第三十八話「家の中にプール……だと……」
「うぉお……大きい……」
俺はロス郊外にあるレーアの家を見て思わずそんな声が漏れた。
白色を基調としたその建物はとてもクリーンな印象だ。
「これでもここら辺では四番目の大きさだからね。まだまだよ」
「アメリカンドリーム過ぎるだろ……」
これで四番目とか、俺の愛しの我が家が情けなく思えてくる。
我が家が二十ほどは入ってしまいそうな大きさだった。
「さて、早速入って。色々案内するわ」
そう促され俺たちはその家に入った。
アリエスは何度か入ったことがあるのか、驚いた様子は無かったが。
俺とユイとエレナはキョロキョロと家の中を見渡してしまう。
「まずはここがリビングね。そしてここが寝室よ」
そんな風に色々な場所を案内して貰っていると——。
庭にセレブ御用達のプールまで備え付けられているのを知った。
「このプールは温水にもなるから、冬でも入れるのよ」
「……凄いわね。冬に水に浸かるなんて考えられないわ。これも現代の力なのね」
いやいや、これを現代の常識として捉えないで欲しい。
こんなのが家の中にあるのはマジで特別な人間だけだから。
「あ、そうだ! まだ昼過ぎだし、プールに入らない? 気持ちいいわよ」
「え!? 良いんですか!?」
早速ユイが食いついた。
それにレーアは微笑んで頷くと言った。
「もちろん。一応友達が来たときように色々な水着を用意しているわ」
「わーい! それだったら入りたいです!」
というわけで、急遽プール大会が開かれることになった。
……男俺だけとかメチャクチャ気まずいんだが。
しかも腹が少し出てるおっさん手前の男だぞ、俺は。
流石にこんな美少女美女たちに囲まれていい男ではない。
俺はそう思ったので首を横に振ると言った。
「いや、俺は入らないかな。ちょっとリビングでゆっくりしているよ」
そう言った俺にアリエスははあっとため息をついて言う。
「旦那様って意外と意気地なしなんですね。こんなにも美少女たちが集まっているのに」
「いやいや、だからだよ。流石にこの中に俺が混じっていいわけない」
するとアリエスを真似してユイもため息をつくと言った。
「本当にレンさんって意気地なしですね! 一人だけ休んでるとか、空気読めないって言われませんか?」
……ぐっ。
そこまで言われるか。
まあ確かにみんなで楽しもうって時に一人だけリビングで休むってのも空気読めないか……。
しかし踏ん切りがつかない俺にエレナが不思議そうに首を傾げて言った。
「そもそも何を気にしているの? 別にそんな気にするようなことかしら?」
「……なんかエレナの言葉を聞くと悩んでるのが馬鹿らしく思えてくるな」
そう言った俺にレーアは微笑んだ。
「じゃあ入るって事で良いわね、レンさん」
「はあ……分かった。俺も一緒に入るよ」
そんなわけで、俺は何故か美少女美女たちに囲まれてプールに入ることになった。
俺は寝室の一つを借りて水着に着替える。
しかしこの水着、新品そうだったけど、タグを見ると高級ブランドのものだ。
俺なんかのために封を開けてしまっても良かったのだろうか?
恐々としながらも着替え終わると、俺は庭に出た。
そこでは既に美少女たちが待っていて——というか既にプールで遊んでいた。
気が早いなぁ……。
「あっ! レンさんが来ました!」
「ほら、早く入りなさい。遅いわよ」
ユイとエレナにそう言われ、俺はプールに近づく。
うん、みんな水の中だからあんまり身体を見なくて済む。
良かった良かった。
そして俺はプールに近づき、ゆっくりと足を入れていく。
それを見ていたユイが近づいてくると、思いきり手を引っ張ってきた。
引っ張られ、俺はプールに思いきり落ちる。
「うわっ!」
「ふふっ! 遅いですよ、レンさん!」
くそう……やりやがったな。
俺はお返しとばかりにユイの顔に水をかけた。
「わっぷ! やりましたねー、レンさん!」
そしてユイにやり返され、その応酬を続けていると、エレナが近づいてきて、彼女も俺の顔に水をかけてきた。
「って! エレナも俺の敵かよ!」
「私がレンの味方になると思う?」
まあ思わんが……。
それからアリエスもユイの味方に回り、俺は美少女三人から水をかけられ続ける。
……イジメじゃん、もう。
ちなみにレーアはそれを微笑みながら見守るだけだった。
ちょっとくらい止めてくれてもいいんじゃないかね?
「はあ……そろそろ疲れましたね!」
満足そうにユイが言って、みんな頷いた。
一番疲れているのは俺だと思う……。
「いったん休憩にしましょうか!」
そう言ってプールから上がろうとするユイに俺は思わず視線を逸らした。
あ……これは彼女たちの水着姿が見えてしまうのでは?
マズいと思った俺は視線を全力で逸らしながら言った。
「あー、まだ遊び足りないなー。まだかけられ足りないなー」
「……レンってMだったりするの?」
呆れたような表情でエレナに言われて、俺は言葉詰まる。
「そ、そんなこと無いが……」
「それじゃあいったんお終いよ。疲れたわ」
そしてプールから上がっていく少女たちを俺は止めることが出来なかった。
俺は必死になって視線を逸らしているのに気がついたアリエスは、何故そんな行動を取ってるのかを理解したらしく——。
「旦那様って意外とえっちな人なんですね」
彼女は頬を赤らめてそう言った。
それを聞いたユイとエレナもようやく水着姿をしっかり見られることに気がついてこう叫ぶのだった。
「レンさんってえっちですね!」
「……レン。もしかしてあなたって変態だったりする?」




