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ゾンビハンター部が全国制覇を目指すそうですよ!  作者: 山田の中の人
オープン戦
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第21話 狙撃


 「コラそこ! イチャついてないでさっさと移動するぞ!」

 「だ、誰がイチャついてんだよ! そんなんじゃねぇよ馬鹿!」


 ったく、そうでなくても変な空気にしちまったってのによ。


 「それでどうするのだ? 私達は行ってもいいが、二刀乱舞さんは本当に大丈夫なのか?」

 「……はい。……急ごう」


 二刀乱舞さんが先頭を切って駆け出した。

 何とも勇ましいのだが――


 「オイ、学校はそっちじゃねぇぞ! 逆だ逆!」

 「あぅ……」


 まさかの方向音痴だったとは。

 よく今まで生きて来られたな。




 学校方面へ向かうには漁業センター付近を通る必要があったので、ついでに立ち寄ってウォーターセイバーを数本補給した。

 霧姉達のウォーターウェポンも給水する必要があったので、途中の民家に立ち寄ったのだが――


 「そういや二刀乱舞さんは、民家で給水しないって聞いたのだが、どうしてだ?」

 「……人の家、緊張する」


 なんだ、そんな事か。


 「まぁ俺も最初は変な感じだったが、今では堂々と侵入出来るぞ。慣れだよ、慣れ」

 「……それに、家の中、……セイバーだと、不利……」


 なるほど、言われてみれば確かに。

 家の中みたいに狭い場所だと武器を振り回せないだろうし、障害物が多いと戦いにくいのだろう。

 しかもあくまでウォーターセイバーだから、どんなに凄い達人でも壁やドア越しの敵を斬ったりは出来ないからな。

 いや、そもそもああいう演出は、映画やアニメだから出来るのか……。


 何にせよ、危険を冒してまで民家に立ち入って給水するくらいなら、最初からセイバーを大量に持って行った方がいいという事なのだろう。

 ちゃんとリスク管理はしているんだな。



 「ところで雄ちゃん、オープン戦の参加者達って今どうなっているか分かるか?」

 「うーん、参加者達の動きってのはちょっと分からねぇが、少し前まで活発に動いていたゾンビ達が全然動いていねぇんだよ。学校方面にも数人の参加者が向かったはずなのだが……。何人かまだ生きているのかな?」

 「もうとっくに死んじゃってるんじゃないか?」

 「って事は、俺達以外の参加者達は全滅……か」

 「恐らくな。臆病風に吹かれて何処かに隠れてやり過ごしている奴も居るかもしれないが、まぁ全滅したと考える方が正しいだろう」


 あんなにも強そうに見えた連中が、実は見掛け倒しだったのか……。

 二刀乱舞さんも含めて、人って見掛けだけじゃ分からないモンだな。


 「それで、この近くにゾンビは居るのか?」

 「そうだな。……学校に向かう途中に二匹。コイツ等は全然たいした事なさそうだ」

 「よし、まずはそいつらを始末しておこう。行くぞ、出発だ!」



 学校へと向かう道は、山沿いに建ち並ぶ民家と琵琶湖に挟まれた非常に狭い区間に二本通っている。 

 一本は住宅街を抜ける道。

 この道は凄く細くて、住宅街を抜けた後から畑の中を進むあぜ道へと変わる、変則的な道。

 もう一本は湖岸沿いを歩ける道で、こっちの道の方が若干広いのだが、それでも人がすれ違う事が出来る程度の道幅しかない。

 この道とあぜ道とは平行に走っていて、二本の道の間には畑や民家建っているくらいの間隔が開いている。


 今は湖岸沿いの道を歩いているのだが、琵琶湖の穏やかな波の音が響き続ける、何とも心地良い道だ。


 前方のゾンビさえ居なければな。


 「よし、アタシに任せて」


 泉さんが道沿いにある、腰の高さ程の防波堤に狙撃銃を据える。

 いつの間にかこの狙撃銃には、カメラの三脚のような短い足が取り付けられている。

 そして彼女自身も防波堤の上に腹這いで寝そべり、スコープを覗き込んで狙いを定める。

 この防波堤は幅が三十センチにも満たないのだが、寝そべっている泉さんは左足を防波堤から投げ出し、地面に着いてバランスを取っている。


 次回は必ずパンツスタイルで参加させようと思う。

 ……今の姿もスタジアムで観戦されているんだよな?


 ゾンビまでの距離は五十メートル程あるのだが、こちらにはまだ気付いていない様子。

 水が嫌いだから、湖岸沿いにゾンビは居ないと思っていた。

 ボーっと琵琶湖を眺めているようにも見えるんだが……何してんだろ、コイツ。

 

 「……主よ、私の罪をお許しください……」


 泉さんが狙いを定めながら、何やらブツブツと呟き始めた。


 「何言ってんの?」

 「何って、神様にお祈りしているのよ」

 「……突然どうしたんだよ?」

 「凄く昔の映画でさ、スナイパーがお祈りしながら狙撃しまくるシーンがあってね、アタシはそのシーンが大好きなのよ。そのスナイパー、凄い命中率で狙撃するんだけど、カッコ良くってさー」

 「……それで、そのシーンの真似をしてお祈りしてるの?」

 「そうだよ。へへ、命中率が上がりそうでしょ? ……ブツブツ」


 泉さんって変わった人だな。


 バスッ!


 棒立ちで黄昏ていたゾンビの頭が弾け飛んだ。

 何だかんだで狙撃の腕は凄いんだよなー。


 「一丁上がり!」

 「ちょっと待った。近くに居たもう一匹のゾンビが気付いたみたいで移動し始めたぞ」

 「何処に居るの?」

 「民家の方、今狙撃したゾンビの方に向かっているぞ。すぐ近くだ」


 遥か前方で、民家の陰から新たなゾンビが姿を現した。


 「よし、捉えた!」

 

 バスッ!


 ゾンビは姿を見せて間もなく、頭を吹き飛ばして前のめりに倒れた。

 上手いなー。全然外さないじゃん。でも――


 「お祈りしなくても当たるじゃないか」

 「しまった、忘れてた。……ブツブツ」


 忘れられていたお祈りに効果はないと思うのだが……まぁいいか。


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