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見上げる女

作者: 安良久 理生

女が一人、まだまだ夜道を歩く人が多い歩道の途中で佇み、ネオンサインの明かりの中で夜空を見上げていた。

その瞳には涙をたたえており、それが今にもこぼれ落ちそうになるのを堪えるように顔を上へと向けていた。

夜の光の中に立つ彼女を、ある者は邪魔に思いながらも家路へと急いで黙って通り過ぎ、あるいは酒の入った数人のグループがいたずら半分に声をかけるも、反応を返さない女に悪態をつきつつ皆がすれ違って行く。

そうした人波を無視した女の目には細かな玻璃の欠片のように夜空の星々が映り込み、女の顔の中でも輝いていた。そして一体どの程度の時間をやり過ごしたのだろうか。辺りに人影が少なくなった頃、ようやっと女はその顔を下へとゆっくり向けた。その動きに伴い、両の目からは涙が頬を伝ってこぼれゆき、やがて顎からアスファルトの路面に小さな水たまりを作っていった。

女はその涙を拭うこともせず、またしばらくそのままでいたかと思うと、おもむろに片方の脚を上げ、その下にあったものへと目をやり、そっと、静かに、呟いた。


「…………犬のウンコ、踏んじゃったよう。新品のブーツなんだよう」


女は一人、しくしくと泣き続けた。

初投稿作がこんなアホな話で申し訳ないですm(_ _)m

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