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Arms・Front  作者: 白兎
東京襲撃
95/120

95話 五神

「ちょっと待って、なんで結彩だけ様付けなの?」

「もちろん憐斗様と同等の存在だからですわ、その事は後に話すとしてまずは五神について話さないと行けませんわね」

と言い夕立は結彩に目を向けいつもと変わらない悪戯をする様な笑みを浮かべる。

「五神はそのまま五体の神、イザナミオオガミ、クシナダヤクモガミ、ワダツミヤエツミガミ、アメノウズメタギツミコ、ツクヨミオオツキヒメという神がいらっしゃますの、そしてアルマが出現した原因ですわ」

「「!?」」

「じゃあそいつらを殺せば…この戦いも…」

葵の呟きを聞き夕立は即座に否定する。

「それは無理ですわ、五神には誰も触れられませんの」

「どういう事よ」

僅かな希望を否定されムッとした表情で葵は問いただす。そんな葵を冷静に見て話を続けた。

「五神は自ら選んだ人の精神に宿るのです、ですが宿られた人間に自覚はありません、存在を知るには他人から教えてもらうしか出来ないのですわ、そして宿主が死ぬまでに他の誰かに継承しないと再び他の誰かに宿るのです」

「私の中にも…」

結彩は自分の胸に手を当て呟きながら夕立に目を向け恐る恐る問いかける。

「ねぇ夕立、私に宿ってるのは…」

「ツクヨミオオツキヒメ、五神の中で最初にアルマを作り出した神ですわ、そして渚さんは恐らくクシナダヤクモガミでしょう」

「どうしてそう思うのですか?」

渚の看病をしていた羽根が不思議そうに問いかける。

「クシナダヤクモガミの力は敵と見なした相手の位置を特定出来る能力がありますの」

「それで紀伊を追うことが出来たのか…」

レンナの言葉に夕立は頷く。一連の話を聞き蒼嵐が口を開く。

「ちょっと待って、そもそも五神はなんのために居るのよ」

「五神はアマテラスアマツガミという神に降臨させられた神達のことですわ、ですが力を与えられた五神はアマテラスアマツガミを裏切りそれぞれが世界を支配しようとしたのです、ですがそれを阻止するためアマテラスアマツガミは五神を霊体化させ人に宿らせたのですわ」

「それって人間を利用したりとかしないん?」

「ご心配いりませんわ」

「っ…みんな…」

渚が目を覚まし起き上がり虚ろな目のままレンナ達を見る。

「ごめん…私…」

俯きながら申し訳なさそうに謝る渚の頭にレンナは手を起き

「大丈夫だ、誰も渚を咎めたりしない」

更に玖由が渚の手を握り

「私も、謝らないと行けない、ごめんなさい殴って気絶させてしまって、私にはあれしか思いつかなかった…」

「大丈夫よ…私を守ってくれてありがとうね」

そう言い渚はふらつきながらも立ち上がり部屋を出ようとする。そんな渚を羽根が引き止める。

「まだ動かない方が…」

「心配無いわよ…もう大丈夫だから…」

と部屋を出ていく。それを見てレンナは

「様子を見てくる」

と言い部屋を出る。

ーーーー

「はぁ…はぁ…っ…」

「やっぱり、無理をしてたのね…」

「神風…ごめん、でも…これ以上…みんなに心配させる訳にも…」

「全く…そんなにやつれていたら嘘なのがバレバレ…まぁあんな事言われたら無理もないけど…」

「そう…ね…」

「渚がそんなんだといつまで経っても物陰から出られない人が出るわよ…」

「え…?」

渚はゆっくりと顔を上げ神風が視線を向ける方向を見る。そしてそこに立っていたレンナと目が合う。

「どう…して…」

「渚が心配だったんでしょう、私はお邪魔みたいだし戻ってるわね、あとはお二人で〜」

「ちょっと…!」

渚は神風を掴もうとするがそれよりも早く結晶に戻っりバランスを崩す。しかしレンナに支えられて転倒するのを防ぐ。その瞬間渚は全身が熱くなるのを感じながら

「あ…ありがとう」

と目のやり場に困りながら呟く。レンナに支えられて立ち上がった渚はしばらく口を開かなかった。

(なにを…話したらいいのか…)

ふと渚は憐斗が口にした言葉を思い出す。

『人が惨めに生きていればいい』

「ねぇ…レンナ…」

渚は真っ直ぐレンナを見る。

「レンナは人間の味方なの?それとも…」

「俺は誰の味方にもならない、自分の為に戦う…自分勝手な理由だろ?」

それを聞き渚はレンナの手を掴み

「そんな事ない、だって私もそうだったから…」

「だった…なら今はどうなんだ?」

「みんなと…うんうん…」

渚は首を振り深呼吸をし

「レンナ…憐斗と一緒に居たい」

予想外の返答にレンナは驚きの表情を見せる。

「最初はそんな事思わなかったのだけど…なんでだろうね」

レンナの両手を強く掴み渚は

「だから私に憐斗を支えさせて」

と顔を上げるとレンナの姿から戻っていた憐斗と目が合う。急に恥ずかしさがこみ上げ憐斗の手を離し後ろを向く。

「話し相手になってくれて…ありがとう…あと、さっきの話し忘れてくれてもいいから…私はちょっと個室に居るわ」

と渚はしまかぜの船内に戻り、個室に飛び込むように素早く入り

「〜っつ!」

としゃがむ。

「告白?したゃったわね」

「言わないで…」

ーーーー

「戻ったのね、それで渚はどうだった?」

「大丈夫そうだった、今は個室で休んでる」

「大変よ!」

夏琳が慌てながら葵を見る。

「特殊部隊東京基地の人達が国に捕えられたって」

「どういう事…いや、理由よりも早く助けないと」

「葵、落ちついて」

「休ませてくれないみたいだな…」

「私も行きます」

と椅子に座っていた露は立ち上がる、冬菜達も立ち上がろうとするがそれを止める。

「3人はここでしまかぜの護衛を」

「「了解」」

「私も行くわ」

と渚が部屋の中に入ってくる。

「今の状態だと無理よ」

「結彩の言うとおりだ…今回は体力を回復する事に専念してくれ」

「…分かった」

憐斗の言葉を素直に受け入れたように渚は頷く。

「東京に戻るぞ」

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