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ゾンビハンター部が全国制覇を目指すそうですよ!  作者: 山田の中の人
全国大会 予選
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第98話 危険地帯


 峠岡常務が指示を出している事を考えれば、どんなゾンビが用意されていてもおかしくない。

 その為篠や泉さんが戦えなくて戦力が落ちる俺達の状況だと、圧倒的な火力を誇るウォーターウェポンが必要だった事は確かだ。

 しかし泉さんが作ってくれたミニガンは、火力は申し分ないのだが……燃費が悪過ぎて扱いづらい。

 それにエンジン音も響いてしまうので、周囲のゾンビ達にも気付かれる恐れがありそうだ。


 その事を踏まえてこの後の作戦を色々と話し合ったのだか、給水を済ませた後島の北側に出てすぐの場所に設置されているウォーターウェポンを回収してから、お宝が固まって設置されている少し危険な場所を目指す事になった。

 色々な制約はあるものの、一気にポイント差を埋める為には北側へ向かう他なかったのだ。


 「泉さん、出発します。立てますか? 私の肩に掴まって下さい」

 「……うん、ありがとう彩ちゃん」


 泉さんはとても辛そうだけど、瑠城さんの肩を借りれば自力で歩けそうだ。

 ただし泉さんがどうしても無理そうなら、瑠城さんが背負って移動する事になっている。

 今回はタンクの水をなるべくミニガンに使いたいので、メンテナンス用の道具を入れた手提げ鞄に、セイバーを四本差して瑠城さんに持って貰っている。


 問題は篠だ。

 完全にダウンしていて、俺が担がねぇと全く移動出来ない。


 「篠、移動するから抱えるぞ。体調悪いのに動かすから、余計にしんどくなるかもしれねぇけど……我慢出来るか?」


 話すのも辛いのか、篠は無言のまま小さく頷いてくれた。


 椅子に腰掛けて蹲っていた篠を抱えて立ち上がると、霧姉がカーテンやバスタオルを使って、篠の体を下から支えるようにして俺の体と固定した。

 瑠城さんが上手に布を裁断、加工してくれたおかげで、俺の負担がかなり軽減されている。

 勿論軽くはねぇけど、レディーに対して重いとは口が裂けても言えねぇし。

 動かし難いけど一応両手も使えるのでこれは助かる。


 「辛くねぇか?」

 

 篠に聞いてみても大丈夫そうで、さっきと同じようにコクリと頷いてくれた。


 「……腕を雄ちゃんの首に回した方が、お互い楽になるんじゃないか?」


 そう言って霧姉は篠の腕を俺の首に回すと、その態勢でもう一度きつく固定し直した。

 ……あの、霧姉? 確かに楽にはなったけど、あまりきつく縛ると身動きが取りにくいんだけど?


 そして篠の顔が近い。超近い! 

 篠が風寅のお面を装着してくれていて助かった。

 これがなければ恥ずかし過ぎて、全然集中出来ねぇところだった。


 ……って、こんな事考えているの俺だけか。

 すでに全然集中出来てねぇな。


 「では青龍高校のみなさぁん、私達も行ってきまーす」


 霧姉はエンジンを背負い、大きなミニガンを軽々と担いでいる。

 そんな様子を見て青龍高校の部員達も何か言いた気だったけど、時間もあまりないのですぐに民家へ給水に向かった。




 民家で給水を終えたのだが、流石にタンクを背負いつつ篠を抱えるのは辛い。


 「ホラ、頑張れ雄ちゃん」

 「雄磨君、ファイトですよ」

 「……短期決戦で頼む」


 ホースの長さの都合上、俺は霧姉の背後にピタリと張り付き、エンジンの始動係まで兼任させられている。


 ここからは話し合った作戦通り、俺がゾンビの位置を確認して接触を避けつつ住宅密集地を目指す。

 ここを抜けねぇと島の北側に出られねぇからだ。

 エンジン音でゾンビ達を呼び寄せてしまう恐れがあるので、ミニガンの使用は極力控えたいのだが、厄介な事にこの地区にはウロウロと動き回っているゾンビや、民家の中や屋根の上に潜んでいるゾンビなどがウヨウヨ居る。

 

 「雄磨君どうですか? 私達の存在に気付いているゾンビは居ますか?」

 「直接こっちに向かって来るゾンビは今のところ居ねぇ。でも気付いているのかどうかは分からねぇけど、動き回っている奴が三体程居る。道の真ん中でじっとしている奴も居るし」


 今俺達が居る場所は、資料館の看板が出ている民家の傍。

 俺が金庫からお宝を回収した場所だ。

 ゾンビとの接触を避けて何とかここまでは来られたけど、この先は非常に厳しそうだ。

 最短距離で島の北側へ出るだけなら、自転車で通行するのも困難な程極端に狭い一本の道を進み、民家四、五軒分の距離を歩けば湖岸沿いに出られる。

 この道はドリームチームも通った道で、姿が見えないゾンビを途中のお寺の前で倒していた。


 ただしこの道には今回も二体のゾンビが居て、嫌がらせのように途中で道を塞いでいる。

 そしてコイツ等は少し手強そうで黒い靄が濃い。


 「それなら向こうの道から迂回すればどうですか?」


 島の地形で言うと、ギュッとくびれた部分に当たるこの住宅密集地は、迷路のように細い道が複雑に入り組んでいる。

 迂回する事は可能だけど、最終的にはドリームチームも通った道に合流しないと島の北側には向かえない。

 瑠城さんの座学で教えられた数少ない役立つ知識として、沖ノノ島の地形は頭に叩き込んでいるのだ。 


 「それがよ、その合流地点付近でゾンビが待ち構えているんだよ」

 「フン、頭が固いぞ雄ちゃん。『道』で考えるから合流しないと通れないと思ってしまうのだ。今目の前に広がっている風景は、沖ノノ島であって沖ノノ島ではない。運営が用意した競技場なんだぞ? 道がないのなら民家を突っ切ればいいし、庭先を通ればいい。それでも通れないのなら壁を破壊すればいいだろ?」

 「な、なるほど」

  

 壁を破壊するのは霧姉だけだと思うけど……。

 余所様の家だと考えるから通れないと思うだけで、オブジェクトとして考えろという事なんだろう。


 「……そういう事なら瑠城さんの言った通り、そっちの道から遠回りして民家を突っ切れば、湖岸まで出られると思う。ただし屋根の上にゾンビが居る民家の中を通る事になりそうだけど」

 「その屋根の上に居る奴以外に、周囲にゾンビは居るのか?」

 「いや、なるべくゾンビと接触しそうにない場所を選んで進むから、ゾンビが近寄って来ない限りは大丈夫だと思う」

 「屋根の上、というのが気になりますね。リザードの可能性が高いです」

 「ヤツは嗅覚で獲物を察知するからな。雄ちゃん、屋根の上のゾンビに動きがあればすぐに教えてくれ。私がこのウォーターウェポンで、足もとから撃ち抜いてやる」


 霧姉はミニガンを空に向かって構えている。

 船を軽々と貫通するくらいだし、屋根ごと破壊するつもりなんだろう。

 瓦礫とか落ちて来ると思うんだけど大丈夫かな……。

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