第十一話「最弱少女の最速成り上がり」
それから俺たちは三十時間も熱中してレベリングをしていた。
ちなみにレベルの成長曲線には三種類あり、一つが早熟型という最初のほうのレベルは上がりやすいが途中で頭打ちしてしまう型。
二つ目が均等型でずっと均等に成長していく型。
最後が大器晩成型という、最初はレベルが上がりにくいが、後半から上がりやすくなっていくという型である。
おそらく俺とエレナは均等型で、ユイが大器晩成型だろう。
全人類の統計的には早熟型が三割、均等型が六割、大器晩成型が一割だ。
大器晩成型が圧倒的に少なかった。
だからこそユイは《青のダンジョン》で色々と言われていたのだろう。
「ユイ、今のレベルはどんな感じだ?」
エンシェントウルフを一生狩り続けていたのだ。
Sランクの魔物は大規模レイドを組んで倒すような相手だし、かなり上がっているはずだが。
「ええと、こんな感じですね」
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名 前:新城ユイ
年 齢:21
レベル:98
体 力:1078
魔 力:1087
防御力:391
筋 力:1250
知 力:1240
幸 運:380
スキル:《ステータス閲覧Lv.2》《剣術Lv.3》《氷魔法Lv.2》
耐 性:《打撃耐性Lv.8》《氷耐性Lv.7》
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どうやら彼女は筋力と知力がほぼ同等の才能らしい。
だからエンシェントウルフが落としたスキルの氷魔法を覚えさせてみた。
まあラストの攻撃しかしてないから、スキルレベルは上がってないけど。
ちなみにエンシェントウルフは氷魔法も使ってきたから氷耐性もついていた。
「や、やっぱり、凄いです! 今までの私では考えられませんでした!」
嬉しそうにピョンピョンと跳ねながらユイは言った。
喜んでもらえて俺は凄く嬉しいよ。
「良かったなぁ。これでもうユイを最弱だと馬鹿にする人はいないぞ」
「そうですね! ようやく私も《青のダンジョン》から卒業できる……!」
そんな会話をしている俺たちに、エレナは冷静に言った。
「さて、そろそろ次の階層に行きましょう? 私もちょっとレベル上げしたくなったわ」
どうやらユイのレベルがドンドンと上がるのを見て、触発されたらしい。
それを聞いたユイは、申し訳なさそうに頭を下げる。
「ご、ごめんなさい。私ばっかりレベルを上げてしまって」
「いえ、それは構わないんだけど、ここからはパーティーを組みましょう?」
「はい! 私も十分上がったので、それが良いと思います!」
ユイがいいと言うのなら、そろそろパーティーを組むか。
そして俺たちはパーティーを組んで、次の階層に向かった。
第十七層も第十六層と同じく氷の世界だった。
出てきた魔物はエンシェントウルフと、ジェネラルオーク。
ジェネラルオークは第十層のボスだった相手だな。
しかしすでに倒した相手だし、それがいくら出てきても変わらない。
俺たちは楽々攻略しながら、第二十層まで来ていた。
「ようし、ボス部屋をようやく見つけたぞ!」
そして現在、俺たちは第二十層のボス部屋の前に来ていた。
何が出てきても変わらないが、少しワクワクするようになってきた。
――経験値的な意味合いで、だけど。
「早速行きましょう? ウズウズするわ」
どうやらそれはエレナも同じらしく急かすように言う。
ユイもかなり慣れてきたのか、その表情は落ち着いている。
最初の慌てようが嘘みたいだった。
「ああ、そうだな。じゃあ開けるぞ――」
そしてそのボス部屋にはエンシェントドラゴン。
SSランクとさえ言われている魔物だった。
現在、世界中を探してもこのSSランクの魔物を倒した人間はいない。
エンシェントドラゴンは《深淵迷宮》と呼ばれる世界一のダンジョンの第十五層のボスだった。
どうやら世界一位の探索者はそのエンシェントドラゴンの討伐に手こずっているらしい。
しかしそれは何となくわかる。
この威圧感とか見れば普通だったらちびって逃げるところだろう。
しかぁし! 俺たちには攻撃が効かないのだ!
エンシェントドラゴンはこちらに気が付き、その巨大な頭を向けてくる。
一瞬日和りそうになるが、俺は腕を構えて叫んだ。
「行くぜ――《混沌の嵐》!」
ごぉっと黒炎が巻き起こり、エンシェントドラゴンを包み込む。
圧倒的な火力を前に、エンシェントドラゴンは悲鳴をあげた。
「ガァアアアアアアアアアアアア!」
その様子を俺たちは確認すると、ユイが背負っていたカバンからおにぎりを取り出した。
「とりあえずあれが死ぬまで休憩しましょう。疲れないしお腹が減らないとはいえ、暇ですし」
「そうだな。しかしいつの間におにぎりなんか作ったんだ」
「ハンバーグを作るときに一緒に作っておきました。まあ塩おにぎりですけど」
そしてその美味しい塩おにぎりを食べていたらエンシェントドラゴンが粒子になって消えた。
俺の魔力は無限だからな、ずっと魔法を使い続けられるのだ。
「お、終わったわね。それじゃあ転移ゲートを探しに行きましょう」
残念だったな、エンシェントドラゴン。
あいつもここまで適当に倒されるとは思ってもいまい。
「……って、何かドロップしてますよ?」
ユイがエンシェントドラゴンのいた場所を見て言った。
ホントだ、あぶねぇ。
もう少しで見過ごすところだった。
「どれどれ、何を落としたのかなぁ?」
そしてドロップ品を見てみると、それはスキル《竜魔法》だった。
「おお、竜魔法だって。強そうだな」
そしてそのスキルの書をどうするか考えていると、ユイが言った。
「それはレンさんが使ってください! いえ、そうすべきです!」
「それには私も同意だわ。レンが一番いいと思う」
「そうか? まあそう言うなら遠慮なく使わせてもらうよ」
そして俺は竜魔法を手に入れた。
まだレベル一だから使える魔法は《咆哮》というものだけだった。
どういう魔法かは分からないけど、あとで使ってみよう。
そして俺たちは開いた扉に入ると、地上に繋がる転移ゲートが見つかるのだった。
ついでにさらに下層に続く階段も見つかった。
……まだあるのかよ、このダンジョン。
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名 前:斉藤レン
年 齢:27
レベル:301
体 力:3051
魔 力:3580
防御力:890
筋 力:3241
知 力:4970
幸 運:1081
スキル:《ステータス閲覧Lv.8》《剣術Lv.10》《爆炎魔法Lv.10》《竜魔法Lv.1》
耐 性:《打撃耐性Lv.10》《炎耐性Lv.7》《氷耐性Lv.8》
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