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ゾンビハンター部が全国制覇を目指すそうですよ!  作者: 山田の中の人
オープン戦
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第19話 取り引き


 郵便局には裏手側に別の入り口があって、そこの扉を開錠する為には六桁の番号を打ち込む必要があった。

 それらを伝えている間に、俺の抜けてしまった腰もすっかりと回復してしまったのだが、二刀乱舞さんがポストの鍵を探している間もずっと待っていた。

 入り口のガラス扉から郵便局内部の様子は覗えたのだが、まぁ何と言うか……手際が悪い。

 漸く鍵を発見して、誇らしげに高く掲げていたのだが、またガラス扉から出て来ようとして扉でガチャガチャやってるし……。

 外から裏手側裏手側とジェスチャーで伝えて、やっと気付く有り様。


 ……待ち草臥れて、近くの自販機でジュース買っちまったよ。



 「分かったよ、分かったからポスト開けてみなよ」


 どうだ! と言わんばかりに、ポストの鍵をグイグイと見せつけて来るので、対応するのもちょっと面倒になって来た。


 ポストの中に入っていたのは、ビニールで丁寧に包装された切手のシートだ。


 「……お宝?」

 「ああ。折り曲げたりするなよ?」


 こういうのはモノによっては、かなり高額で取引されているらしいからな。

 何とも郵便局らしいお宝だ。


 「俺のカバンに入れといてやろうか?」


 二刀乱舞さんはブルブルと首を横に振る。 

 じっとりと疑惑の目を向けられているのだが、どうやら信用されていないみたいだ。


 「そんなの持ったままじゃ動き辛いだろ? キミのカバンに入れてたらぐちゃぐちゃになりそうだし。そういうのは曲げたりすると価値が下がってしまうぞ? それでもいいのか?」

 「……」

 「それでもいいのなら、俺としては無理強いするつもりもないし、別にキミが持っていてもいいよ。そうだ、はいコレお茶。待ってる間に自販機で勝手に選んでおいた」

 「……あ、ありがと」

 

 ペットボトルのお茶を渡すと、代わりに切手のシートをゆっくりと差し出された。


 「……どうして、あの……お宝の場所、分かるの?」


 二刀乱舞さんの声は途切れ途切れで、か細く消え入りそうな程小さい。


 「船の上でも……言ってた」

 「やっぱり聞こえてた? そりゃ聞こえるよな、あんなデカい声出しちまったら。その、何て言うか俺、特殊な訓練受けてて、お宝の場所とかゾンビの居場所とか分かっちまうんだ」

 「……鍵の……番号、も?」

 「ああ。そういうのも分かる。それでゾンビハンター部に強制入部させられたってワケ」 


 ダサいTシャツの裾を引っ張ってユニホームを見せたのだが、二刀乱舞さんはダサいともキモイとも言ってくれない。

 表情が見えないから、無言だと何を考えているのか分かんねぇんだよな……。


 「……と、取り引き」

 「は?」

 「取り引き……する?」


 突然何を言い出すんだ、この子は。


 「私、ゾンビ倒す。……ア、アナタ、お宝見つける。山分け。……どう、かな?」


 外国人が片言で日本語を話しているみたいに途切れ途切れなのだが、彼女は真面目に話をしているんだよな?


 クラスメイトの中にも、二刀乱舞さんと似たような喋り方をする人物が居る。

 そいつの話し方も少しドモリ気味で、あまり会話が得意ではない。 

 ……ひょっとして彼女も同じように会話が苦手だったりするのかな?

 途切れ途切れで聞き取り辛かったが、要するにこの後一緒に行動しようって事なのだろう。


 「でも俺は樫高ゾンビハンター部で参加してるし、お宝の山分けとかは俺だけじゃ決められねぇよ。俺の取り分だけをキミと分けるっていうのなら、問題ないと思うけど――」

 「いい。それでいい」


 間髪入れずに返事が返って来た。

 でも何かが変だ。

 いや、変っていうか、話に聞いていた二刀乱舞さんのイメージとは随分とかけ離れている。

 霧姉達の話では二刀乱舞さんはお宝には目も呉れず、戦闘狂のようにゾンビを倒しまくっているって事だった。

 しかし俺の目の前に居る二刀乱舞さんは、何と言うかその、ずっとお宝に貪欲と言うか――


 「雄ちゃん……居るのか?」


 二刀乱舞さんの行動に疑問を抱いていると、曲がり角の向こう側から霧姉の声が聞こえて来た。

 少しボリュームを絞った声で、こちらの様子を窺っているみたいだ。


 「ああ、ここに居るぞ。ゾンビにも噛まれていねぇ」


 角からひょっこりと頭部のみを覗かせて俺の姿を確認すると、泉さんと瑠城さんも背後から姿を現した。

 ウォーターガンを手に当てて、水で濡らしてから近付いて来る三人。

 そして二刀乱舞さんもカバンからウォーターセイバーを取り出すと、自分の手に充てがった。

 そういや一度視界から外れた人物は、ゾンビに噛まれたと思って行動しろっていう鉄則があって、暗黙のルールで体の一部を濡らすって言ってたな。


 ……俺、ウォーターウェポン何も持ってねぇ。


 ブシュッ! ブシュッ!


 「ぐわっ! 冷てぇ! 何す――おい馬鹿、やめろって! がはっ――喉に入っ――」


 霧姉は俺の顔に向けて、ウォーターガンを発射し続けている。


 「こんの、馬鹿雄ちゃん! 私達がどれだけ心配したと思っているのだ! 馬鹿、アホ!」

 「ゲホゲホ、わ、悪かったって! 謝るからウォーターガンを止めてくれ! ゴボ――溺れるって!」

 「雄磨君が私達から離れてしまったら、守れるものも守れないじゃないですか!」 

 「ゴ、ゴメンって! ちょ、瑠城さんまで――」

 「無事ならすぐに戻って来なよ! 噛まれて死んじゃったと思ったでしょーが!」

 「泉さん痛い! 狙撃銃痛いって! 顔に穴開きそうだって!」


 みんなにはかなり心配を掛けてしまったみたいだ。

 ホント申し訳ないです。

 

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