96話 敵か味方か
「アームズはビークルを撃退しこちらに向かっています」
「奴らめ…調子に乗りやがって…全ビークルを奴らの撃退に向かわせろ!特殊部隊も全てだ!」
「しかしそんなことをすればここの警備が…」
「奴らが数十億のビークル、特殊部隊連合を突破出来ると思ってるのか?」
「それは…」
「それに我々の味方は他にも居る」
笑みを浮かべ男は背後に立つフードを深く被った人物を見た。
ーーーー
「恐らく敵はビークルを大量配置してくるでしょう、それは私が引き付けます」
「露一人で…なんて…」
「大丈夫です、私1人でなんてしませんよ」
その時、扉を勢い良く開け千陽が飛び込み憐斗に抱きつく。
「久しぶりっ〜!」
「…急に抱きついて来ないでください…」
「そんな事言わないでよ〜」
「いい加減離れてくださいっ!」
そういながら結彩が憐斗に抱きつく千陽を強引に引き離す。
「それより千陽さん、どうしてここに?」
「輸送艦おおすみで来たの〜あと、私だけじゃないわよ」
と千陽は後ろを見る。志那、龍、映月達が立っていた。
「みんな…!」
「久しぶりなのだ〜!」
無邪気な笑顔で映月は憐斗に駆け寄る。
「確か映月達は香川基地に居たはずじゃあ…」
「そうだけど、憐斗のお父さんに頼まれてさ香川基地全員で来たのだよ〜」
「ちょっと待ってそれだと呉とかの防衛とかは…」
「あぁ〜それね…」
映月は言いにくそうに目を逸らし露を見る。自分を見る映月を見て露はため息を付き
「ついて来てください」
露はしまかぜの甲板に立ち隣に停泊する船を見る。
「おおすみ」
見た瞬間に艦名を当てる蒼嵐に驚きながらも憐斗は
「それで…どうしてこんな所に?」
露は厳しい表情で無言のまま、おおすみの甲板に立つ人影を見る。その人影は憐斗達に気づきゆっくりと近づいてくる。
「久しいですね…お前達」
その時明かりが差し込み、袴姿の信濃を現させる。
「なんであんたも居るのよ…!?」
「香楽の命令…そうだろ?」
「ご明察」
その一言だけ呟き信濃はしまかぜの甲板に飛び移り憐斗との距離を縮める。結彩と大和は武装を纏い憐斗の前に立つ。
「大丈夫だ、信濃もこの状態でやり合ったら不利なのはどちらなのか分かってる筈だ」
それを聞き結彩は武装を解くが大和は背中から伸びる砲塔を向けたままだった。
「憐斗が言うなら敵意は無いのだろうけど私が認めるまではお前を信用しない」
「そうですか…まぁいいです」
物語が自分の予想通りになりつまらないと言いたげな表情を浮かべながら信濃はため息をつく。
「私も香楽様の指示で『不本意!』ですが来ているわけです、別に信用して欲しいなんて思って思ってません!」
不本意を強調して言う信濃を見て憐斗は笑みを浮かべる。
「な…何がおかしいのですか!?」
「信濃も人らしい感情があるんだと思ってな」
「なっ!?…な…何を言ってるのですか!私がそんなもの…」
「元々だよ信濃プライドだけは高いぃぃぃたい!」
「余計なこと言わないでください!マチルダ!」
信濃のはマチルダの頬を強く引っ張る。その時
「みんな!至急艦橋に来て!」
と切羽詰まった夏琳の声を聞き憐斗達は艦橋に向かった。
「みんな!ぐはっ…」
慌てていた夏琳は扉が開くと同時に振り返ったため勢いよく扉に顔をぶつけ顔を抑えながら悶絶する。
「大丈夫か…?」
「何とも…ない…わ…よ…!」
立ち上がり涙目のまま憐斗を見てスクリーンを指先す。
「これを見て」
レーダーに一つの赤点がこちらに向かって来ていた。
「これは…」
「敵艦よ…大きさ的に空母かな…」
「でも空母は特殊部隊しか所有してない筈よ…」
「居た…」
艦載機を偵察に出していた玖由はこちらに向かって来る艦を見つけ憐斗に伝えスクリーンにレーダーに映る赤い点を隠さないように艦載機から送られてきた映像を映す。
「なっ…!?」
映像を見た葵は目を見開く。
「かが…でもどうして…」
「特殊部隊は国が指示を出している、だから俺達を東京に行かせないために足止めに来たのだろう」
「…っ」
動揺を隠すように葵は俯く。
「葵はしまかぜに残ったほうがいい…」
葵を見て玖由はそう言い放つ。
「どういう意味」
葵は玖由を睨みつける。しかし玖由は臆すること無く葵を見る。
「今の特殊部隊にとって私達を敵と見ている、もちろん葵が仲間だとしてもこちら側ないる限り攻撃…殺してくる…今の葵は命を落としかねない、だからここに居たほうがいい」
言い返す言葉がなく葵は俯く。が、すぐに前を向き
「やってやる!私はやられないから!」
それを聞き玖由は「やったよ」と言いたげな笑みを憐斗に見せる。その時、かがを表す一つの点から無数の点が広がる。
「遂に来たか…だがここでしまかぜを降りて進むのにも距離があり過ぎる…」
「なら…私達が囮になるわ、その隙にしまかぜの速力で突き抜けて」
「わかった」
その時、部屋を出ていこうとする信濃に気づき大和が呼び止める。
「どこに行く気だ?」
「私が足止めします、多少は時間を稼げるでしょう」
「待ってください」
露が信濃を呼び止める。
「あなたは私達と一緒に来てください」
「どうして…」
戸惑う信濃に露はい歩み寄り
「憐斗に信用して貰いたいなら近くに居てあげないとね」
「なっ!?分かりました!私も憐斗達と共に行動します」
顔を赤らめながら信濃はそっぽを向く。
(私の予想出来ない事ばかり…これが人間…ですか…)
そっぽを向きながらも信濃はそう感じていた。




