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ゾンビハンター部が全国制覇を目指すそうですよ!  作者: 山田の中の人
全国大会 予選
88/135

第86話 ドリームチーム


 一旦ゾンビの事は忘れて、温水プールでは久し振りに思いっきり遊んだ。

 俺達は学生なんだし、たまにはこういう気分転換も必要だよな。


 スタジアムに向かう際にいつも使っている巨大なバックパックに、霧姉の命令通り商品を詰め込んで行ったのだが、これがあっという間に完売。

 プールに来ていた一般客や、ホテルに宿泊している富豪達に囲まれてしまった。

 足りないくらいの盛況ぶりで、霧姉はもっと商品を持って来れば良かったと嘆いていた。


 泳いでいると言うには少々不格好だが、とりあえず篠も溺れずに水中で身動きが取れるようになったので、全国大会では霧姉達と一緒に飛び込みたいそうだ。

 ……実は自分だけが飛び込めない事を気にしていたらしい。


 

 



 ――翌朝。



 「雄ちゃん大変だぞー!」


 霧姉が新聞を握り締めてリビングにやって来た。

 最近毎朝霧姉が騒がしい気がする。


 『ドリームチーム結成!』


 テーブルの上に広げられた新聞には、見出しと共にジュディーさんと他四名の写真が大きく掲載されている。

 どういう事だ?


 「峠岡が早速手を打って来たみたいだぞ。ジュディー達を選手権に参戦させるらしい」

 「はぁ? ジュディーさんって高校生じゃねぇだろ?」

 「ああ。彼女は学校に行っていない」


 霧姉は新聞の一面を指差し、ここを読めと促す。

 そこには選手権を盛り上げる為に、世界中の十八歳未満のプロハンター達が集められたとか、全員がSランク以上で構成されているとか、樫高一強の状況を打破するだとか、ジュディーさんの復帰戦として相応しいだとか書かれている。 

 

 「……何でもアリじゃねぇか」

 「フン、今更何を言う。最初からそうじゃないか。恐らくだが、樫高一強という状況がマズいのだろう。カジノの売り上げに相当響いているそうだからな」


 そういや昨日、霧姉はホテルの支配人とかいう人物と何やらやり取りをしていたみたいだが、そんな情報を仕入れていたのか。


 「オッズが偏り過ぎて、このままでは不成立になり兼ねないと支配人が嘆いていたからな。まぁカジノの話はどうでもいい。私は賭けていないからな」


 ……やっぱりあの大金は別の事に使ったみたいだな。


 「なかなか全国大会の組み合わせが送られてこないから、おかしいとは思っていたのだ。……まさかジュディー達プロハンターを、一つのチームとして参戦させるとはな」

 「やっぱり彼女は強いのか?」

 「もちろんだ。ジュディーは雄ちゃんと同い年でSSランク。多彩な攻撃が魅力で、ファン達に受け入れられているのだ」


 多彩な攻撃、か。

 確かに力は強そうだけど、力だけじゃなくて色んな戦い方が出来るんだろうな。


 「通常であればオープン戦で活躍しないとランキング入り出来ないのだが、彼女は特別だ。SSSランカーとして活躍していた父親と、幼少期から親子戦に参戦してランキング入りしているのだ」


 確かオープン戦は十五歳以上からじゃないと参加出来ないと、瑠城さんが言っていた。

 俺と同い年で、しかも長期入院していたにも拘らず、既に有名人だという。

 おかしいと思ったけど、そういう事だったのか。

 しかしジュディーさんが俺と同い年だったとはな。


 「元々『デュアルパイソン』という二つ名はジュディーの父親の名だったのだが、ゾンビに噛まれてしまった。止めを刺したのはジュディー本人で、彼女はその試合以来デュアルパイソンの名前を引き継いだのだ」


 ジュディーさんは自分の父親に止めを刺しているのか。

 その時は辛かっただろうな……。

 何だか霧姉が瑠城さんみたいに熱く語っているけど……妙に詳しいな。

 実は霧姉、ジュディーさんのファンなんじゃねぇのか?

 


 「ごめんくだサーイ! ごめんくだサーイ!」


 そんな事を話し合っていると、商店の方から聞き覚えのある声が響いて来た。

 霧姉と二人でドタドタと駆けて向かうと、そこには朝から元気一杯のジュディーさんが立っていた。


 「おはよーございマース! しんぶんをみてくれまシタか?」

 「見たよー! 前に来た時には、そんな事一言も言ってくれなかったじゃないかー」

 「Oh-! ごめんなサイ、しょうばいじょうずサン。シュヒギムというやつデース」


 霧姉は普通にジュディーさんとハグしているのだが……そうか。そういう事か。


 「……俺をランキング戦に出場させる為に、樫高の優勝を阻止しようってんだな?」

 「ユウマ、それはごかいデス! くわしくはシュヒギムではなせませんケド、わたしたちのしゅつじょうは、もうすこしまえからきまっていまシタ」

 「馬鹿だな雄ちゃん! ジュディーがそんなセコイ真似するわけないだろ!」


 ジュディーさんが霧姉とのハグを終えると、初めて見せる真面目な表情で語り始めた。


 「わたしはユウマのことを、しんぶんでしりまシタ。びょういんのベッドのうえでデス。せんしゅとしてのユウマにきょうみがありまシタので、こっそりとびょういんをぬけだして、スタジアムにかんせんにいきまシタ」

 「抜け出してって……よく他の観客達に見つからなかったな。……それで、俺の試合を見たのか?」

 「ハイ! せんしゅけんのよせんでシタ。ユウマのしあいをみて、とてもこうふんしまシタ……」


 ジュディーさんは少しウットリとした表情で瞳を輝かせている。


 「いまはプレイヤーとしても、だんせいとしても、ユウマにきょうみがありマス! わたしたちがゆうしょうしたら、かならずわたしのパートナーになってくだサーイ!」

 「はぁ? な、何言ってんだよ! だ、男性としてもって――こら、引っ付くんじゃねぇよ」


 くそ、力が強い!

 それにしても普段の霧姉なら、今頃俺の事をボコボコにしているはずだが、何故か複雑そうな表情で俺達の事を見守っている。 

 ……工場存続の為に俺の事を売るつもりなのか?


 「……ちょっと待って下さい! 黙って聞いていれば、何を勝手な事言っているんですかー!」


 店の中から響いて来た慌てた声。

 霧姉と一緒に振り返って見ると、そこに立っていたのはパジャマ姿の篠だった。


 「「きょうちゃんが一人で起きて来たー!!」」



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