第4話 パッシブスキル-前編
さてと、とりあえず笑った俺も悪かった、悪かったよ…うん、同じ状態に陥ったことがあるから何となくわかる。
「ゲーム初めてしばらくしたら、恥ずかしくなってきて…」
「すいません…」
わかるぞ、テンション上がると普段の自分なら絶対やらないようなことやったりするからな…前の高校の友人からの受け売りだが、深夜テンションは恐ろしいぞと。
広場に戻ってきて、結局スカイさんと呼ぶことになったんだけど…
「パッシブスキルってもう取ったか?」
「パッシブスキル…?」
詳しく聞くと、キャラメイクの時にスキルを取るかとかどうのこうの言っていたアレのことらしい。そういえば後からでも取れるって言ってたな、すっかり忘れてた。
なんでもパッシブスキルを取るのと取らないのとでは天と地ほどの差があるそうだ。スキルツリーとやらをざっくり見ただけだから詳しい効果は全く見れていなかったけど、そもそも戦闘スタイルがわかってないし…うん、調べることは沢山ありそうだ。
広場の南東に建っている大きな教会、そこがスキル設定場と呼ばれており、スカイさんは大まかな扱い方を分かりやすく教えてくれた。
この後用事があったらしいので、スカイさんとフレンドになってから別れた。また時間がある時に色々教えてもらう事にしよう。
さて…中に入ってみると、かなり広い礼拝堂になっており、プレイヤーが何人か長椅子に座っている。入口から向かいの壁の上半分はステンドグラスになっており、一見すると女神のような人物が文字通り神々しく描かれている。
何より不思議なのは、空は暗く曇っていたはずなのに、まるで陽の光が差し込んでいるかのようにステンドグラスから光がこちらを照らしていた。奥には教壇があり、横にシスターらしきNPCが立っている。
えーと、まずはシスターに話しかけるんだったかな?
「あの、すみません」
「こんにちは、迷える冒険者様…この教会にいらっしゃるのは初めてですか?」
「あ、はい、そうです」
「でしたら、まずはここのことを説明致します。」
で、シスターさんの話をメタ的にまとめるとレベルアップごとにスキルポイントが1~5ポイント貰えて、それをここで欲しいスキルに投じるなり既に持っているスキルのレベルを上げるのに使えるんだと。
ただパッシブスキルはゲーム内での行動、例えばジャンプしまくったりすれば跳躍のスキルが貰えたーみたいに、スキルポイントを振らなくても手に入るスキルばかりなのでポイントはあまり使わないらしい。
……いやじゃあ何でそんなもん貰えるんだ。あれか?早くレベルアップさせたい人向け?
俺は物事を予想して仮説立ててっていう考察的な考え方は苦手なので一旦置いておくことにする。
教会内の椅子に座ってメニューを開けばスキルツリーなるものが見れるとの事で、早速実行してみる。
おっ、ゲーム開始前に見たものと同じ画面だ。改めて眺めていくが、結構多いな。
これは1個だけお試しで取ってみて、1度外でモンスターと戦って感覚を確かめた方がいいかもしれない。そしたら自分の戦い方とかもわかると思うしな。
と、ここまで考えてひとつの疑問が。
あれ、MP消費するタイプのスキルが存在しないぞ?
ざっくり見てるだけだから見落としてるだけかもしれないが、どれもこれも、ツリーの進化先を見ても次に使えるようになるまでの時間しか書いておらず、何かを消費して発動するものは一切無い。
んー…じゃあこのMPって何に使うんだ…?スキル以外で消費先が見つかる気がしないが…
とりあえず後でスカイさんにフレンドチャットなるものを送って聞いてみよう。というか、ゲーム内でチャットができるってすごいなぁ……
うーむ、ともかく何か一つ取ってみようか。幸いにもツリーの1番下、基礎項目のパッシブスキルは全てスキルポイント1消費でゲットすることが出来る。
タブを色々確認してみたが、戦闘に役立つスキルや生産職に必須なスキルなど、様々な種類がある様だ。しかし依然としてMP消費は見当たらない、と……
「…とりあえず、これを取ってみようかな…」
んでんで。
と、いうわけで!
はい!現在俺が居るのは東通りから街の外に出られる門の側です!屈強な門番が両脇に控えております!
特に意味は無いけどテンションは上げていこう。モチベは大切だって学校の先生も言ってた。
気合十分、いざ出陣!
っと勢いよく街の外に飛び出すと、何やら生温い感覚が体全体を包み込んできた。周りもなんだかゲーム初起動時に見たような黒紫色の霧で視界が若干悪くなっている。多分これが魔素ってやつなんだろう。
感覚的には空気より重たい湯気みたいな感じだ。手で払いのければ一瞬離れるが、対流して戻ってくる。
とりあえず目視できるのは数百メートルって所か。ほんとにちゃんと見えるところって言われたら多分500mそこらじゃなかろうか?それでも十分視界は確保出来ている。
霧自体が若干光源の役割を果たしているのか、空はほとんど暗いのに俺視点からは地上は真っ暗って訳では無い。
少し街から離れると、何やらワサワサ音が聞こえてきた。…モンスターかな?
初期装備の剣を構えつつ、音のする方向を警戒する。初モンスターは……
「キシャー!!」
「……植物人間…??」
俺の背丈の半分くらいにしか満たない、頭が花で、体が茎で出来ていて、かつ腕の先、手のひらは見ただけでわかるほど葉っぱ状の鋭い刃になって明らかに俺に敵意を向けていた。




