第二十話「久しぶりの庭ダンジョン」
それから何とか籍を入れるのを回避すると、俺はお金だけ払って家に帰ってきた。
危ねぇ……何とかなったか……。
帰ってきた俺に、キッチンでお菓子を作っていたユイは不思議そうに尋ねてくる。
「どうしたんですか、そんなに疲れた顔をして? ただ受取してきただけでしょう?」
「そうなんだが……まあ色々あってな……」
俺は疲れたようにそう言うと、ソファに身を放り投げた。
はあ、マジで疲れた。
タッタとエレナも階段から下りてきて、リビングに入ってくる。
「どうだったの、成果は?」
「ああ、成果は上々だよ」
「それじゃあダンジョンに潜りましょう」
何だか早速やる気のエレナに俺は疲れたように返す。
「それは明日な。今日は疲れたんだ」
「どうしたのよ? 何かあった?」
「まあ、何かあったかのと聞かれれば、あったのだが」
不明瞭な俺の言葉にエレナは首を傾げる。
しかし俺はそれ以上言う気はなかったのでテレビをつける。
言ったところで何かが変わるわけでもないしな。
そんな俺たちの元に出来上がったシフォンケーキを持ってユイが来る。
「はい、レンさん。これでも食べて元気出してください」
「ありがとう、ユイ。それにしても美味そうだな」
「ふふっ、今回のはとても上手く出来たのですよ! 自信作です!」
胸を張ってドヤ顔で言うユイになぜか癒される俺。
今の俺は相当荒んでいるんだろうな……。
「じゃあ、いただきます」
「はい、召し上がれ。エレナさんも食べてください!」
そして俺たちはシフォンケーキを食べ、ゆっくりとその日を過ごすのだった。
***
一日経ち、完全復活した俺は二人にこう宣言していた。
「さあ、庭のダンジョンに潜るぞ!」
「……昨日とはえらく威勢が違うわね」
そんな俺を呆れたように見つめるエレナ。
しかしユイはついてこようと無理に元気いっぱいに言った。
「は、はい! 潜りましょう!」
「……ユイは無理に合わせなくていいのよ?」
まあそんなわけで、俺たちはダンジョンに潜ることになった。
ここに潜るのは二週間ぶりくらいか。
今は経験値蓄積ペンダントがあるので、レベルを上げずにダンジョン資源を手に入れられる。
同時にスキルレベルも上げられるし、経験値も消えるわけではないので、実質一石三鳥だ。
そして転移ゲートを使い第二十層のボス部屋まで飛ぶ。
ちなみに俺の現在のステータスはこんな感じだ。
――――――――――
名 前:斉藤レン
年 齢:27
レベル:304
体 力:3102
魔 力:3710
防御力:900
筋 力:3308
知 力:5071
幸 運:1101
スキル:《ステータス閲覧Lv.9》《剣術Lv.10》《爆炎魔法Lv.10》《竜魔法Lv.3》
耐 性:《打撃耐性Lv.10》《炎耐性Lv.7》《氷耐性Lv.8》
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しかしステータス閲覧のレベルは上がっても今のところ何も変わっていないが。
レベル10になったら何か変わるのだろうか?
後は新しいスキルとかも覚えてみたいよな。
長い訓練を積めば独自のスキルとかも生えたりするらしいし、それもやってみてもいいかも。
そんなことを考えつつ、俺たちは第二十一層までやってきた。
そこは所々でマグマがグツグツと煮え立っているステージだった。
「うわっ、あっつ……くないな。やっぱり熱も俺たちには関係ないらしい」
「そうみたいですね。流石すぎます、このダンジョン」
俺の言葉にユイが同意するように頷いて言った。
そして出てきた魔物、バジリスクと対峙する。
バジリスクはSランクの魔物だ。
普通のステージでそのランクの魔物が出てくるということは、ボスはかなり強いはず。
といっても俺たちには攻撃は効かないし、時間をかければ絶対に倒せるのだが。
「じゃあラストの攻撃は俺がするから、いったん弱らせよう」
そうしないと二人に経験値が入ってしまうからな。
ペンダントは一つしかないし、それだけは避けたかった。
俺の言葉に二人は頷くと、そのバジリスクに攻撃を始める。
三十分もかかったが、ようやくバジリスクは粒子となって消える。
やっぱり今までとは魔物の硬さもかなり変わってきていた。
「ようやく倒れたわね」
「そうだな。よし、ペンダントを確認してみよう」
そして俺は服の下からペンダントを引っ張り出す。
その色は青色とかを吹っ飛ばして紫色に変わっていた。
「おおっ……これはかなり入ったんじゃないか?」
「そうなんですか? もしかしてこの色で経験値量が分かるとか?」
ユイはそのペンダントを覗き込みながら言った。
「おっ、流石ユイだな。そうだよ、この色のグラデーションで経験値量が分かるらしい」
そんな彼女の言葉に俺は感心して声を上げる。
エレナは首を傾げてこう聞いてきた。
「なるほどね。上限とかはあるのかしら?」
「さあ? そこまで経験値を貯めていないから分からないのだとか」
確かに上限があると面倒だな。
でもあったとしても、これを見る限りそこまで上限は低くなさそうだ。
「まあ貯めていけばいずれは分かるだろう。ともかく今日はたくさん狩りまくるぞぉ!」
「おお〜!」
俺の言葉にユイが拳を上げてそう言った。
それから俺たちは丸三日も狩りをしてしまった。
久しぶりでテンションが上がっていたのだ。
経験値は紫から赤に変わり、それから濃い青に変わっていった。
どれだけの総量が入っているのかは分からないが、結構溜まったのではないだろうか。




