第四十話「世界級スキル:異世界言語習得」
第五層のボス、ヴァンパイアは俺たちの姿を見るとケタケタと笑い出した。
どうやらヴァンパイアも魔物という位置付けで、喋ることはないらしい。
……しかし、庭のダンジョンの第十層にいたジェネラルオークだけは普通に言葉を喋っていたが、あれには何か理由があるのだろうか?
それ以来、俺は言葉を喋る魔物と出会っていないから、あいつが特別だったことは今になって分かるのだが、それがどういった理由で喋っていたのかも分からない。
『そなたは強いな。これならあの娘を解き放つことも――』
そんなことをそのジェネラルオークは言っていたが、俺はその時エレナのことかと思っていた。
だが……もしかするとエレナのことではないかもしれない。
なぜなら、エレナはダンジョンからすると外部の人間だ。
つまりジェネラルオークが彼女のことを認識しているはずがないのだ。
その謎は日本が落ち着き、俺が愛しの我が家に帰れるようになってからゆっくり解き明かしていこう。
「さて、ヴァンパイアも私が倒してしまっていいですか?」
ユイは戦意剥き出しにそう言った。
俺はそれに頷くと発動しようとしていた魔法を中断した。
「ああ、もちろん構わないぞ。ユイが思う存分やっちゃってくれ」
「ありがとうございます! それでは、行きます!」
そして彼女は細剣を構えると地面を蹴り、一気に飛び出してヴァンパイアに攻撃した。
ヴァンパイアはどうにか避けようとするがユイの攻撃の速さに避けきれず、その攻撃をもろに食らっていた。
「グアッ!?」
小さく悲鳴を上げるが、流石は最上級ダンジョンのボス。
一撃で死ぬということはなかった。
ユイは一度突いた細剣を引き小さくバックステップすると、再び飛び出し今度は心臓を一突きし、そいつは粒子となって消えた。
「やっぱり手応えがないですねぇ……」
「そうですね。流石にユイさんには第五層のボスは弱すぎましたね」
そして第六層に下りながら、俺はステータス画面を確認していた。
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名 前:斉藤レン
年 齢:27
レベル:387
体 力:3721
魔 力:4196
防御力:1091
筋 力:3987
知 力:5894
幸 運:2360
スキルポイント:10010
スキル:《ステータス閲覧Lv.10》《剣術Lv.11》《爆炎魔法Lv.12》《竜魔法Lv.7》
耐 性:《打撃耐性Lv.10》《炎耐性Lv.9》《氷耐性Lv.9》《炎耐性Lv.8》《水耐性Lv.4》
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レベルが一気に上がっているのは経験値貯蓄ペンダントの経験値を使用したお陰だろう。
それに加え、スキルポイントも一万を超えていた。
俺は新しく入手できるスキルが増えているかどうか確かめてみようとしてーー。
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入手可能スキル一覧
世界級スキル……
異世界言語習得(10000)、賢者の心眼(10000)
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この二つが追加されていた。
異世界言語習得のほうが気になるが、俺はひとまず賢者の心眼の詳細を見てみることにした。
《賢者の心眼》
世界級スキル。作成者は***。
このスキルにスキルレベルは存在しない。
このスキルを使うと瞳の色が赤色に染まり、相手のステータスやスキルを閲覧したり、魔力の動きを可視化したり出来る。
……メチャクチャ強い。
ともかく異世界言語習得のほうも見てみよう。
《異世界言語習得》
世界級スキル。作成者は***。
このスキルにスキルレベルは存在しない。
異世界アベルの言語を習得できる。
説明文はたったのこれだけだった。
……異世界アベル?
なんじゃそりゃ。
そう首を傾げるが、そういえば、庭のダンジョンの第二十九層で見つけた杭に見知らぬ文字が刻んであったな……。
それのことか?
ということはこのダンジョンはもともとその異世界アベルにあったものということか?
あながち間違いではなさそうだが……。
まだダンジョンについては分からないことだらけだし、そもそもあの庭のダンジョンでは何故時間が止まって、体力も魔力も減っていかないのかも分かっていない。
俺たちが外部の存在だからーーと憶測しているが、それも正しいとは限らなかった。
「何か悩んでいるようだけど、何かあったの?」
俺がステータス画面を眺めていたらエレナがそう尋ねてきた。
俺は頷くとステータス画面を見せる。
「この異世界言語習得なんだが……」
「あっ! そういえば私のダイヤモンドソードにも文字が書いてあったわね」
確かに思えば不思議な紋章がその剣にも無数に掘られていた。
このスキルを習得すれば、その文字も解読できるということか?
気になる……気になるが、それに10000ものスキルポイントを使うのはもったいない気がする。
そんな会話をしているとユイとアリエスも近づいてきて尋ねた。
「どうしたんですか?」
「旦那様、何か気になることでも?」
俺は再びステータス画面を二人に見せて説明する。
「……なるほど、確かに気になりますが、10000ポイントはもったいないですね」
「まだ保留でいいのではないでしょうか。そう焦る必要はないと思います」
確かにアリエスの言うとおりだ。
このことはいったん保留としておいて、俺たちはダンジョンの先に進んでいくのだった。




