので、初期のレベル上げには周囲も協力的との事。

 特に王族の治癒魔術は、重要そうだしね。


「10歳未満の王族の巡回でーす」


 先ずは、洗濯係の所へ。

 貴族所縁の平民身分の人が主な働き手。大体、女性6割、男性4割。

 昔は、女性しかいなかったらしい。

「グレゴリー様が、下着を女性に洗ってもらうのを嫌がったのがきっかけで、僕のように男も働くようになったんですよ」

 ……そんな理由なのか。分からなくはないけど。

 

「男性の下着だけでなく、力のいる仕事を行ってもらってます」

 身体強化を使ってもいいけど、魔力が節約出来ればその分、水を出したり、早く乾かすのに魔力を使ったりも出来る。

「後は、男しかいない部署の洗濯ものの回収と返却も行ってます」

 騎士は女性もいるが、配属によっては男性しかいないところがあり、若い女の子だと変な声掛けをされた事があったりで、セクハラ防止的な面もあるようだ。


「ヒール」「ヒール」「ヒール」

 とりあえず、皆の手に治癒魔術をかけて回る。

「ありがとうございます、王女様」

 ニコニコしてお礼を言ってくれるが、元々皆あんまり手が荒れてない。

 曾祖父様が職場改善を行ったおかげで、炊事手袋みたいなものとハンドクリームが支給されているからだ。

 特に女の人はちゃんとお手入れしているので、治癒魔術の効果が全然分からない。

 男の人だと、手入れしていて奇麗な手をしている人と、面倒くさがって手が荒れてる人とに分かれる。


「ヒール」「ヒール」「ヒール」

「すみません、王女様。普段手入れしてないもんで」

 酷い手荒れだと重ね掛けしても効果はいまいち。


「……あんまり治らないね」

「もうちょっと頑張れば、Lv2になると思うっス」

「ヒール」「ヒール」「ヒール」

「……もう全員?」

「今日は、人数が少ないですから」


「厨房に行きましょうか」

 使える魔術がショボいせいか、魔力切れまではほど遠そうなので、手荒れの酷そうな他の職場へ。


「10歳未満の王族の巡回でーす」


「おおっ!? アレクサンドラ様? アレクサンドラ様ですよね!」

「あ、やべっ」

「?」

 セルゲイが変な呟きをして、私を抱っこしたまま引き返そうとしたが、中の人が意外と素早くて捕まる。


「……料理長、今日は休みでしたよね?」

「ええ、そうですよ。

 さ、アレクサンドラ様、こちらに」

「?」

「さ、こちらは、我が国にニホンから転生してきた方々のレシピ集でございます」

 

 こっちの言葉がまだそんなに読めないので、説明してもらった。

 ……もう、私が出来る事なくない?

 マヨネーズ、揚げ物、蒸し物、ハンバーグ、プリン、アイスクリーム、パスタ、ピザ……。

 料理無双系で出る様なアイデアはもう出てる気がする。

 

「マヨネーズとアイスクリームは、ショクチュウドクが理由で禁止令が出てるっスよ」

「え!?」

 どういう事?

「残念ですよねぇ」

「……料理長は、禁止令の出ているマヨネーズとアイスクリームを自分で作って食べて、倒れた事があります」

 耳打ちしてくるセルゲイ。

 この世界、マッドサイエンティストみたいな人、多すぎじゃない?


 いやそれより、マヨネーズとアイスクリームがアウトって。

「プリンは平気なんだよね?」

「アレクサンドラ様はお召し上がりになった事があると聞いております」

 そうだ。食べた。


 非加熱の卵がダメって事?

 卵は殻の外側にサルモネラ菌がいて、これが調理中に中に入ってしまうのが食中毒の原因になる。

 日本の養鶏農家さんは出荷前に洗ってくれてるし、原因の全てとは限らないけど。

 アイスクリームは、低温が理由で菌の繁殖が抑えられている。

 マヨネーズは酢の酸性で菌の繫殖が抑えられているから、非加熱で酢の量の少ない手作りマヨネーズだと食中毒も起きたりする。


 ……卵を使う前に外側を良く洗えば大丈夫かもしれない。

 でも、蜜蜂のサイズがあれだけ違うなら、安易に前世の知識で結論は出せない。

 前世のサルモネラ菌≠今世のサルモネラ菌、かもしれないし。

 この料理長、自分の体で試しちゃうし。


「卵を使う前に良く洗った方がいいけど、確実じゃない」

「洗って使ってはおりますけどねぇ」

 料理長が卵を見せてくれた。

 ……デカい。

 人間の赤ん坊サイズ。

「王城で飼育しているコカトリスの卵です」

 鶏卵ですらなかった。

 ……というか、コカトリスの卵のプリンを食べてしまっていた、私。



読んで下さってありがとうございます。


誤解のある方がいらっしゃったので、念の為。

サルモネラ菌が卵の殻の内側にいるならば、

どの世界でも、生卵は食べられません。

サルモネラ菌がいるのは殻の外側です。

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