第7話 脳みそキャパオーバー
集中できる環境だとおててがすいすい進むぅ!!
ついでに考えあぐねていた設定がすごい速さで出来上がっていくぅ!!
こんな気持ちで小説を書くのなんて初めて!
もう何も怖くない!
受験だって怖くない!
まさかの、まさかのクエストである…?
しかも入門ってことは、その先も存在するということであって長編ものの可能性も…
いやそもそも、このクエストの発生条件って何?俺ただ薬草についてちょこっと質問しただけだよな。そんな電源ボタンみたいなことある?
どんなに心の中で問いかけても無機質な半透明ウィンドウは返事をせず、ただこのクエストを受けるかどうかの二択を静かに迫ってくるだけだ。
「あのー、何で新規客の俺なんかにいきなりこんな話を…?」
「さっきも言ったけど、この街って薬草を使う職業の人があんまりいないからさ…」
そういえばキャラメイクの時に職業を決めるところがなかったけど、プレイヤーってもしかして無条件で無職スタートなのか…?いや、きっと称号に冒険者ってついてたから初期職業は冒険者なんだろう、きっと、多分、恐らく…そうであってほしい。
とはいえ、このApocalypse…えっと確か縮めてアオマゲオンラインをプレイし始めて初日にこんなクエストを受注しちゃってもいいものなんだろうか?
…あ、ウィンドウをよく見ると横に適正レベルなるものが…
[適正レベル:5~]
よ、妖怪イチタリナイ…
でも適正レベルが5以上ってだけであって低レベルでもクリアできたりすることもあるとかなんとか…仕入れ元はいつもの転校前高校のマブダチ。
よし、物は試しだ!グダグダ言ってないで一回受けてみよう。さすがに一個クエストを受けてる間ほかのクエストが受けられないなんてことは無いはずだし、まだ始めたばかりなのもあって精神的にはまだ余裕があるほうだ。
ということで「はい」のボタンを押して受注!
「わぁ!冗談で言ったつもりだったのに!」
ティムさん、俺さっきあえて口に出さなかったけど薬師がいないって言ってた時の表情すごく暗かったですよ。
「まぁでも…そうね、薬師が増えるのはいいことだわ。宛はあるから、今から言うところに行ってくれる?」
で、街の地図と一緒に座標をもらったわけだけど…ティムさん?ここどう見ても裏路地迷路ですよね?チンピラもといテンピラがたむろしてるところですよね?地図くれたのはすごくうれしいですけどね?もう一度カツアゲされる幼気な高校生になって来いと?
…本気です?
――――
「ふぃー…」
ゴーグルを外し目を閉じる。
あの後俺は気分を落ち着かせるために宿屋でセーブ、ログアウト処理を行った。ちょっと今日は情報量多すぎたかもしれない…ただでさえ初ゲームなのにやることが多すぎて頭がパンクしそうだ。
あ、そういえばレベルアップの時にもらったポイントも振ってないじゃん、また後でログイン…あ、宿題も…
一度ドツボにはまりかけた思考をリセットするべく2階の自室から階段を下ってリビングに行くと、純愛ドラマに見入っている母の姿が…
今現在親父は会社に行っており、母親は専業主婦なので昼間することがない時は大抵リビングでぐーたらしている。
とりあえず邪魔しないようにこっそりリビングの後ろを通り抜けてキッチンに行き、冷蔵庫から出した麦茶をコップに注ぐ…おっと氷を入れ忘れた。
まぁ冷えてるしいいか…と、麦茶を飲んでス~っと喉を通り抜けていく冷たさに頭がリフレッシュしたところでアオマゲオンラインについて少し考える。宿題?きっと数時間後の俺がなんとかしてくれるよきっと…
とりあえず触ってみての感想だが、NPCの見た目とかモンスターの見た目とか街の景観とかの全てがハイクオリティーだし、戦闘時とかステータスがあったからだろうけど思ったよりも現実より動けちゃったりしてびっくりしたし…とにかく初心者に触らせるには早すぎるでしょうこれ。
親父にこのゲームの情報をなんとなくで聞いた記憶が正しければ、アオマゲオンラインの初版が発売されたのは一か月くらい前らしい。それなのにも関わらず絶大な人気を誇り3日ほどで売り切れたんだとか。
あとで調べてみたら開発元の会社であるランタム社はアオマゲオンラインの前に一作品ゲームを発売しており、それがヒットしたんだそうだ。
そのゲームの名前は、Magic science Fantasy…通称MSF。
オフライン環境のそのゲームは、魔法と科学が融合したものであり、プレイヤーは魔力を媒介にして稼働する魔術機を使用して敵を倒したり、時には国家間の戦争事に巻き込まれたり…そんなハチャメチャな内容のゲームだ。
それのどこがウケたのかっていうと、極限までカスタムし放題だった魔術機の見た目やら性能やら…あとはストーリーも普通に良かったらしい。親父よ、先にこれをやらせてくれなかったのはどうしてなんだ…
その他にもいろいろあるけどとりあえず脱線しすぎた思考を戻して…っと。
麦茶を飲み終えた俺は自室に戻り、スマホを手に取って…あ、SNS通知来てる。
隼人『今いるかー?』
隼人『おーい?』
隼人『ハルー?』
うわ、これ30分くらい前の通知だ…早く返事送らないと。
春輝『ごめんゲームしてた』
隼人『え、マジで!?お前ようやくゲームやってくれるようになったんだなぁ…レトロゲーのところから今に至るまで布教してた甲斐があったってもんよ。』
隼人…田島隼人は俺が中学1年から今の高校に転校するまで仲の良かったマブダチだ。上記の通り基本的なゲーム知識をくれたのもコイツである。
隼人『で、ハル氏の初プレイゲームもといプレイ中ゲームはなんぞ?』
春輝『アオマゲオンライン』
隼人『おおおおう、そこか、そっち行ったか、いやまぁ悪くはないと思うが…』
春輝『やっぱ初心者が触るにはムズイ?』
隼人『微妙なところだな、街の中の事なら多少一人でもなんとかなるけど外に出て探検とかはレベルが20になるまでは先駆者に教えてもらわないとちょっと厳しいところあるかも。』
春輝『そうなんだ』
やっぱり厳しいかー…ここはスカイさんにまたいろいろ聞かないと…
隼人『今から一緒にやるか?』
マジすか!ゲーオタがいれば百人力じゃないっすか!?
そのうちMSFも設定固まってきたらプレイされるかもしれませんよ…




